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経営戦略の基本フレーム

マーケティングフレームワークは様々ありますが、この記事では比較的上流工程にあたる経営戦略・事業戦略の策定によく使うフレームワークについて手順と共に解説していきます。

経営戦略の定義と要件

(1)施策のかたまり
– なるべく具体的に
例︓今年度中にXXX事業に3つの新商品を上市 ︓北⽶でM&AによりXXX技術を獲得

(2)戦略⽬標
– なるべく定量的に
例︓シェア10%増を3年以内に、本年度売り上げ100億円 この3年間で100億の経常利益

戦略の位置づけ

•企業の存在⽬的・⾏動原理・⾏動指針が経営理念・ビジョン
•それに基づき、全社戦略、事業戦略、実⾏計画が策定される

戦略は、想定される事業機会に対するアプローチの仕⽅で あり、「事業領域」、「強み」、「投⼊リソース」を明確 にすることが基本的な要件である。

なぜ3つの要件なのか ほとんどの場合、戦略とは⽂字通り ビジネスという戦争 において勝利を収めるための⾏動指針または⾏動そのもの
 戦う相⼿は、「競合企業」。従って戦略策定の際には 競合を常に考慮に⼊れなければならない。 - 何で勝つか
 また、その勝敗を判定するのは、「顧客」しかいない。 従って戦略策定の際には顧客を常に考慮に⼊れるのは 当然の事。 - どこが⼟俵か
 戦略により規定される最初の全社的⾏動は資源配分 - 何をすべきか

→戦略が不明確だと負け戦に身を投じているようなものと言える。


戦略策定のためのフレームワーク


(1)BCGマトリクス


Boston Consulting Group」が発案したフレームワークで、企業の長期的な戦略を計画する際に広く使われている。
どのSBU(戦略的事業単位)にどう経営資源配分を⾏うべきかを⽰す。

各セルにおける投資判断の基本
●問題児(︖)︓シェア拡⼤のために早期集中投資か、 逆に早期撤退か、判断が求められる。シェア奪取に成 功すれば、“スター”になるが、失敗すれば“負け⽝”に 転落する。
●スター(☆)︓利益を度外視してでも、積極的に投 資すべきとする。市場成⻑率の⾼い市場なので、それ に合わせて⾃社も増強・拡⼤する。“⾦のなる⽊”の最 有⼒候補であり、投資は、⾦のなる⽊となった時に回 収する。
●⾦のなる⽊(¥)︓コストを必要最⼩限に抑えて、 利益を確保する。市場成⻑率は鈍ってきているが、⾼ いシェアを確保しているので、⼤きな利益を⽣む。
●負け⽝(×)︓早期撤退も視野に⼊れる。市場成⻑率 が低いのに、シェア拡⼤の投資を⾏っては、ジリ貧と なる可能性⼤。

 そもそもは、「累積⽣産量が2倍になるとコストが⼀定の⽐率で下がる」(経験曲線)という法則性 から編み出されている。コストが企業の優位性を決定づけ、コストは累積⽣産量に反⽐例する。累積 ⽣産量で先⾏するには、シェア第1位をとることが重要であり、シェアの重要度が⾼い以上、シェア を守るための投資が必要であるという考え⽅から「相対マーケット・シェア」 を採⽤し、「市場成⻑ 率」との2軸を⽤いる。

補⾜(1)⾃社の優位性︓ なぜマーケットシェアなのか


規模の経済性が発揮されるため、売り上げ2倍になると25%前後削減される。
つまり、シェアが高いとコスト効率が改善される。コスト優位だけが競争優位性であるという前提となる。


(2)GEマトリクス

GEのビジネススクリーン(別名:GEのマトリックス)とはゼネラル・エレクトリック社(GE)とマッキンゼー社によって提唱されたフレームワークです。これは縦軸に「業界の魅力度」、横軸に「業界の地位」を取り、事業のタイプを9種類に分類して、自社のリソースをどの事業に分配するべきか検討するためのフレームワーク。


戦略策定のプロセス

環境分析の⽬的は事業機会と、 KSF(KEY SUCCESS FACTOR︓成功要因)の発⾒である。

PEST分析

Politics:政治・・・財政・⾦融政策、産業政策、 外交政策、環境政策、教育政策
Economy:経済・・・GDP成⻑、消費、⽣産・投資、 物価、労働市場、産業構造、 海外経済などの動向
Society:社会・・・流⾏・価値観、⽣活様式、 ⼈⼝構造の変動、宗教、倫理
Technology:技術・・・技術⾰新、技術動向

Step1︓ ⾃分の業界に重要な 影響を与えるファク トを抽出
Step2︓ So What?を考える


5つの競争要因モデル(5 Forces)

ハーバード⼤学のポーター教授の提唱した業界の魅⼒度(収益性)を分析するフレームワーク。

①新規参入の脅威
・規模の経済性の有無
・規模以外のコスト優位
・製品/サービスの差別性(ブランドなど)
・規制のありかた
・切り替えコストの大きさ
・流通チャネルへのアクセス

②業界内の敵対関係の強さ
・成長の遅さ
・寡占度
・差別化の大きさ
・固定費(設備投資、研究開発 等) の割合の大きさ
・撤退障壁の高さ

③売り手の交渉力
・売り手業界の寡占度
・売り手にとっての業界の重要性
・供給品の切り替えコスト
・供給品の独自性
・差別性
・売り手業界の川下統合の可能性

④買い手の交渉力
・買い手の寡占度
・製品/サービスの差別性(ブランドなど)
・買い手にとっての製品の重要性 (コスト・品質上の重要性)
・切り替えコスト
・買い手業界の収益性
・内製化の可能性

⑤代替品の脅威
・代替品の性能と価格
・切り替えコストの大きさ

戦略要件から導き出される3C分析の重要性

• どこで戦うか-勝敗を判定するのは、「顧客」 → 顧客分析の視点
• 何で勝つか-競合優位性は戦う相⼿との相対的なもの → 競合分析の視点
• どれくらいの資源を投⼊するか → ⾃社分析の視点


バリューチェーン分析

⾃社の競合優位性を知るために⾃社の活動を⽐較が可能な形に分解したものを指す。
原材料を調達してから商品やサービスが顧客に届くまでに企業が行う活動の連鎖(チェーン)を、モノの連鎖(サプライチェーン)だけではなく、価値の連鎖(バリューチェーン)として捉えたもの。

バリューチェーン分析には主に2つの目的がある。
一つ目は各活動にかかるコストを把握し、コスト削減(コスト戦略)に役立てること。
もう一つは自社の強みと弱みを把握し、差別化戦略に役立てること。

従って、以下の観点で各プロセス毎に考えると良い。
– 何をしている
– 何が⽬的
– どんなコスト構造

競争が激化している現代では、低価格という理由だけで競合他社に勝つことは困難。自社の強みを把握し、さらに磨くことで、価格以外の点で消費者を魅了していくことが必要不可欠。

業界での勝ちパターン︓KSF(成功への鍵を握る要素、すなわち重要成功要因のこと。英語の”Key Factor for Success”の略語。)
• バリューチェーンのどの機能が⼤事か
– 購買、研究開発、⽣産、マーケティング、 販売、サービス
• 機能の中で何が⼤事か
– 研究開発でも基礎研究か、設計か


バリューチェーン分析の活⽤例

新規参⼊企業にとって、 何もかもが⾃分でできる わけじゃない。 だったら得意なところだ け集中してやって、後は 「戦略的提携(Strategic Alliance)」するという のもアリ。



最後までご覧いただきありがとうございました!!




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