無題のプレゼンテーション__3_

「出前館」が○○を活用して急成長!?夢の街創造委員会の意外な戦略とは?

「ビジネスを、ビジュアルに。」がモットーのビズアルです。この記事では、近年急速に出前館が成長している夢の街創造委員会の戦略について解説します。

夢の街創造委員会はフードデリバリーサービス「出前館」を運営


夢の街創造委員会は、ネット上でピザやハンバーガーなどの宅配料理を注文できるフードデリバリーサービス「出前館」を運営する企業です。競合のUber Eatsが開始されたのは2016年ですが、出前館はそれより16年も前の2000年にスタートしています。2018年8月には単月オーダー数が200万回超、アクティブユーザー数は269万人と日本最大級のフードデリバリーサービスに成長しています。

売上高を見ると2013年ごろまでは伸び悩んでいましたが(グラフの青い部分が出前館事業の売上高、通販事業はM&Aによって獲得)、ここ数年で成長力を高めており、特に2016年以降は急激な成長を遂げています。近年の急成長の理由をさっそくひも解いて生きましょう。まずは成長戦略のサマリーです。



戦略のサマリー

出前館のここ数年の成長を支えている成長戦略の軸を示します。

フードデリバリーアプリの成長は、「店舗数の拡大」「ユーザー数の拡大」「利用頻度の拡大」3つの要素の循環によって表すことができます。加盟店舗数が拡大することで、ユーザーが選べる料理の数が増えてサービスの魅力が高まります。サービスの質が高まることで、より多くのユーザーが流入してユーザー基盤が拡大します。さらにユーザー1人1人にもっと高い頻度で利用してもらうよう促すことで、プラットフォームの流通額が増大して加盟店舗の売上高が高まります。加盟店に売上高増大というメリットを提供できることで、さらに多くの加盟店が集まり、さらにサービスの魅力が高まります。このような好循環を引き起こすために、出前館は「店舗数の拡大」「ユーザー数の拡大」「利用頻度の拡大」それぞれに対して独自の経営戦略を打ち出しています。

新聞配達ネットワークをデリバリーに転用するという発想の転換

フードデリバリー事業で常に課題になるのが、どうやってデリバリー機能を確保するのかという問題です。宅配ピザのようにデリバリーを前提にした店舗なら問題ないですが、多くの飲食店にはデリバリー用のバイクもスタッフも確保する余裕がありません。


デリバリー機能が確保できなければ、参加してくれる飲食店がごく一部のデリバリー機能をもつ店舗に限られてしまいます。ユーザーからすれば選べる料理のジャンルが限られてしまい、サービスの魅力を高めることができません。出前館も、元々はあくまでもデリバリーを仲介するサービスにすぎず、デリバリー機能を飲食店に提供することはできませんでした。

競合サービスもこの問題に対してはそれぞれ別種の対応をしてきました。UBER eatsは一般人をデリバリースタッフにする戦略で、CtoC型のビジネスモデルになっています。FineDineは、自社で配送ネットワークを構築しています。これは、運営会社のライドオンエクスプレスが銀の皿や釜寅などの宅配飲食店を経営しており、元から配送ネットワークを保有していたために取れる戦略です。


一方、配送ネットワークを持たない夢の街創造委員会は、朝日新聞の新聞配達スタッフにフードデリバリーを代行してもらう戦略を開始しました(シェアリングデリバリー戦略と命名されています)。新聞配達スタッフが忙しい時間帯は早朝と夕方、フードデリバリーが忙しくなる時間帯は昼と夜なので、ちょうど補完的な関係になりwin-winの戦略だということが推察できます。シェアリングデリバリー戦略によって、配送機能を持たない飲食店も出前館に加盟してもらうことが可能になり、ユーザーの顧客満足度が大幅に高まっています。

利用頻度が高いプラットフォームに出前機能を提供

フードデリバリーというビジネスは、ユーザーがふとご飯を食べたくなった時、まずはサービスを想起してもらうことが重要になります。しかし、自前のアプリや自社サイトだけでは、どうしてもユーザーリーチに限界が生じます。そこで、出前館は、膨大なユーザー基盤をもつプラットフォームに、自社の出前機能をOEM提供する形でユーザーリーチの極大化を目指しています。2014年にはドコモのdシリーズプラットフォーム、2015年にはamazon、2017年にはLINEとの提携を果たしました(画像は夢の街創造委員会のIRから引用)。

積極的なポイント還元でヘビーユーザー化を促進

いくらユーザーを獲得しても、一回使って終わりになってしまっては獲得コストをペイできません。出前館はこれまでの会員データを分析し、短期間で3回利用してもらえれば離脱率が急低下し、ヘビーユーザー化させることができることを発見しています。新規獲得ユーザーに対して、クーポンやポイントを積極的に還元し、短期に3回以上注文させる戦略を促進しています。
ちなみに、出前館の「3回」のように、サービスを成功に導く閾値となる数値をマジックナンバーと言います。

時価総額は3年で10倍以上の1500億円に

以上のような戦略の好循環により、夢の街創造委員会の業績は急拡大し、それに伴って時価総額も1500億円を突破しています(2018年8月31日時点)。

もしよければ投げ銭で応援いただけると幸いです。励みになります。

ここから先は

0字

¥ 500

期間限定 PayPay支払いすると抽選でお得に!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?