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【ボクシング】大差判定勝ちでロベイシー・ラミレスがWBO王座獲得も、ドグベーの奮闘許す
☆4月1日(日本時間2日)/アメリカ・オクラホマ州タルサ/ハードロックホテル
WBO世界フェザー級王座決定戦12回戦
○ロベイシー・ラミレス(キューバ)2位
●アイザック・ドグベー(ガーナ)1位
判定3-0(117対110、118対109、119対108)
どちらかに振り分けていくならラミレスに。それが積み重なった結果の大差。そんな印象だった。日本にもおなじみイスマエル・サラス・トレーナーの下でトレーニングを積むラミレスは、ここ数試合では攻撃の鋭さも見せており、脆さもちらちらと垣間見せるドグベー(※国内では「ドグボエ」で通っているが、現地発音にしたがう)を圧倒してしまうのでは、という見方もあったが、この試合ではそういうシーンはほとんど訪れなかった。それはとにもかくにもドグベーの奮闘と、ラミレスの「青さ」による。
空位の王座とはいえ、初の世界挑戦となるラミレスは、実にリラックスした状態で立ち上がった。サウスポースタンスから、ゆったりと左へのステップを切り、右リードを突きながら、独特の“スクワット運動”を繰り返す。そうして左ストレートをボディーに、かと思いきや顔面へと伸ばしていく。
立ち上がりに慎重さを見せるドグベーも、決して強引にはステップインを刻まない。が、時折自然の流れで決行してみると、ラミレスは左アッパーのカウンターをボディーへと突き刺していったのだった。
やはり中間距離からやや狭まる空間での戦いは、ラミレスに分がある。それを察知したドグベーは2ラウンド、高く堅いラミレスのガードを閉めさせるための左アッパーカットを放ち、サイドを狙う右フックを振り抜いていく。が、ラミレスはサイドへのターンでこれをかわし、回り込んで上体を沈める“スクワット”から左ストレートを直撃。さらには、右を打ち出そうとするドグベーより2テンポほど速く左アッパーを合わせにいった。
このままはっきりと両者の間に埋まらない溝ができてしまうのか、と思われたが、ドグベーはここからプレスを強めていく。持ち前の身体能力を存分に発揮して、左アッパー、右フック、さらには左ボディーフックを叩きつけていく。カウンター狙いだったラミレスも、その間合いを潰されて、打ち合いに応じたり、ブロッキング状態で固まったりする場面が増えていく。逆に、ラミレスの反撃は、ボディーワークをなんとか使うドグベーに封じられ気味。まともなクリーンヒットはガードにも遮られ、手数と見栄えでポイントを得るといった様相だった。
中盤からはドグベーがサウスポーにスイッチすることも増え、どうにかラミレスを撹乱しようと試みた。ほんの稀にドグベーの右カウンターもヒットしたが、ラミレスは決して連打は貰わない。けれども、ドグベーの体力は終盤に向かうにしたがってぐんぐんと発揮される。ラミレスはおそらくポイント取りの思考に切り替えたのだろう。
8ラウンド、ラミレスはふたたびボディーカウンターを狙い始める。すると今度はドグベーがラフに振り回しながら突っ込んでいくようになった。冷静さと興奮を、交互に繰り返すような両者の精神状態は、そのままパフォーマンスに出ていた。
最終回、連打の応酬の中でバランスを崩したドグベーに、ラミレスの左が浅くヒット。キャンバスに転んでしまったドグベーはゲリー・リッター・レフェリーにカウントを数えられ、勝負は決まった。
ラミレスにうまくコントロールされてしまったといえばそうかもしれないが、ドグベーの頑張りが目を惹いた試合だった。特に左ボディーブローはラミレスを苦しめたと思う。
ロンドン五輪フライ級、リオデジャネイロ五輪バンタム級といずれも金メダルを獲得した、かつてのアマチュアボクシング界の至宝ラミレス。プロ初戦でまさかの敗戦を喫した苦難のスタートも相まって、勝利の瞬間は喜びを爆発させた。しかし、それだけではなかったと感じる。大差だったとはいえ、ドグベーにこんなに苦しめられるとは思わなかったのではないか、と。
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暁視GYOSHI【ボクシング批評・考察】
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