「重要だけれど変えられない問題」との関わり方〜ケーキの切れない非行少年たちを読んで〜


3文あらすじ

少年院にいる子どもたちは、知的障害や発達障害を持つ子どもが多く、犯した罪を反省したくてもできない。

このような子供には認知機能に問題があり、殺人を犯したのにも関わらず「自分は優しい人間だ」と言ったり、何故こんなことをしたのかと聞かれても難しすぎて答えられなかったりする。

罪と向き合い内省する力、すなわち認知機能を向上させるには、小学生の頃からの介入が必要で、筆者はコグトレを推奨している。

感想

子どもたちと関わる機会のある人に読んでほしいなと思った本

(ネタバレあり)
印象的だったのは「自分は優しい人間です」という殺人少年の話です。
「自分はどういう人間だと思うか」という問いに対し「自分は優しい人間です」と答えています。
どんなに重い罪を犯したとしても、約8割の少年がこのように答えているそうです。
そこで、「あなたは〜〜して人がなくなっているけど、それは犯罪だね。それでも優しいといえる?」と聞いたところ、やっと「あーそれは優しくないですね」と答えたそうです。
そう、そこまで言わないとわからないんです。

筆者が何回も強調しているのが「教育の敗北」という言葉です。
題名から想像できるように、少年院に入る子たちの中には発達障害や知的障害を持った子が少なくありません。
だからと言って、犯した罪が許されるわけではありませんが、本来支援されるべきはずの障害を持った子たちが、大人や周りに気づいてもらえず、少年院に入って初めて気づかれる事実があります。
親であれば絶対に子供に入ってほしくない場所です。
筆者は、そんな事態を「教育の敗北」と言っています。
しかし、教育こそが少年犯罪を減らし、少年たちを納税者として社会に送り出す希望になるとも主張しています。

「重要だけれど自分には変えられない問題」との関わり方

この話に限らず、「重要だけれど自分には変えられない問題」との関わり方って何だろうなと思うことがあります。
世の中の問題はざっくりと4通りあると思います。
「重要か重要でないか」「変えられるか変えられないか」の2✖️2の4通りです。
よくあるマトリクス図を思い浮かべてください。
で、「重要だけれど自分には変えられない問題」って多いですよね…
もちろん、大概はスルーしてしまうけれど、
「変えられない自分」に該当する私たちができることって
「とりあえず、こういう問題が世の中にはある」というのを草の根運動的に広めていくことなのでしょうか?

個人知を組織知に変える
問題意識を個人から組織までに共有したら、少しは変化が生まれやすいのかなと。
一人でできることって限りがありますからね…

結局、「重要だけれど自分には変えられない問題」の関わり方は現時点では一つしか答えが出ていませんが、考える機会にはなりました。



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