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とある駅で見かけた風景

先日駅で見かけた光景をお話ししたいと思います。

夕刻のラッシュ時、通勤電車は多くの人を吐き出し、そして出発していく。

その一人として私も居ました。

ふと見やると、混雑した車内から階段へと歩いて行く白い杖を持つ女性、杖と雑踏の音を頼りに、階段をのぼっいくようです。

カンカン、杖で階段を叩きながら歩いて行く。

周りはそうしたことを意識せずに、どんどん階段を上がっている。単なる傍観者であった私もその一人でした。

カンカンカン・・・その音は雑踏の中で響きつつ、やがて階段は終わり、通路にでたようでした。

目で追うだけの私でしたが、その女性は通路の端を歩き出したようでした。

そんなとき私の背後から、年配の男性が声をかけていました。
もう少しこちら、声の方向にと言うことで、誘導しているようでした。
その女性も気づいたようで、声の方向に少しずつ進んできます。

そうです、男性は盲人女性に点字タイルの上を歩いて貰おうと誘導していたのでした。
いきなり手を掴んだりすれば、女性は恐怖に駆られるでしょうし、其れを慮っての声かけだったのでしょう。
その男性は直接その女性に手を触れることなく、女性が点字タイルの上を歩き始めると、その早さに合わせて見守るように、歩いて行くのです。
改札付近まで来て、後は自分で歩いて行ける事を確認して、その男性は反対方向に歩いて行ったのですが・・・。
そして、去り際に私の耳元で、次はあなたが実践してくださいね・・・と呟いたのです。

私は、ああ、ずっと見ていたのか。私の行動。

その人は、私に勇気をくれたわけです、そして改めて誓いました。困った人が居れば声をかけられる、そうした行動が自然に出来る人になりたいと。

ちょっとだけの勇気と行動が、私たちを変えることが出来ます

そうすることで、あなた自身を劇的に変えることが出来ます。

人を強者・弱者的に分けたり、何でもかんでも自己責任

という考え方に立つのではなく、どこまでも困っている人に寄り添えるか・・・これが出来る人は、人間的に素晴らしいことなのではないでしょうか。

私たちは、どこまで人に寄り添えるだろうか

最後にお詫びしておきます。
ここで書いた、男性は実在しません。
しかし、単なる作り話でもありません。
ある事実をモチーフにした、お話です。

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