ブラック放浪記（4）うまい話には裏がある

　特殊なスキルもなく、営業や事務を転々としていると再就職先はなかなか見つからない。そういった職種では転職回数が多い＝悪みたいな扱いだ。人材紹介会社の求人に「転職回数2回まで」とか書いてある。結婚相手の過去の交際した相手の人数を気にする人みたいなものだろうと思う。ブランクなどもってのほか。ブランク期間に刑務所に服役していたわけではないが、ほぼそれに近いぐらいの目で見られる覚悟はしておいた方が良い。私が思うには、人事部の9割ぐらいはほとんど転職もしないし、するとしてもブランクなしなので、そうせざるを得ない事情を理解していない（する気がない）からだと思う。こうした処女厨的な選考を回避するには、特殊な技術や専門性を持つか起業するかしかない。例えば看護師だとしばらく勤めてから海外放浪してまた就職するということもできるらしい。あとはエンジニアとか。転職するのが当たり前、あるいは人が圧倒的に不足している職種であれば転職回数とブランクは無視してもらえる。

　以前、ブラックなPR会社を辞めた時も仕事はすぐには見つからなかった。英語なんぞできる人は山ほどいるので、営業や事務だと転職回数とブランクでNG。クリアしたところで時給はかなり安い。試しに派遣サイトで通訳の仕事を検索してみると分かる。英語は言語スキルとしては習得までの労力の割に儲からない。補助スキルである。コンピュータ言語をやった方が収入は増える。

　しかしお祈りにめげずに探し続けていると稀に高い給料の案件が出てくる。これは98％ぐらいブラックだ。ブラックでない好待遇案件は転職回数が多くブランクもある私のところまで回ってこない、すなわち訳アリであることは働く前から分かる。しかし低賃金のブラックを渡り歩いてきた失業者にしてみれば「前より貰えるならブラックでもええわ」となるわけだ。そして前回めぐり合ってしまった会社についてこれから書き記そうと思う。長くなるがお付き合いいただければ幸いである。

　うまい話には裏がある。裏があると分かっていても、それに乗らなければいけないこともある…

　いや待てよ。月に30も行かないのに「うまい話」とは何だ。騙された！と言うにはせめて求人票で額面50ぐらいは欲しいぞ。

続く！！