3人でのバイキングの新たな楽しみ方

 先日ひなちゃんを連れて3人で1泊2日の温泉旅行に出かけた。
日帰りで名古屋に行ったり、友人も一緒になら泊りで出かけたこともあったが、我々3人だけで2日かけて遠出をするのはこれが初めてだ。
今回訪れたのは京丹後にある日本海に面した温泉宿。この波乱に満ちた旅行記もいずれ書きたいところではあるが、ここでは旅行中に発見したことを一つ抜き出して書いてみたいと思う。
旅行記はまた気が向いたら書こう。全盲パパママと行く赤ちゃん連れのハチャメチャ旅などというタイトルで。
 今回宿泊したのは1泊2食付きで食事はどちらもバイキングという、比較的コストを抑えた温泉宿でよくあるプランだ。このバイキングが思った以上に良かったのだ。
とはいってもバイキングの内容のレビューをしたいわけではない。それなら旅行サイトを探せばいくらでも出てくるだろう。今月で10ヶ月を迎えるひなちゃんを連れて行く上で、バイキングの良さを改めて感じたポイントがあったのだ。
 その前に、バイキングというのは食べたいものを好きなだけ食べられるというのが一番の醍醐味だ。それ自体は当たり前のことなのだが、漏れなくセルフサービスであるということも忘れてはならない。
我々視覚障碍者だけでバイキングを利用する際は、スタッフの方のサポートが必須だ。どんな料理が並んでいるのかを説明してもらいながら一緒に回り、必用かどうかを伝えて皿に盛りつけてもらう。
一人だけならまだ1回一緒に回ってもらうだけでいいのだが、我々視覚障碍者の人数が増えれば増えるほど、スタッフの方に負担をかけてしまうのは事実だ。
幸いにもこれまで訪れたバイキングではどこもとても快く対応してもらい、すごく困ったという経験はない。その都度本当に感謝しかないのだが、我々の側も全く遠慮がないかというとそういうわけでもない。
ホテルの朝食など特にスタッフの方が忙しそうな時には、飲みたいコーヒーをあきらめて帰るということもないわけではないのだ。
 前置きが長くなってしまったが、そんな我々ならではのバイキング事情もあるため、どちらかというと宿の食事などもコース料理の方がありがたいというのが本音だ。
ただ今回ひなちゃんを連れて食事会場に行った際、バイキングの利点を見つけた。それは、ひなちゃんでも食べられる食材をその場で探せるということだ。
我々が食事をしながらひなちゃんに離乳食をあげるというのはなかなか難しいため、必然的にいつも食事のタイミングはずれることになる。家なら我々が食事をしている時は自由に遊ばせておけばいいが、外食となるとそうはいかない。
ひなちゃんが人が食べているのをおとなしく見ているはずがない!机の上のものを次から次へと引っ張って来てはひっくり返そうとするひなちゃんの行動を阻止するには、一緒に食べるというのが最も効果的なのだ。
夕食では白米と湯で野菜のブロッコリー、朝食ではパンにチャレンジした。どれも我々でいう二口ほどの量を小さなお皿に取って食べさせたところ、とても機嫌よく静かに食べていた。おかげで我々も平和に食事を楽しむことができたというわけだ。
 最近はひなちゃんの動きが以前よりも激しくなったこともあり、外食に難しさを感じ始めていただけに、今回のバイキングでの発見は大きな収穫だった。自分の手柄のように書いているが、この作戦を考え出したのはもちろん妻だ。幸いにもひなちゃんがなんでも食べる性格というのもあって、今回のバイキング作戦は大成功だった。
 今後ひなちゃんの食べられるものもどんどん増えて行くだろう。そうするとバイキングがより楽しくなること間違いなしだ。
ひなちゃんに自分たちの料理まで取ってきてもらえたらなんていう考えはない。ただ、美味しいものを我々にもお裾分けしてくれるような子になったら、それはこの上なく幸せなことなのかもしれない。

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