見出し画像

映画 ムーンライト 考 

マイアミを舞台に自分の居場所とアイデンティティを模索する少年の成長を、少年期、ティーンエイジャー期、成人期の3つの時代構成で描き、第89回アカデミー賞で作品賞ほか、脚色賞、助演男優賞の3部門を受賞したヒューマンドラマ。マイアミの貧困地域で暮らす内気な少年シャロンは、学校では「リトル(チビ)」と呼ばれていじめられ、家庭では麻薬常習者の母親ポーラから育児放棄されていた。そんなシャロンに優しく接してくれるのは、近所に住む麻薬ディーラーのフアン夫妻と、唯一の男友達であるケヴィンだけ。やがてシャロンは、ケヴィンに対して友情以上の思いを抱くようになるが、自分が暮らすコミュニティではこの感情が決して受け入れてもらえないことに気づき、誰にも思いを打ち明けられずにいた。そんな中、ある事件が起こり……。母親ポーラ役に「007」シリーズのナオミ・ハリス、麻薬ディーラーのフアン役にテレビドラマ「ハウス・オブ・カード 野望の階段」のマハーシャラ・アリ。プロデューサーとしてアカデミー賞受賞作「それでも夜は明ける」も手がけたブラッド・ピットが製作総指揮。本作が長編2作目となるバリー・ジェンキンスがメガホンをとった。

ムーンライト
・黒人、ドラッグ、ゲイ、貧困要素ということで社会派映画なのかと思ったが、A24映画らしくアーティスティックな映像と前述した要素を詩的に内包している点

フロリダが舞台ということだが光量の富士フイルム的な青みが際立って美しく各チャプターにおける、
主人公の持つ一種浮世離れした心象風景をあらわらているように感じた。
また世界には最悪なことばかりだがそこには必ず美しさが孕んでいるという表現にも感じられた。

また、音楽面では冒頭Boris Gardnerの「Every nxxxxr is a star」が効果的に使用されている。
KendrickLamarの「to pimp a butterfly」のアルバム頭と同じ使用され方だったこれは抑圧やゲットーライフに於いてもアイデンティティを詩的に表現するという宣言に感じられた。


サントラ聴くと、少年期⇨青年期になると音楽のテーマがチョップド&スクリュード(一時期流行った曲のキーを落としてテンションをローにするミックス手法)になっている、これはドラッグの酩酊感のメタファーになっている仕掛け。


毎回、チャプターの最後に海が出てきてその時だけ自身を取り戻すロマンティックさ。
疎外感を感じた全ての人間にきっと刺さる、俺の中で大切な映画。


この記事が参加している募集

#映画感想文

68,640件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?