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NEVERLAND is ...... mine !

本日のnoteは28日のマチネ公演で鑑賞させて頂いた@emotion『NEVER EVER NEVER』の感想noteです。

母なる引力に海は応え
涙を拭いに空を飛ぶ。

NEVERLAND is ……mine.

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突然訪れた親の死を受け止めきれない男。
世間を受け入れられない"男の子"は母を探す、長い長い旅に出る。

その旅路の末に待つは、
結末か終末か。

この夜が終われば。朝日を見ればまた違う世界が広がる。
知った気になるのが大人なら、僕はまだ子供なんだ…

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@emotionがメッキの世界に送る
心象冒険ファンタジー。
あなたと終わりから始める、永遠の旅。

@emotion 『NEVER EVER NEVER』公式サイトより

童話『ピーターパン』のような世界の中、一人の男の子が自分の物語を歩み出す。ただ代わりのきかない、他の誰でもない「ママ」を探すために。

まず、衣装などをはじめとして、演者さん、舞台世界のビジュアルがとても良かった!タペストリーがたくさんロビーに飾ってあったのですが、宣材写真のビジュアルもすごく良くて、実際の舞台で見た時もとても素敵でキラキラしていて、演劇の世界、ネバーランドがそこにあるって感じさせられた。私は特にティンク、スマイル、ピーター、メダリア、リリーの衣装、あ、人魚の皆さんは全員言うまでもなく素敵な衣装でそれが好きだったなあ…。雰囲気でいうとジョンマークとジェリーがとても愛おしくて、素敵だなあと思わされました。ジョンマーク役の方は僕が見たタイミングの公演のカーテンコールでご挨拶をされていたのだけれど、その時にとてもコミカルというか、こう面白くて、こう、わたわたしていて、あったかくて。なんかその雰囲気もとても好きでした。素敵なお話をありがとうございました。
舞台のセットは上下にやや複雑に組まれていて、舞台が本当に広く、ネバーランドがそこにある…!っていう感じがしました。個人的に好きだったのは、船が進んでいるという物語展開の中で、「ねえこの船全然進んでなくない?」みたいな会話があって、それに対する返事が「進んでんだよ!大人の都合だ!この世界は想像力で成り立ってんだ!」で。それを言っているのが演出もしていらっしゃるキャストさんで、めっちゃメタくない?っていう。ある意味、ここに現実と想像世界が入り混じってる気がしていて、とても面白かったなと思いましたねえ。うん、本当に良かった。

次、舞台そのもののお話。
ストーリーを考えると、私は授業で『ピーターパン』を勉強したタイミングがあったから、そのこともあって、かなりしっかりモチーフになっているであろう物語に対して、履修度?理解度?が高い状態で舞台を見た。だから、原作のキャラクターとどのくらい関連しているのかとかも推測しつつ見れたなあ…、解釈するのも楽しかったなあ…という心境も一部あって。そういう意味でも楽しかった舞台だった。
でも、それと同時に少しだけ苦しくもなって、なんだか考えさせられた舞台だった。志賀は自分の家族との折り合いがあんまり良くなかったりとかもして、家族を探しにいく(まあ、というか、家族のために何かする…みたいな展開?)っていうストーリーにはしばしばちょっとついていけない…という心境になりがちなのだけれど、そういうところも含めて考えさせられてしまった。だからこそ、ある意味、「ママ」を探す彼よりも、そういう主人公の彼以上に大人たちの葛藤や欲望が理解出来たし、痛みも理解出来た。ある意味生々しい部分を含んだ恋も愛おしいと思った。ピーター達の「キス」を楽しそうだな、綺麗だね、って思うけど、それ以上にメイとマーロの恋が私はとても痛いからこそ、それすら綺麗だと思った。楽しくはないけれど、楽しい事だけ考えられる舞台ではないと私自身にとっては思ったけれど、それが大事だと思った。パンフレットと台本を物販で買わせて頂いたんですが、その中に書いてあったコメントでどんな解釈でもいいような話を書いてくださっていたキャストさんがいて、そのおかげでこういう感想も綴れているところがある。ありがたいです。

次、公演で出来た私の推しのお話。
今回の舞台を見て、思わず好きになってしまったのは、フール役の門野さんだった。
まずはキャラクターが魅力的。滅茶苦茶好みでした…。色気のある、ちゃらめな、なんかこうだけど愛すべき人。とにかくかっこいい。スマイルを守っている時のフールは惚れるし、お兄さん味を感じた。かっこいい。(志賀はお兄さん気質が好きな傾向にあるので、まあ、そういうところもある。)
ネタバレになるので、詳しくはかけないけれど、舞台終盤、彼がまた物語の始まりを担うのだと思った時、思わずときめいてしまったし、その物語を読みたいなと思った。
あと、フールが語る言葉とそれを語る声がとてもいい。門野さんというお人柄がそういう特徴をお持ちなのか、たまたまこの舞台のための声なのか分からないけれど、でも、個人的にとても好きな声だったし、その声で聞けて最高に幸福な言葉だなと思った。
そして、門野さんがこの脚本を書き、演出をしたことを知って、うわ、何それ、ずるい…!!と正直思った。その脳味噌くれ…!(アイデアが素敵すぎるから、私もその思考回路やあり方が欲しいという意味の褒め言葉)と思った。こんな魅力的なキャラクターを演じられて、こんな世界を生み出せる人が目の前にいるのだ、板の上に立っているのだと思ったら、それだけで世界がキラキラするような、そんな刺激をもらえた気がしました。

日常に刺激を、というのが@emotionさんのコンセプトらしく、それを正に体現されて、私達に実感させてくれているなと思いました。本当に素敵な刺激、只の刺激だけではない、煌めきを本当にありがとうございます。

最後に。

「知った気になるのが大人なら、僕はまだ子供なんだ」

そう言い切った彼がどこか心に痛くて、私は「大人になってやる」って叫びたくなった。それでも子供で居続ける君を知った気でいたいよ、知った気にしかなれないけど、それはとても苦しいことだけれど、それを分かろうとするのが、きっと「大人になる」ってことで、僕にとっての物語だ。

楽しい事だけ考える事は出来ない。そう出来なくなった私はもう子供にはなれないのかも。けれど、僕は守るものがあるから、そのロマンも祈る事が出来る。
だからこそ、そのまま僕は。

大人になりたい。

NEVERLAND is …… mine ! ネバーランドは僕の物!
僕等じゃない、僕等とは言えない、そんな僕の、これは楽しい、綺麗なだけではない、そんな僕だけの物語。
そんなことを考えさせてくれて、感じさせてくれてありがとう。

素敵な時間をありがとうございました。
@emotionの皆様、舞台に関わったすべての方、そして、これを紹介してくれた僕の愛する演劇人たる友人、何よりこの世界を生み出した門野翔さんに心から敬愛の気持ちを込めて。
5月に決定している大阪公演含め、皆様のこれからの日々に数多の祝福がありますように。


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