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【日記】リハビリ/2023年1月10日(火)

 先日のNHK正月時代劇『いちげき』ショック(物足りないという意味で)が尾を引きずったせいで、依頼された原稿に取りかかるのが遅れてしまったと言い訳をしておくが、ひとまず前夜で原稿は書き上げて、ひと息をつく。

 こんな生活をしていると、人と会話する時間が極端に少なくなり、いざ話す段になると、言葉がスラスラと出てこなくなる。いわゆる、「脳の弛緩」なのだろう。
 ただでさえ「脳の老化」をケアせねばならない年齢なのに、これは非常に危うい状態である。だから、電話したり人に会ったりする時間はとても貴重なもの。ある意味リハビリの、たどたどしい言葉。それに一所懸命耳を傾けてくれる相手には感謝しかない。

『フェニックスバトル』はFODでライブ視聴。池上渉(DANGAN郡山)は、体格&フィジカルを全面に押し出す冨田風弥(TRIBE SHIZUOKA YAMAGUCHI DOJO)に押され気味だったものの、ラウンドが進むごとに距離やタイミングを掴み始め、小さなボディワークで外しながら中へ入り、波状攻撃を仕掛けた。右フックを冨田の左腕に敢えて叩きつけ、左フックをインサイドに通し、みぞおちを払った一打は見事。これでダウンを奪うと、さらに上下左右と攻め続け、ストップに持ち込んだ。冨田はやはり、上体の強さを下肢が支えきれず突っ込む形だった。
 亀山大輝(ワタナベ)のハイテンポ、スタミナ、左ダブルの使い方、豊嶋海優(大橋)の相手に何もさせない追い込み方、様々なことを試す“ゆとり”が目を惹いた。
 メインの松本圭佑(大橋)は、実力差どおりのボクシングを披露。濱口人夢(市野)が絡まってきて倒れるシーンが再三あり、レフェリーはその都度「スリップダウン」としたが、あれはすべてダメージングダウンとすべきだった。

 日本テレビ『ブラッシュアップライフ』第1話をhuluで視聴。評判どおり、バカリズムの脚本の素晴らしさが第一。そして、それをきちんと映像化する演出はじめスタッフ一同との噛み合いが生んだ傑作だ。たった45分だが、各人のキャラクター、人物関係が色濃く伝わり、中身が底なし沼のように深い。比較して申し訳ないが、尺の短さ(90分)を理由にその薄っぺらさを表した『いちげき』は、脚本と現場の乖離があったのだという結論に至った。今回は脇に回っている染谷将太のキャラも、こっちのほうがより深く刺さってきたし。
 普段、テンポと間をことのほか大切にしている芸人と、それをしっかりと最大限に生かそうとするスタッフ。バカリズム本人も出演していて、彼がどこまで演出に参加したかわからないが、相互理解があって、初めて「作品」となるのだということを思い知らされた。

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