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限界な妊婦が「もうあかんわ日記」を杖にしてる話

哺乳類とかいう生殖システムを作った神様はまあまあクレイジーだと思う。

卵を産んで守るのと赤ん坊をお腹の中に入れて守るのと、防御力はさして変わらない。何なら卵の上に座って全身で温め守った方が、腹パンされたり転けたりするリスクを考えるといくらか防御力は高い気がする。

おまけにつわりとかいう強制体調不良イベントで妊婦の戦闘力はゼロどころかマイナスだ。なんでや。赤ん坊守るためにむしろスーパーサイヤ人になる仕組みにすべきじゃないのか。

私も妊娠19週、まもなく6ヶ月といった頃合いに入ったが、一般的には安定期というネーミングが施された時期だけれど全然体調は安定しない。ていうか、

なんならつわり、戻ってきた。

リターンズするのは花より男子だけでいい(古い)と思いつつ調べると、これが珍しいことじゃないらしい。なんならトツキトウカずっと吐き気が続いて、産みながら吐く人もいるらしい。まじかよ。サバンナなら母子共に死んでるぞ。

挙句、昨晩のことである。

「いたいいたいいっだぃ...ッ!!!!!」

子どもではなく大人の私がそれしか口に発せなくなるレベルの胃痛が襲ってきた。歯を食いしばろうが姿勢を変えようが、容赦なく痛みは続く。
かかりつけの病院に電話して「耐えられない痛みを10とすると今どれくらいの痛みですかー?」とふんわり聞かれたので、「いっあ゛、は、はち!?!?」と「い」と「た」以外の音をなんとか発すると、夫に病院へ担ぎ込まれることとなった。

ちなみに咄嗟に8と答えたのは、陣痛はやばすぎて気絶する人もいると聞いたことがあり、現状気絶まではしなさそうだったからである。かといって我慢する余力のある痛みでは全然なく、今冷静になって考えると普通に119案件だったと思う。タクシー呼んで自力で病院までたどり着かなければいけなかったのは地味に辛かった。

病院に着く。内科の先生に問診され、のたうち回りながら気合で答えると「胆嚢炎かつわりかな」ということで、採血してみると胆嚢炎なら上がる数値は平常値。つまり。

つわり!?!?!?2時間継続するこの激痛が!?!?!?

ということはこの痛みはぶり返す可能性大ということか。絶望感がすごい。
とはいえ妊娠が原因とわかるといくらか安心したようで、2時間続いた痛みはかなり収まった。

内科的要因ではなく妊娠が原因ということで産婦人科の当直の先生にも診てもらおうという話になったのだが、丁度破水した妊婦が運ばれてきたタイミングだったそうで、陣痛も始まったのでとりあえず1時間強は待つらしいということだった。
自然分娩か帝王切開かにもよるが、お産がどれくらいかかるかは千差万別だ。コウノドリで読んだ。痛みはそれなりに収まったので、産婦人科には日を改めてかかることにした。

そして今、わたしは新幹線に乗っている。出張だ。

今朝の体調を踏まえ行くと決めたのは自分だが、いかんせん疲れた。日付が変わる頃まで痛みで悶絶していて、早起きして新幹線に乗っているのだからそりゃそうだとも思う。

妊娠のことを伝えたら
「うわ、まじかーって感じです。いやおめでたいんですけどっ」
「いやーおめでとうございます。それって想定内ですか?想定外ですか?」
というお返事を下さったお客様に会いに行く出張だ。そう考えると胃をさすりながら思う。

妊婦、まじ限界。

そんな中で、岸田奈美さんの「もうあかんわ日記」を読むとこう、なんとなく身体がちょっとだけ支えられるような気がする。

今朝読んだのはこの日記。日によるがもっと「もうあかんわ」な内容なときもある。
(普段は更新タイミングに合わせて読むのだけれど、昨晩は丁度のたうち回っていたので今朝の電車で読むことになった)

同じ境遇では全然ない。爆笑記事かというとそうでもないし、ものすごく役に立つことが書いてあるわけでも別にない。

ただ、そこに日常と感情があって、やり場のない「もうあかんわ」を私の分も一緒に消化してくれる気がする。「もうあかんわ」は栄養というより毒素として確実に身体へ吸収されていくんだけれど、消化の過程で糖分も一緒に出てきて吸収されるのでちょっと楽というか。
単純に読み物として面白いというのもあって、毎日楽しみに読ませてもらっている。

妊婦生活はまだまだ続くしむしろ続いてもらわなければ困るので、その間しばらく「もうあかんわ日記」を杖にさせてもらおうと思う。

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