3日目、電通の正社員→個人事業主化戦略の意図

今回はタイムリーな記事をそこそこの深さで解説できそうなので、ブログ書くのが楽しみ。どうも黒子マンです。今回の考察する記事はこちら。

正社員230人(全社員の3%)を個人事業主として働いてもらうということらしい。まったく同じ動きをする企業としてはタニタがあげられる。タニタの公式ツイッターの中の人が「タニタを退職した」ということをタニタの公式ツイッターに投稿して、一時期話題になった。何回タニタいうねん!

さて、今回の記事の方針は、今回の個人事業主化の利点を社長目線で考察する。その次に、個人事業主へ転換すると仮定したときの正社員からみたデメリットを考えてみる。


社長から見た正社員の個人事業主化

まず大前提として、社長の至上命題を明確にすると、「社員の生活を最低限保証したうえで、最大限の利益を上げること」である。ここで最低限という言葉の重さは、例えば、電通の社長は7000人もの社員を路頭に迷わせない責務を負って経営しているということだといえばその重さが伝わるだろうか。人の生活を守ることに人数は関係ないとは思うが。ただ、逆に言えば社長としては、社員の生活を守るかわりに社員にはできる限り働いてほしいというわけである。そのような視点を持ったうえで今回の正社員の個人事業主化を見ると、その利点もはっきりとわかる。

まず第一に、「社員を雇う」行為から会社が解放されるという点である。巷ではこの話を聞いて、「長時間働かせて残業代を払わないための措置だろ!」とか「社会保障費を払わないようにしなくて済むためだろ!」とか言われている。僕はそういった意見は、コストカットに限ったものの見方だと思う。正社員を雇う行為の重さはコストカットとは別次元だと思う。それに正直、コストカットが目的か否かは、業務委託契約の詳細を自分の目でチェックして実際に試算しないとわからないだろう。タニタは記事内で、社会保障費などは契約に含まれていると述べていた。それでも注意したいのは、例えば電通の業務委託契約は10年だという点である。労働基準法により、一度社員として会社が雇えば、倒産などの特別な理由がない限り一生雇い続けなければならない。(←これが経営者が社員の生活を守らねばならない根拠である。)この業務委託では、契約を継続するか否かは会社の裁量で決まる。特に自分は今21歳だが、10年契約を結ぶとすれば、31歳で路頭に迷う可能性があるということである。これはかなり一大事である。けど、フリーランスという職業形態の本質でもある。年功序列型の日本の社会が良いのか、成果報酬型の欧米の社会が良いのか、という議論とも関係することで善悪の判断は難しいと思う。

第2に、「社員のケツを叩いてよく働いてもらう」ということである。これは、紹介したいくつかの記事の中でも特に強調されていたことである。これは建前などではなく、経営者の紛れもない本心であると思う。しかし、これは僕の主観であるが、社長が想定する正社員の個人事業主化を利用してほしい対象者は、有能な社員ではないと思う。経営者からして有能な社員というのは、個人事業主として会社と対等な関係を築かせたくはないはずである。むしろ、優秀な社員であれば、他社に引き抜かれたりしないように、自身の会社の社員として囲い込むはずなのである。サラリーマンとしての安定した生活(固定給や、労働によるリスクや資金を会社が負担することなど)を保障する代わりに、労働力を買い上げることが会社の役割だと考えれば、当たり前のように感じられるのではなかろうか?だから、今回の正社員の個人事業主化では、社員の中でもあまり働いていない人、成果の出せていない人を対象にしていると思う。正直、優秀な社員には、個人事業主化とかいうまどろっこしいことをせずに、副業可能だったり新規事業への割り当てだったりを積極的にしてやればよいだけの話だと思う。


正社員からみたデメリット

正直、正社員から個人事業主になることにメリットはないと思う。あるにしても、自立心を養うとか自分を追い込むとかメンタル的な話になってくると思う。まぁそれは人生において一番大事なことだという気がするの事実だが。デメリットは、これまで述べたように、正社員としての固定給や雇われることへの安定を手放していることに尽きる。また、社長が背負っていた社員の生活への責任を、社員が個人事業主となって一部をもらい受ける、ということでもあると思う。もし僕が社員だったとして個人事業主になって業務委託契約しないかと誘われたら、最低限、搾取されないように全力を尽くしたうえで判断するだろう。業務委託としての各種報酬の相場感や、他社ともビジネスできるだけの知識や経験が身につくのかといった今後の展望など、人生をかけた決断になると思う。その点、タニタの中の人の言い分は若干、社長を信頼しすぎているような気がしないでもない。

あとがき

いろいろ知識を総動員して、頭の中にあることを全部吐き出したみたいな文章になっていると思う。文字数も2050文字なので相当長い。何か感じることがあれば、コメントを頂けると嬉しいです。少しでも読んでいただいた方、ありがとうございます…本当に…

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