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楽天・則本昂大選手のチャリティー活動勉強会レポート

8月16日、NPO法人ベースボール・レジェンド・ファウンデーション(以下BLF)のインターン生が中心となり「楽天・則本昂大投手の活動を学ぶ勉強会 〜日本における子どもの貧困についての現状〜」をオンラインで開催しました。公益社団法人チャンス・フォー・チルドレン(以下CFC)で代表理事を務める今井悠介さんをお招きし、講義を担当していただきました。

則本選手は、2019年シーズンに東北の子どもの教育支援活動を開始。2020年シーズンからは1イニング投げるごとに1万円を積み立てて寄付する成績連動型支援を行っており、同シーズンは109万円を寄付しています。

この勉強会は則本選手の活動を野球ファンの方に知ってもらい、子どもの貧困問題の現状を考えてもらうことを目的としており、当日は今井さんによる講義とワークショップを実施。参加者全員が、問題について話し合う機会が設けられました。

CFCは教育格差解消を目指し、日本全国で生活困窮家庭の子どもたちの教育支援事業を運営しています。関西の学生ボランティア主体のNPO(プレーンヒューマニティー)が母体となり、東日本大震災を契機に法人設立されました。2018年の西日本豪雨で被災した子どもへの緊急支援や、東京都をはじめとした行政との連携を行い、活動の幅を広げています。

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厚労省によると、2019年時点で日本に住む13.5%の子どもたち(17歳以下)が相対的貧困状況にあるそうです。これは「7人に1人」程度が該当することになります。CFCは以下の4つが繰り返される状況を「貧困の世代間連鎖」と表しています。

①親(大人)の経済的貧困
②子どもの教育機会の格差
③子どもの学力格差・進学格差
④若者の経済的貧困(職業選択の格差)

この「貧困の世代間連鎖」を断ち切ることがCFCの目標です。そして、生まれた環境で将来が左右されてしまう状況をなくしたいと考えます。

子どもの教育費において、最も負担が大きいのは「学校外教育費」。塾や習い事が該当し、ここで子どもの教育機会の格差が生まれていると今井さんはいいます。また、新型コロナウイルスの影響により、約9割の生活困窮世帯で所得が減少しているそうです。

こうした課題を解決するため、CFCでは「スタディクーポン」を提供しています。これは、則本選手をはじめとした支援者の寄付によって成り立っています。塾や習い事で使用することができ、以下の3つが特徴です。

①クーポンの使い道は、子どもの教育プログラムに限定できる。
②子ども達は学習・文化・スポーツ等、多様な教育機関の中から、自分に合ったものを選択できる。
③スティグマ(差別や偏見)の問題を軽減することができる。

実際に利用した子どもからは「クーポンが使えてとてもうれしいです。好きなスイミングがたくさんできるからです」「クーポンを利用することでこれまでのように塾を続けることができました」といった喜びの声が上がっています。

支援を必要としている子どもは約173万人いるとされています。そのために必要なスタディクーポン額は約3,046億円です。しかし、2019年は8,300人以上の子どもたちが落選し使用できませんでした。これからは、寄付金に加え自治体と協働してクーポンを提供することを進めたいといいます。最終目標は「スタディクーポンを国で政策化」すること。「多様な学びをすべての子どもに」をモットーに、より良い社会作りを目指します。

講義終了後は4〜5人のグループに分かれてワークショップを実施。「スタディクーポンを広めるためには」について話し合い、全員が参加できる勉強会となりました。今井さんが最も印象に残ったグループの参加者には、則本選手のサイン色紙がプレゼントされました。

勉強会を主催したBLFインターン生からは、「時間が思った以上に押してしまい、時間配分に苦労した」「参加者の方が積極的に参加してくれたので、自分も楽しめた」といった感想が聞かれました。参加者からも、「このような取り組み自体を知らなかったのでとても勉強になった」「広く知れ渡るようにするにはどうすれば良いのか、引き続き考えていきたい」といった声がありました。

今回の勉強会のような機会を通じて選手の活動を知ることにより、支援先の現状への理解がより深まるのではないでしょうか。数多ある社会問題の現状を知り、少しでも力になれないか検討してみたいと感じさせられました。

※カバー写真は、勉強会参加者に向けた則本選手のビデオメッセージのスクリーンショットです(映像協力:東北楽天ゴールデンイーグルス)

レポート執筆:BLFインターン内山陽貴(法政大学3年)

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