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「参加して楽しい」が世界を変える

こんにちは、ベースボール・レジェンド・ファウンデーション(BLF)代表の岡田真理です。今回も引き続き、メジャーリーグ取材時に目撃したチャリティーのエピソードをご紹介します。

ある日、私が取材でボストン・レッドソックスの本拠地フェンウェイ・パークを訪れたときのことです。試合を観に来たファンが、みんな白いソックスを手にしていました。彼らはそれを、ゲート近くにあるバスケットに次々と入れていきます。

その白いソックスは、ホームレスの人たちに配られるものでした。チームの公式サイトで、数日前から「この日の試合には、白いソックスを持ってフェンウェイに行こう!」とアナウンスしていたのです。

「レッドソックスなのに、なぜ白いソックス?」と思ったのですが、ホームレスが誤って怪我をしてしまったときに、赤いソックスだと血液が見えにくいからとのことでした。

その日はスタジアムに来た家族連れやカップルなど、多くの人が白いソックスを寄付していました。バスケットに一足だけそっと入れる小さな子ども。家にたくさん余っていたのか、束になったソックスをガバッと投げ込むお母さん。そして、お互いの持ってきたソックスを見せ合って微笑む若者のグループ……誰もがとても楽しそうにその企画に参加していました。

違う日には、ボストンのとある広場に市内のアイスクリーム屋さんが大集結。そこに、レッドソックスの選手の奥様やガールフレンドたちも大集合。アイスクリーム食べ放題イベントの開催です。選手の奥様やガールフレンドたちは、アイスクリームをカップに盛りつける係なのだそうです。

入場料を払えば、なんとどのお店のアイスクリームも食べ放題。その入場料は、以前の記事で紹介した「ジミーファンド」という小児ガン基金に寄付さるということでした。

このイベントは毎年行われ、多くのボストン市民が駆けつけるとのこと。ほとんどの人がチャリティーと知った上で参加していますが、チャリティーであろうとなかろうと、「アイスクリーム食べ放題ならぜひ行きたい!」と思う人はきっとたくさんいますよね。

さらにさらに!また別の日には、フェンウェイ・パークで「ミステリーバッグ」なるものが販売されていました。これは、日本でいうと福袋のようなもの。謎のバッグに何が入っているかは開けてみてのお楽しみ!というわけですが、選手が使用した練習着やバッティンググローブ、リストバンドなどが入っているそうで、ファンにとってはたまらないお宝ばかり。その売り上げはチームを通して、さまざまな慈善団体に寄付されるそうです。

メジャーリーグのチャリティーは、私が見る限り、いずれもファンが楽しんで参加できるものばかりでした。日本では、社会貢献、慈善活動というと、つい肩に力が入って、深刻に、真剣にやりがちです。球場での募金活動も、選手たちは笑顔少なめですよね。(災害時など被害者がいる場合は仕方ない部分もありますが……)ですが、こうして楽しんで参加できるチャリティーは、楽しいスポーツの現場ならではだなと感じました。

チャリティーに「楽しい」というエッセンスが加われば、もっと参加意欲が湧いて、偉大な力を生み出すかもしれません。まさにプロ野球という国民的スポーツの現場こそ、“楽しいチャリティー”をやるに相応しい場所のような気がします。


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