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眼鏡のトップデザイナーの一人、榎本郁也さんとの雑談

ブリンクの荒岡俊行です。
世の中には、こんな眼鏡の世界もあるということを知っていただけたら幸いです。

今回ご紹介するのは、I.ENOMOTO (アイエノモト)というブランドで、
日本の眼鏡のトップデザイナーの一人の榎本郁也さんです。

榎本さんとは旧知の仲で、若い頃からいつも眼鏡について話していました。

I.ENOMOTO (アイエノモト)のコレクションで、うちのショップの為に、
チタン素材の眼鏡の内側にバッファローホーンをあしらった別注モデルを
作っていただきました。

スタッフの渡辺を進行役にし、榎本さんと荒岡で対談というか楽しく
雑談をさせていただきました。
最後まで、お付き合いいただきますようお願いします。

左から、榎本さん、荒岡、渡辺


頼んでいないのに別注モデルが出来上がってしまった....笑


渡辺
「早速ですが、そもそもこの別注モデルが始まった経緯を教えていただけますか?」

荒岡
「経緯はですね、別に別注モデルを頼んだつもりも無いんですよ! 笑
頼んでないのに出来上がってきちゃったって感じですよね。笑」

榎本さん
「まあそうですよね...  ショップオーダーというよりは、提案という感じですよね。」


荒岡
「そもそも、以前は別注はよくやってましたけど、最近は、別注はあんまりやってないんですよね....    こういうコレクションは、本来インラインの方がいいんじゃないかと思っているんです。デザイナー主導で考えた方が、僕らが考えるより良いものが出来るんじゃないかと思っていて。
だから最近はあんまりやらないんです。」

渡辺
「それで、今回の別注モデルは、どこから話が浮上したのですか?     」

荒岡
「これは、もともとは榎本さんとの話の流れで、アイエノモトのコレクションはメタル素材のわりにちょっと線が太くて、プラスチック素材とメタル素材の中間のような感じがしますが、もうちょっと線が太くても良いですよねという話になりました。
そしたら榎本さんが、でもリムを太くするのもなかなか難しいから、じゃあアセテート素材(プラスチック)のインナーリムは内側に入れるのはどうですかっていう話になったと思うんですよ。覚えてますか? 笑 」

榎本さん
「そうでしたね。アセテートのリムの話が最初で、
アセテートだとミニマムのロットが大きいので、
バッファローホーン(水牛の角)で、大澤鼈甲さんに作ってもらったら、
色や柄もきれいだしどうだろうとなり、
じゃあ、作ってみますよという流れでしたね。」

荒岡
「だからプロトタイプって感じですよね。笑
そう、本当に試作なんですよ。
別注ではなくて、試作なんですよ。笑
だからちょっと実験的な感じですよね。
でも意外と作ってみたらすごく良かったですね。

渡辺
「すごく良かったですね!」


榎本さん
「すごくカッコいい仕上がりになりました。
色合わせがやっぱり結構一番難しいところなんですけど、
大澤鼈甲さんのところに行った時に、
これでやろうかみたいな感じで。」

渡辺
「そうなんですね。
まさか進行してるとは思わなかったです。笑」

荒岡
「いや、打ち合わせも、ちゃんとしていないですね。笑」

榎本さん
「そんなに深くは話していなかったですよね。笑
でも、実際にこの感じになるまでに、結構何年も会うたびに話してるじゃないですか?
こういうのだったらいいよねみたいな。」

荒岡
「榎本さんと一緒にカフェに行っても、お互いにいつも眼鏡の話しかしないですからね。笑」

0.1ミリの精度を出すチタン製眼鏡と天然素材との組合わせ

榎本さん
「今回のバッファローホーンのインナーリムは、一点モノなんで、生産ロットもなく作りやすかったです。
逆に、同じ柄でもう1本作ってくださいと言われても、
天然素材なんで難しいという問題はあります。柄が入っちゃうと、再現が難しいですからね。同じ感じには、なかなかならないです。」

荒岡
「それもまた、天然素材の魅力ですよね。」


榎本さん
「BR-1という色番の薄いブラウンのフレームで作ってみようと考えていたら、ちょうどグレージュみたいな色のバッファローホーンがあったので、作りました。
トーンが近くて、内側だけちょっと柄が入ってるから、
ただ単純に輪が太くなったというよりは、ちょっとアクセントが出てるような感じです。」


荒岡
「インラインのフレームよりも、雰囲気が出ますね。
メタル部分のチタン素材って、なんとなく工業的というか無機質な感じがするんですけど、それと天然素材のこの温かみのコントラストがすごく良いですね。」

榎本さん
「そうですね。一番組み合わせとしてはケアもしやすいし、
良いカタチの一つじゃないかなと思うんです。」

渡辺
「柄も、きれいですよね。これは、左右対称みたいな柄になってます。」

榎本さん
「天然素材だと左右非対称なものもあるんですけど
基本的に、天然素材で柄を取るときは、近いところで取ったり、裏表で取ったり、いろんなやり方があるんです。
この柄を見ると、上下のグラデーションも左右で続いていますよね。」


荒岡
「でも、やっぱり柄の入り方というか模様は、意図的にできるものじゃないじゃないですか。
自然に生まれてくるというか、そこが面白いなと思って。

榎本さんの計算されて作られたデザインと天然素材の自然から来る、無秩序な感じと
いい感じのギャップが生まれますよね。」

榎本さん
「そういう意図的なものと意図しないものとの組み合わせというのは
確かに他にはないかもしれない。」


頼んでもいないのに作り、美しいことに従順なのは、ある意味信頼のおける存在!?

荒岡
「ところで、まさにお願いしていなかったのですが、
この色も勝手に別注色を作っちゃったんですか?笑」

榎本さん
「これは、作っちゃったんです....笑
逆にバッファローホーンの柄を見た時に、
このフレームの色が合うなと思ったんです。笑」

荒岡
「確かに同色系ではあるんですけど、
内側の色の方が微妙に濃いじゃないですか?」
内側が濃くなることによって、
元のデザインと、全く違うデザインに仕上がっていますよね。」

榎本さん
「印象も引き締まるし、キャラクターもちょっと違うんで
お客様を選べるかなと最初に考えました。」

荒岡
「でも、本当にやっぱりこの色の感じも
またアセテートとは全然違いますよね。」



榎本さん
「情報量が全く違うんで
やっぱり、見た目が違く見えるんですよね。」

渡辺
「抜け感がしっかり出るんで
完璧すぎない感じが見えますね。」

渡辺
「ここから見るとリムが太くなっているので
ちゃんと見えますね。
かけてみると、しっかりとした印象になります。
何気ない会話からここまで成立して行くなんて…
昔からいろいろコミュニケーションを取っていたからこそ生まれた眼鏡なんですね。」

伝統的な鼈甲の眼鏡づくりを継承する、大澤鼈甲のご協力で実現

榎本さん
「あと大澤鼈甲さんが、協力してくれましたしね。大澤鼈甲さんとは普段から仲良くさせていただいているので、お願いし易い背景も大きかったです。今回も楽しんで作っていただきました。
柄だったり、柄の合わせだったり
丸みだったりっていうところに結構気を使ってくれるんですよ。

こういう感じでいいんでしょみたいな。笑
柄を取るルールは、やっぱり濃い色が上にきて
下が薄い色みたいな感じになるのが
一般的なルールです。
色の濃さのグラデーションが、ブロウっぽくも見えなくもない。」


荒岡
「このメタルフレームでも、他にも色展開があるじゃないですか?
例えば、マットブラックもあるので、
なんかちょっと続きが見たくなりますよね?」

榎本
「マットブラックとかだったら.....
ブラックとホワイトのパターンとかがあっても、絶対可愛いと思うし
ゴールドとシルバーのフレームカラーとかもありますからね。」

荒岡
「ちょっとなんか.... 実験が続きますね!  笑
今後、お客さまからの別注の色の組み合わせをオーダーで受けてしまうのは、どうですか?
アイエノモト・ビスポークみたいな。 
天然素材になるので、榎本さんにお任せになりますが... 笑  
ある意味、贅沢なビスポークですね。笑 」

渡辺
「今回も、全くのお任せでしたよね? 笑」

榎本
「フレームカラーが、マットブラックとかゴールドとかも
できるかなという気がしますね。
同じようなノリで 笑」

天然素材を用いているが、かけ心地の良さは最上級 ”BEST” です

荒岡
「話は変わりますが、今回の眼鏡は、バッファローホーンの眼鏡にしては軽いし、すごく実用性がありますね。
以前に海外のブランドで、バッファローホーン素材の眼鏡を取り扱ったことがことがありますが、フィッティングが出来ずに大変でした。

ですが、このアイエノモトの眼鏡は、やっぱりサイドのテンプルのバネがすごく効いてますよね。フィッティングにも問題がなく、理想的ですよね。」

榎本さん
「かける人の立場を考えると、かけ心地、フィッティングの問題というのは、とても重要です。」

渡辺
「実用性と美しさが両立したような眼鏡に仕上がりましたね。」

気になるお値段ですが、商品の詳細は、下記のブログで紹介しております。
ぜひ、クリックしてご覧ください。

I.ENOMOTO 別注 バッファローホーン仕様発売

http://blinc.co.jp/blinc/journal/14045/

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