アイドルと中学生の時に出会っていたら~西川怜について~

西川怜についてわかっていたことはいろいろあるが、1番驚いたのはアイドルの仕事をしつつ学年ナンバー4を取ったということ。仕事をしながらでも真面目にやっていれば取れるんだと暗に俺らに教えているようだった。俺はバスケ部との両立から学んでいたが西川は仕事との両立から。そりゃ仕事との両立のほうがすごいって思うわな。いくら売れてないアイドルといえどもお金稼いでいるプロのアイドルなんだと聞くと、バスケ部の俺が大したことなくなるというか、そういうもんなんだろうけど働くってことは。お金を稼いでいる、大人にしかできないそれを中学生でやっている西川怜はそれはそれは大人なのだろうと、子供の自分が情けなくなるくらい思っていたし、それに勉強でも負けているのがどうしても気に障るというか元来頭がいいと思っている俺には許しがたい事実であり、どうしても勝つべき責務が男の自分にはあると思い込んでいた。そして挽回のチャンスは転がっている。期末テストだ。

もっと大人な世界、中学校の世界ではなく、アイドルなりの芸能界(西川は売れてないけど)はそれはそれは大人になれる(いい意味でも、悪い意味でも、エッチな意味でも)世界なのが我々中学生の芸能界の印象であり、ネットの総意ではないけど、現実問題この1998年にニート問題も芸能界がネットに負け始めるという2020年問題もまだない頃なので、それはそれは西川及びアイドルは目の敵にされていた。俺もしていた。勉強の面で。アイドルなんかバカがやる職業だと思っていたし、実際そうなんだろうと今も思うけど、(歌って、踊って、ファンと握手して、ニートのトークのネタになったり、芸能の大御所から目をつけられて炎上したり)それなのに、それなのに俺が7位で、西川が4位で‥‥辻希美とか川栄李奈とか当時まだいなかったけど、さっきの仕事内容だけ聞いててもただのバカがやる職業じゃんと今もまだ思う、バカを売りにしている辻希美と川栄李奈はある意味賢いと思うけど。なのに俺はそれを覆してくる西川が嫌だったけど、そこはバスケで勝ってもしょうがないし、そしたらほら、もうチャンスは期末試験で勝つしかない!!!!と燃え上がっていた。

よくわからんが売れてるアイドルの研究生ポジションにいるらしい西川はそれはそれは美しく清らかだった。高貴な人だった。可愛いのは確かに可愛いし背も普通くらいに高くてスレンダーでぱっと見映えるというかなんというか普通の中学生のツラと比べると西川に明らかに分がある。はっきり言おう可愛すぎる、そそる。エロい。

そこに正直になればよかったところを中2病的にこじらせていた俺は、頭が一番いいのは俺(あべっく)を捻じ曲げられたのが嫌で嫌で、一番強いのは俺みたいな人たちより厄介な、妄想を超えて勝負を挑んでみたかった。

人は中身であるし、一番になれなくても何も悪いことではない。当時はそんなこともわからなかった。女に負けたくない。今度こそ西川怜に勝ってすまし鼻をへし折ってやっておる気満々だった。

大人になって気づいたのだけど、この頃の俺痛いな。中2病だからとかの前になんか勘違いしてる。勉強ができて才能人みたいな感じでも何でもかんでも一番を取れるわけではないのにな。当たり前である。上には上がいる。生意気にもほどがあることに気づいてない。所詮井の中の蛙。ただの中学校の生徒のたわごと。思考回路が不良の頭いいバージョンくらいの低スペック。

ナンバーワンじゃなくていいよ、もともと特別なオンリーワン。それでいいんだよと。教えてあげたい。確かに当時は流行った。俺はまたバカが流行らせてるとか、アイドルごときがとか、弱いやつのいいわけじゃんとか、思っていて、今考えるとホント子供。優しさや思いやり、気が利くとかで世の中わたっていけるのにと教えたい。勘違いの極み。

西川はそんなこととっくに大人の世界で知っていたのだろう。

そんなこともつゆ知らず俺と西川の勝手な(俺の)期末考査大決戦は幕を開ける。

まだ子供な俺と十分大人な西川との本当にどうでもいい勝手な戦い。そして期末の後俺と西川はどうなっていくのか、こうご期待(笑)

まあ、中学生だからね。エロとかは期待しないでね。(笑)


つづく

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