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【日記】2022年11月22日(火)/耽る

 本来、エッセイなんてものは、思うがまま、ありのままを綴っていけばよいものなのだ(と思っていた)が、向田邦子を読み、木内昇を読み返し、ジェーン・スーも読んだりなんかしてしまった日にゃぁ、そうもいかない、と気づいた。
 だから思い悩むのである。考えに耽ってしまうのである。PC画面を睨み、タバコを吸いに換気扇の下へ赴き……を繰り返し、時間がどんどんと経過していくばかり。どうにも落ち着きがないまま、ついぞ1文字も書くことができなかった。

 尊敬するKさんと電話。今後についての打ち合わせ的なものもあり、それとは別個の自分の身の振り方についての相談も。前日のSさんとの顔合わせ同様、このKさんもまたいつもとても繊細にこちらの心を読み取って、さりげない気遣いをかけてくれる。本当に毎度感謝の言葉しか浮かばない。

 電話を切ると、お題をもらっているエッセイ、という現実に引き戻される。何も言葉が浮かんでこないときはいつも何かに逃げる。それはいつしか自分の身に着いてしまった癖だ。たいがいスマホをいじったり、ドラマや映画を観たりしてしまう。そんなことをしながら、「何かヒントはないかなぁ」なんて探す、と見せかけて完全に没頭してしまうのが関の山なのだ。

 MONDO TVといえば、“夜のセクシー番組”という印象が強い(オレだけ?)が、『俺プロ~俺たちのプロ野球~』は、かなり優れたエンターテインメント番組だ。川上憲伸(現在は真中満)、上田まりえ(この方とても上手)の両名が、元選手をゲストに迎え、前、後編でその人物の過去エピソードを引き出しつつ“年表”を振り返る、というもの。第1回のゲストは宮本慎也で、2回目は里崎智也。
 まあみんな、よくそんな細かいところまで憶えてるな~って絶句するしかないくらい、よく憶えてる。学生時代から、プロになってからももちろんすらすらと。まるで、今試合してきました、というくらいくっきりと。しかもそれをおもしろおかしく語る話術まである。ま、だからこそ一流選手だったのだろうけど。
 里崎はYouTubeも大人気らしいが、「YouTubeでは自分のことを語らないからこの番組で」と憲伸。そう。いいことを言った。

 日本映画専門チャンネルで、濱口竜介監督特集。話題となった『ドライブ・マイ・カー』は、原作が村上春樹ということで自分の肌には合わなかったのだろうが、それ1作で判断してしまうのはフェアじゃない。なので、これを機に全部観ようと思い立った。前夜、東京藝術大学大学院の修士課程修了の際に撮ったという『PASSION』をチラ見。なかなかにして惹きつけられたので、楽しみである。今さっき知ったが、大学では黒沢清の教え子だったんだね。

 娘のライブ配信本チャン2日目。45分。ほぼトークで、ラストにあいみょんの曲を1曲歌った。こんなにしゃべったり歌ったりいつの間にできるようになったんだろうと、空白の10数年を作った原因はオレにあるのだが、その日々の濃さを思い耽る。

 やっぱり1文字も浮かんでこない。こんな日は無理にやる必要はない。これが長年のやり方だ。そうやってギリギリになってドヒャーっと書くのがこれまでのパターンだったが、いまは締め切り設定のない毎日。でも、そこに甘えていると鈍ってしまうので、敢えて【日記】を謳って、その癖を改善しようと、一応の努力はしているつもりなのだ。

 そうそう、ソイロ・アルモンテの復帰決定だ。タイロン・ウッズ、トニ・ブランコは“鉄板”として、自分はアンダーソン・エルナンデスとアルモンテが大好きでユニフォームも持っているのだ。
 さあ、またあのユニを着る機会がやってくる。


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