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DSM-5 精神疾患の分類と診断の手引 【読書感想文】 TR出ましたよ

★★★★★
Amazonでレビューしたものです。



アメリカの学会の出版した精神疾患の診断の手引き


米国精神医学会(APA)という学会があります。
アメリカの精神医学会です。日本の日本精神神経学会のようなものでしょうか。

そのAPAが発行した精神疾患の診断をつけるガイドラインがあり、
その簡易版、通称「ミニD」になります。

多くは病気になった場合、
症状→受診→診察→検査→診断→治療」
という順番になります。
検査は状況によってしないこともありますし、病状によっては診断をはっきりとつけず症状を和らげる対症療法となることも多いでしょう。
上の流れの中で、診察で確認した症状と、場合によって行った検査をもとに、病気の診断をつけるための基準のガイドラインです。

【目次】

DSM-5の分類
I DSM-5の基本  
II 診断基準とコード
1 神経発達症群/神経発達障害群   
2 統合失調症スペクトラム障害および他の精神病性障害群  
3 双極性障害および関連障害群  
4 抑うつ障害群  
5 不安症群/不安障害群  
6 強迫症および関連症群/強迫性障害および関連障害群  
7 心的外傷およびストレス因関連障害群  
8 解離症群/解離性障害群  
9 身体症状症および関連症群  
10 食行動障害および摂食障害群  
11 排泄症群  
12 睡眠-覚醒障害群   呼吸関連睡眠障害群   睡眠時随伴症群  
13 性機能不全群  
14 性別違和  
15 秩序破壊的・衝動制御・素行症群  
16 物質関連障害および嗜癖性障害群   
17 神経認知障害群    
18 パーソナリティ障害群  
19 パラフィリア障害群  
20 他の精神疾患群  
21 医薬品誘発性運動症群および他の医薬品有害作用    
22 臨床的関与の対象となることのある他の状態    


一例

この中の一例として、5不安症群/不安障害群の社交不安症/社交不安障害(社交恐怖)の部分を下記に引用します

社交不安症/社交不安障害(社交恐怖)
A. 他者の注視を浴びる可能性のある1つ以上の社交場面に対する、著しい恐怖または不安、例として、社交的なやりとり(例:雑談すること、よく知らない人に会うこと)、見られること(例:食べたり飲んだりすること)、他者の前で何らかの動作をすること(例:談話をすること)が含まれる。
注:子どもの場合、その不安は成人との交流だけでなく、仲間達との状況でも起きるものでなければならない。
B. その人は、ある振る舞いをするか、または不安症状を見せることが、否定的な評価を受けることになると恐れている(すなわち、恥をかいたり恥ずかしい思いをするだろう、拒絶されたり、他者の迷惑になるだろう)。
C. その社交的状況はほとんど常に恐怖または不安を誘発する。
注:子どもの場合、泣く、かんしゃく、凍りつく、まといつく、縮みあがる、または、社交的状況で話せないという形で、その恐怖または不安が表現されることがある。
D. その社交的状況は回避され、または、強い恐怖または不安を感じながら耐え忍ばれる。
E. その恐怖または不安は、その社交的状況がもたらす現実の危険や、その社会文化的背景に釣り合わない。
F. その恐怖、不安、または回避は持続的であり、典型的には6ヶ月以上続く。
G. その恐怖、不安、または回避は、臨床的に意味のある苦痛、または社会的、職業的、または他の重要な領域における機能の障害を引き起こしている。
H. その恐怖、不安、または回避は、物質(例:乱用薬物、医薬品)または他の医学的疾患の生理学的作用によるものではない。
I. その恐怖、不安、または回避は、パニック症、醜形恐怖症、自閉スペクトラム症といった他の精神疾患の症状では、うまく説明されない。
J. 他の医学的疾患(例:パーキンソン病、肥満、熱傷や負傷による醜形)が存在している場合、その恐怖、不安、または回避は、明らかに医学的疾患とは無関係または過剰である。
>該当すれば特定せよ
パフォーマンス限局型:その恐怖が公衆の面前で話したり動作をしたりすることに限局されている場合

やっぱり、英訳だからわかりにくい、読みにくいですね。周りくどい。仕方ないですけど。

感想と期待



精神疾患の診断の特徴として、「検査」がなかったり少なかったりすることだと思います。

例えば新型コロナ肺炎の場合、
咳とか痰とか息苦しさとかという「症状」があり、
胸部レントゲン検査で肺炎の所見やPCR陽性などの「検査」で診断することが多いでしょう(状況的に症状で診断することもあるかもしれませんが)
しかし、この検査で陽性なら社交不安症という検査はありません。

もちろん、MRI,f MRI,PET,SPECT,NIRSといった脳検査が研究により進んでおり、診断基準にSPECTなどの結果が含まれている精神疾患もありますが、全体の中ではとても少なくなっています。

この問診で症状のみから診断をつけるという状況は、早く改善されてほしいと個人的には思っています。


また、厄介なことに、
DSMの他にICDという診断基準もあります。
世界保健機構WHOの発行したものです。
日本ではどちらかというとDSMが優勢な印象ですが保険などではICDが記載が必要だったりします。
さらに、この2つが主流になる前の従来の診断や、医療保険では保険病名もあります。
病気が違うということはないのでほぼほぼ似ているのですが、それぞれ微妙に違っていてわかりにくく、紛らわしい現状です。
さらに改訂のたびに変わるので、何がなんだか、です。

親本はこちら。高い。


さて、このDSM-5は2014年のものです。
2023年には、TRが出ました。
が、23100円とお高すぎるので、こちらもミニが出るのを待ってます。
職場で買ってくれないかしら、、


著者:American Psychiatric Association 
 
出版社 ‏ : ‎ 医学書院 (2014/10/23)
発売日 ‏ : ‎ 2014/10/23
言語 ‏ : ‎ 日本語
単行本 ‏ : ‎ 377ページ
ISBN-10 ‏ : ‎ 4260019082
ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4260019088


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