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ピンインすらあやふやな金髪の少年が6週間でHSK5級に合格したストーリー 中

まえおき

 筆者は全然知名度のない新米クリエイターなので、以下に外国語に関するバックグラウンドを列挙します。

  • 高校のとき中国へ一年間交換留学

  • 中国の四年生大学へ進学

  • イギリスにも二年滞在(中国の方が多かったので、シェアハウスでは中国の方6人とキッチンやリビングを共有していました。)

  • 日本にいる時も、元カノが中国やイギリスの女性だったり、外国人の友達と頻繁に遊んだり

  • 本職はプログラマー。好きなプログラミング言語はTypeScript

そんなこんなで、10年以上、中国語と英語を話してる者です。

結論

 結論から言ってしまえば、誰でもHSK5級で220点以上獲得することはに2ヶ月でできます。中国語はピンインができないところからで良いです。魔法のカリキュラムや勉強法は存在しませんが、基礎をしっかり固めて、理にかなった順序でその後の学習を進めるだけです。理にかなった順序というのが重要で、听力、阅读、写作をどの順序でどこからやっていくかは人それぞれで、決まった正解もなければ、万人にあった一番効率の良い順序なども存在しません。身近に中国語の上級者がいるのなら、現在のご自身の中国語力にあった学習順序を決めてもらい、それはどう言った理由で効率的なのかを説明してもらい、それを参考にしてください。アドバイスはもらえますが、最後に決めるのは自分自身です。

当記事の主役

 当記事の主役は当然のことながら、金髪少年です。彼がどのような状態から、どのような学習順序でHSK5級の220点以上(正確な点数覚えていません)を取得したかを、解説していきます。何度も言いますが、HSKというより、基礎をしっかり固めることの重要性がわかるので、これから中国語を勉強する方には大いに参考にしていただきたいです。
 私が彼に会ったときはすでに黒くなっていましたが、金髪少年と私が呼称するのにはショッキングな由来がありまして、実は彼、高校卒業前に髪を金髪に染めたことで、父親が激怒し、大学に一年間通わせてもらえなかったのです(お父さんがなぜこの罰を課したのかは迷宮入り)。その間に警察になろうと試験を受けたようなのですが、勉強慣れしていなくて、玉砕したそうです。ひょんなことから、筆者がそんな勉強に不慣れな18歳の金髪少年の面倒を見ることになりました。

はじめにやったのはリーディング

 いきなり文章の読解と音読です。ピンイン→単語→文法をやたらゆっくりやりたがる初学者が多い印象ですが、教えてくれる人が身近にいるならいきなりリーディングで、いいです。
 使用した教材はHSK4級の听力です。听力と言っても、いっさいオーディオは聞かず、スクリプトの読解のみをやっていました。こなした量は過去問1回分のみです。私が三日連続で1日4時間となりについて、音読時のピンインの読み間違えを修正、文法等わからないことはほぼ全て解決、初心者にありがちな、今知らなくていいこと(上級者でも知らなかったりすること)に時間を割いたりしないよう、答える質問を選ぶことはしていました。
 とは言えピンインもあやふやで、単語量も50個前後の少年の1日目は4時間かけても、听力の第一部分がなんとか終わるくらいまでしか進みませんでした。自宅では毎日私と勉強したところを20回音読してもらいました。三日間でHSK4級の听力の過去問一回分が終了しました。この時点で、HSK4級合格に必要な文法力は身についていましたし、常用単語にもかなり慣れてくれたので、四日目からは毎日一回分の過去問の読解をしてもらうことになりました。もちろんHSK4級の听力のスクリプトの読解です。わからないことはほぼ私にメッセージで(少年いわく、パソコンでピンインを入力したりするのがかなり勉強になっていたそう)、どうしてもメッセージで聞きづらいものだけ、電話で質問してもらいました。結果、1週間で過去問5回分の听力のスクリプトの内容を全て理解している状態(正しく拼音が読め、文法、単語でわからないものがない状態)で、音読も過去問の数×20してもらっていました。

オーバーラッピングとシャードーイングとHSK5級の书写

 その後の2週間はひたすらオーバーラッピングとシャドーイングです。知らないよという人のために、簡単に説明すると、どちらもオーディオに続いて口に出してみるという学習法です。違いはオーバラッピングはスクリプト見ながらでいいのに対し、シャドーイングはオーディオのみです。つまり、オーバラッピングの方が楽だし簡単です。使用した教材は既にスクリプトを完全に把握しているHSK4級の過去問5回分の听力です。
 この2週間でもう一つやってもらったことは、毎日HSK5級の书写の並べ替え問題を解いて、わからないことを私に質問してもらい、解いた問題に関しては全て理解してもらいました。HSK5級の文法くらいは把握してもらわないと、お話にならないと思ったからです。1日16問(過去問2回分)ただ復習も大事で、問題もたらなくなるので、64問理解してもらった後は、その64問の日本語訳を見て、中国語に訳せるようにしてもらいました。途中から質問力も上がり、全てパソコンのテキスト入力のみで質問が来ていました(わからないことを、きちんと文章にできる)。私は半分くらい電話で回答していました。
 少年的には、この2週間のオーバラッピングとシャドーイングが地獄だったそうです。ここまでで、学習開始から、3週間が経過したので、HSK4級の過去問(もちろん触ったことないやつです)をやってもらったところ、9割以上の点数が取れるようになっていました。

この2週間の毎日のトレーニングメニュー:

  • HSK4級の听力過去問2回分オーバラッピング

  • 全然できなくていいので、オーバーラッピングしたものをシャドーイング。オーディオは止めない。

  • 2週間で书写(HSK5級)の並び替え問題64問の日本語訳を見て中国語が正しく書けるよう訓練。

HSK5級の学習を開始

 以下を10日間やったので、HSK5級10回分の過去問(听力のみ)をこなし、さらにHSK4より少々レベルの高いオーディオとスクリプトでオーバーラッピングをたくさん反復しました。

トレーニングメニュー

  • HSK5級1回分の過去問(听力のみ)を解き、わからないことは質問で解決

  • 解いた問題を3回オーバーラッピング(シャドーイングはさせませんでした。苦しいっていうのでw)

  • 過去問解く上で知らない単語があれば全て列挙、自分専用の単語リスト作成。

  • 暇な時作った単語リストを眺める(自主的にやってたそう)

残り3週間弱は普通に過去問

 残りの3週間は解いたことない過去問を実践と同じように、听力→阅读→书写の順にこなしてもらい、わからないことはいつものように質問してもらい、书写(作文問題)は私が添削したものを参考にして、もう一度同じテーマで同じ書き直すという流れで、量よりも、質を重視、つまり、やった後の反省会をじっくりして、進めた結果、実践と同じように解いた過去問はたったの3回分でした。というのも、実はこのステップに入ろうとやってもらった一発目の過去問で既に合格点とされる180点超えており(確か190ちょいだった)、目標だった中国の難関大学の入学基準を満たしていたので、目先の点数をあげにいくより、大学へ入学したあとの事をみすえて、単純な中国語力にフォーカスするべきだと考えたためです。最悪落ちても、次受けたら受かる(HSKはほぼ毎月受験できるため)だろうと思っていたのもありましたね。

上海の難関が大学で飛び級、二年生からスタート

 さすが金髪の少年というところでしょうか。まだ学習期間があったので、英語も学習して、当時&当記事執筆時のアジアランキングにおいて、20〜29位に君臨し続けている上海交通大学(日本でこれ以上のランキングは東大、京大、東京工業大学のみ)に挑戦できたし、英語の試験もほぼ確実に間に合っていたはずなのに、挫折、大学のランキングを勝手に下げ、同じく上海の難関大学である東華大学に飛び級で入学することになりました。大学に進学する前に日本の友達としっかり遊びたかったのでしょう。HSKだけで進学できる大学(外国人を受け入れている8割以上の大学がこれに該当します。)に行くことになりました。ちなみに、東華大学と上海交通大学の間くらいのランキングの上海師範大学にも飛び級入学はできたのですが、家が近い(当時彼のお兄さんが同じタイミングで上海へ駐在員として派遣されました)からという、流川楓のような理由で東華大学に入学、今学期で卒業予定です。

少年なぜここまでやれたか(最後妥協しましたけど…)

 勉強慣れしていない少年が6週間という学習期間でHSK5級の220点を取得したのは決して、テクニックを覚えたり、HSKを研究し尽くした専門家の助力があったわけでもありません。HSKを学習リソースとして扱っただけで、ひたすらオーバーラッピングやシャードーイングを反復するなどの地道な努力で基礎づくりに注力したからです。自分にはまだ早いと思う気持ちを抑えて、ほぼ初心者の状態でいきなりHSK4級の听力のスクリプトの読解を受け入れたのも勇気ある選択だったと思います。
 まとめると二点、地道な努力と挑戦する勇気です。

最後に

 読書でインプットすることは非常に効果的ですが、せっかくインプットしたものをアウトプットする場を提供したいという思いから、Discordのサーバー(Lineのグループチャットのようなもの)を完全無料で運営しています。欧米、英語圏、中国語圏のメンバーが在籍しており、中国語、英語、日本語で、テキストで気軽に会話が楽しめる環境となっています。学習の相談ができる仲間がほしい、アウトプットがする場がないという方は、是非ご活用ください。メンバー間で通話をして、スピーキングを鍛えたり、ランゲージエクスチェンジもしていただけます。無料のコミュニティの性質上、ごく稀に招かれざるものが入ってきますが、変な人はすぐにバンしますので、ご安心ください。

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