見たり聞いたり読んだり……視覚障害者はどうやってものを理解している?
※こちらは、『ラストマンー全盲の捜査官ー』4話目放送終了後に行われたTwitterスペースの内容を書き起こして記事にしています。
参加者:和久井香菜子(和久井)、松田昌美(まちゃみ)、小林直美(なおみ)
スタッフ以外のお客さま:(ゲスト)
【なおみ】福山さんの公式アカウントがこのスペースに参加していたらどうしよう。
【まちゃみ】絶対ないけど、あったらいいね(笑)
【和久井】3話目までを見た知り合いが、「福山さんの鼻がどんどんよくなって、警察犬みたいになってきていますね」と言っていました。
【ゲスト】警察犬(笑)
触った手の触感でどこまで分かる?
【なおみ】今回は遺体の手の甲を触って、べたつきやにおいでスタンプがあることに気付いていましたね。
【和久井】なるほど。
【なおみ】でも、そんなべたつきくらいで本当に分かるのかなと思っちゃう。ただ手がベタベタしているだけかもしれないじゃない?
【ゲスト】そうね。勘が鋭いね。
【なおみ】左右で比べてみたりするのかな?
【まちゃみ】元々警察の方だから、見ている視点が違うのかもしれませんね。
【和久井】ディズニーランドはパークを出るときにスタンプを押すから、今度行ったときに触り心地が違うかどうか確かめてみよう。
【なおみ】確認してみたいですね。あと手にオオカミの絵を指で描いてもらっていましたけど、あれでどんな絵なのか本当に分かるものなんでしょうか。
【和久井】オオカミと言われながら描いてもらったんですか?
【ゲスト】最初からオオカミと分かってたかな? 犬に思えるとも言ってましたよね。
【なおみ】動物の形ということは分かっていたみたいだけど。でももし馬の絵を描かれても犬だと思っちゃいそうですよね。本当に知らない状態で文字や絵を描かれたら分かるのかな。
【まちゃみ】いや、どうかな……。
【和久井】皆実さんは生まれつき全盲なんだっけ?
【なおみ】10歳で全盲になった設定です。
【ゲスト】じゃあ少しは動物の形が分かるのかな。
視覚障害者はどのように絵画を認識している?
【和久井】視覚障害の人は2Dの絵を理解できるんでしょうか? 触図といって、印刷物ので描いた絵本を見ることがあるんだけど、分かるのかな? とずっと思っているんです。全盲になって長い人は分からないと聞くことがあるので。
【ゲスト】私は中学校1年生まで視力が0.02で、20歳くらいで全盲になったけど、立体で描かれた絵本などを触るとなんとなく分かります。
【なおみ】赤ちゃんのときに視力を失った人や先天盲の人で、見えている記憶が全然ない人は、やはり2Dのものは分からないと聞きますね。
【ゲスト】そうだよね。
【なおみ】平面のものの概念がないんだろうね。
【ゲスト】私は小さい頃に絵本や雑誌を見ていたから分かるのかもしれない。
【和久井】千鳥の線なんて複雑すぎて分かりませんよね。
【なおみ】皆実さんは10歳で見えなくなったとは言え、エコーロケーションもできるスーパー超人だから分かるのかもしれませんね。
【ゲスト】そうだよね。知っているところならパンッと白杖で叩いた音で方向を確かめることはあるけど、初めてのところで分かるなんて超人だよね。
【なおみ】「9時の方向に建物があります」なんて分からないよ。
テレビの音声解説は必要?
【ゲスト】あと、最初テレビを見ているシーンで「音声解説を付けないで想像で見るのが好きなんです」とありましたけど、私は音声解説があったほうがいいです。
【なおみ】そうね。
【ゲスト】昔はないのが当たり前だったけど、音声解説が付くようになってからはやはり付いている番組ばかり見ていますね。
【なおみ】確かに。
【ゲスト】付いていないテレビは見なくていいかなと思っちゃう。
【なおみ】私もドラマはそうですね。
【ゲスト】昔に比べると最近は台詞が少なく音楽ばかりで分かりにくくなった気がします。視覚障害の友達で『渡る世間は鬼ばかり』が好きだと言っていた人がいました。台詞が多いから分かりやすいんだそうです。
【なおみ】あのドラマは何かをしながらでも見られるように、事細かに台詞で説明をしてくれているそうですよ。
【ゲスト】そうそう、そうみたい。でも皆実さんは超人だから、台詞がないところを想像するんだよね。
視覚障害者にとって点字を読むことは難しい?
【なおみ】皆実さん、点字でファンレターもらっていましたね。見える人が送ってくれたとしたら、めちゃくちゃありがたいことですよね。
【ゲスト】ありがたいね。
【なおみ】最初は普段点字を使っている人がファンレターを送ったのかなと思っていたら、最後に吾妻さんが高校生のときに送ったものだと分かって、ますますすごいと思いました。点字のファンレターを書くのは大変そうですよね。皆さんは点字読めますか?
【ゲスト】私は点字を使っていたので読み書きできます。
【なおみ】すごい!
【ゲスト】小さい頃は墨字と点字を併用で使っていたんですけど、中学校になってから墨字が読めなくなって点字だけになりました。一番大変だったのは数学。点字だと何行にもなるので計算が複雑で苦労しました。
【なおみ】数学を点字で勉強するイメージガ湧かないです。
【ゲスト】例えば分数の場合、見えていたら線の上と下に分子と分母を書けばいいけれど、点字だとカッコでくくったりする必要があって、とにかく大変でした。小さい頃からやっている人はいいけど、私は点字に切り替わるときに全然慣れなくて難しかったです。
【なおみ】めちゃくちゃ大変そう。
【和久井】点字の数学は大変だと聞きますね。
【ゲスト】問題なくできる人たちを尊敬していました。中学高校の頃の数学は赤点ギリギリだったので、点字に慣れた方にもっとコツを教えてもらえば良かったです。
視覚障害者はどうやって手紙を読む?
【なおみ】墨字の手紙は泉君が写真に撮ってたね。
【ゲスト】そうでしたね。
【なおみ】写真に撮ってアプリで読ませてたのかな?
【ゲスト】たぶんそうでしょうね。
【なおみ】今は手書きの文字もうまく読んでくれるアプリがありますよね。
【ゲスト】そうなんだ。
【なおみ】よほどぐちゃぐちゃな文字でなければ結構読んでくれるんですが、見えないと写真を撮ることが難しいんですよね。
【ゲスト】私は試したことないです。いろんな人が紹介しているアプリを見たりして遊んでいますが、その中で最近はインスタライブを楽しんでいます。
【なおみ】福山さんがインスタライブしたら、きっとずっと見てるだろうな。
【まちゃみ】そんなことがあったらアクセスが殺到してサイトがバグりそうだね。
音声配信とVoiceOver、両方同時に聞くのは難しい?
【なおみ】でもVoiceOverを使っていると、メッセージをを送るのが難しいですよね。
【ゲスト】そう。しゃべっている声が聞こえなくなるからね。私は聞くほうに集中します。
【なおみ】この前黒柳徹子さんのインスタライブを見ていたんです。めちゃめちゃかわいいからメッセージ送りたかったんだけど、メッセージを書くときのBoiceOberの音と徹子さんの声が重なってしまうからあきらめました。
【ゲスト】私も声を一言も聞きもらしたくないから、メッセージは送りません。
【なおみ】あと、あんな満員電車の中で、バイブレーションの音って聞こえるのかな? めちゃくちゃ集中してるのかな。
【ゲスト】そうだよね。
【なおみ】でも隣の人のポケットやバッグでブーブーと鳴っているのが聞こえることはありますね。
【和久井】シェアハウスに住んでいたとき、携帯のバイブが鳴っていると思うと隣の部屋だったことがありました。あと隣はかわいい女の子だったはずなのに、オッサンのような咳が聞こえてきたかと思ったら、さらに向こうの部屋の人だったということもありましたね。
【なおみ】自分の音がどこまで聞こえているのか怖くなりますね。
実はロービジョンより全盲の人のほうが早く歩いている?
【和久井】最後にマラソンをしていましたね。
【なおみ】していましたね。本当に見えない人も、伴走者がいるとあんなにスイスイ走れるものなんでしょうか?
【和久井】私は伴走者の講習を受けたことがあります。ドラマで走っていたようなところは障害物がなかったので、そんなに怖くはないかもしれないです。
【ゲスト】私は走ったことがないです。
【なおみ】全盲の人はロービジョンの人よりも歩くのが速いことがありますね。この差はなんなんでしょうか。
【ゲスト】うちの主人は全盲ですが歩くのが速いです。私はそうでもないので、もう少しゆっくり歩いてほしいと言うことがあります。
【なおみ】全盲の人は階段もスイスイ降りてきますよね。
【ゲスト】慣れていないところは慎重になるけど、慣れているところは早いですね。
【なおみ】すごく速いですよね。感覚が鋭くなるのかな。それともガイドさんや伴走の人をめちゃくちゃ信頼しているのでしょうか。
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