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接客ロボ「大量解雇」は、人の勝利なのか?

接客ロボ「大量解雇」という見出しの新聞記事があった。

朝日新聞によると、長崎にある「変なホテル」で17年のピーク時にホテル全体で27種、243体いたロボットは現在、16種128体と半分近くに減っており、いずれはロボットの種類を1ケタにまで減らすと報道されていた。

その理由は、

「人手に頼らないホテルをめざしたのに、ロボットの面倒をみるために人手がかかってしまった」ということのようだ。

記事には、当初の約30人から8人に減らした従業員が数時間かけて充電したり、インターネットにつないだりと、ロボットを働かせるために追われてしまったとある。

要は、ロボットのフォローをする「人」が大量に必要になったということだ。それだけではない。Ai(人工知能)のディープラーニングの機能も不足していた。

当初の設定では、「チェックアウトはいつ?」「朝食の時間は?」などの質問を受けながら学習し、人との会話が上手になるはずだった。

しかし実際には、想定外の質問が向けられたことが多かった。

例えば「別府温泉に電車で行くにはどこで乗り継ぐの?」「釣り堀を予約して」。客が100人いれば100通りの質問や要望がある。そのすべてに応えるには、まだAIの会話能力には限界があったようだ。

確かに、人工知能によるディープラーニングの学習速度は向上している。しかし、宿泊客からのすべての質問を想定するのは、設定が難しい。

Aiのディープラーニングは、過去のデータから最適解を見つけ出すというものだ。ここが利点でもあり、難点でもある。

例えば、「彼女にプロポーズをしたいのだけど、最適なレストランを教えて」という質問に関しての最適解は、おそらく利用者の多いレストランになる。すると、他の人と同じになって意外性がない。

結果、プロポーズを断られた場合に、クレームを言われても、Aiは返答できない。

少々不謹慎な話だが、万が一「私は生きている意味がないので、どこか死ねる場所を探して」という質問に最適解を出した場合、確実に死ねる方法を伝えてしまうことになりかねない。

これは、Aiの機能の問題ではなく、学習させる設問の問題だ。フリーなコミュニケーションには、さらに複数の設定項目が必要だということだろう。

■ やはりロボットに人間の代わりはできないのか?

今回の件を、表面的に見れば、コミュニケーションを取るのは、人間だよねとなるかもしれない。

しかし、今回のリストラで課題が明確になったとも言える。

ロボットと人間の棲み分けだ。

現段階での棲み分けは、

・パターン化できる作業はロボット
・相手の意図を汲み取るコミュニケーションは人間

ということだ。

しかし、学習させる設定が発達すれば、いずれコミュニケーションもロボットが行うようになる。長期に視点で見れば、ロボットは人間に変わり得る。

映画「ブレードランナー」では、人間とレプリカントの区別がつかない。想像できるものが実現するという観点に立てば、シンギュラリティは起こり得る。

■ Aiに変わられる仕事

近い将来、Aiに変わられる職業が話題になった。しかし、職業よりも仕事への取り組み方が大きいと予測する。

ルーティン業務はAiに代わられる。逆に人の心を汲み取る仕事は残る。

今後ロボットはコミュニケーション力を高める方向に進むが、人間でしかなし得ないコミュニケーションを取れるかどうかが仕事の価値を生む。

・パターン化できる仕事をしている人は、お客様や使う人に気を配る。
・Aiやロボットの開発者に必要なのは、人間に対する理解だ。

■ 当分ロボットにできないこと

今後、価値のある仕事は、人が欲していることがわかるという仕事だ。

話を聞いてあげる
髪型、ファッションなど
能力を引き出すという点では、マネージャーの仕事の価値は高まる。

データにないが、その人が欲していることをしてあげること。何気ない気配りやプレゼントなど、相手からの依頼がなくても、能動的に何かを提供してあげることの価値は高まる。

事務仕事をしている役所や銀行の窓口はロボットになるが、市民の相談に乗る窓口は重要になる。言い方を変えれば、単純な仕事はロボットが行い、面倒な仕事は人間にしかできない。

■ 人間にしかできないこと

人間にできてロボットにできない行為は、「提供をする」ということだ。

ロボットは、GIVE &TAKE。オーダーがなければ機能しない。人間は、先にTAKEができる。オーダーがなくても、その人のために何かをしてあげることができるのだ。それが最も大きな違いだ。

・人が欲しいものを欲しい条件で提供すれば、豊かさが返ってくる。
・提供するものが社会を進歩させるものなら、豊かさはさらに大きくなる。

私は、この法則を「提供の法則」と呼んでいる。

世の中で収益を上げている企業や成功者と呼ばれている人は、例外なく「提供の法則」を機能させている。

今後、提供の法則は、モノから内面に移る。モノが行き届き、欲しいものがなくなってくる社会でも、人間は内的な欲求を持つ。

今後、心理欲求を満たす仕事を提供することができる人の価値が大きくなる。

まだまだ、ロボットに人生相談をする日は来ないだろう。

ちなみにリストラされたロボットはどこへ行くのだろう?次の職場があるのだろうかと心配になる。


「提供の法則」が本になります。現在作成中です。

タイトル、装丁は変更の可能性あり(笑)

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