西のババアが死んだ

1.

「なあ、ババアどうした。」

「あん?」

「口の悪りぃ方の。」

「あぁ、自分の毒にやられて死んだよ
…ついさっき

フゥーー…俺はこいつを吸いきってから、行くつもりだ」

「俺にも一本くれよ。」

タバコをふかす2つの影が煙にゆれていた。

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2.

お母さんの顔を見て、いつもの会話を思い出す

「いちいち顔見せにこなくていいんだよ
ほら、これ食ってさっさと帰んな
チビもいっぱい食いな、大きくなって親を守ってやんだよ」

あんなににやけた顔で言ったって無駄よ…何度でも連れてくるわよ、連れてこようと、思ってたのに…なんで昨日はその言葉に甘えてしまったんだろう。

また悪い笑顔で毒を吐いてくれるんじゃないかと、いつまでもいつまでも白く冷たい母の顔を見つめていた。

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3.

裏のおばぁが死んだ
大人たちが騒いでいる

おばぁは学校から泣きながら帰ってくる私をつかまえて
余り物のおやつをくれた

「バカだねなんでやり返さないんだい
壊れた洗濯機と一緒だよ
クソガキなんて叩けば黙るさ」

手元にはおばぁのおやつが残ってる
おばぁの毒がいっぱいつまってる最後の一枚。
この一枚は、クソガキたちが泣いて謝ってきた日のことを話しながらおばぁと一緒に食べるつもりだ。

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「西の魔女が死んだ」という作品が気になっている。魅力的なタイトルから好き勝手にイメージした話がこの投稿。実際の本編はどんな話なんだろう。読むのがたのしみだ。でも何年も手をつけないでいる。このワクワクを放したくなくて。





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