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ドラッカー研究

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ドラッカー研究に関する記事を集めてみました
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記事一覧

未来のためにできること~NPO法人ドラッカー学会糸島大会に参加して

2024年9月14日、福岡でNPO法人ドラッカー学会の大会が行われました。テーマは「『脱』組織時代のドラッカー『未来』マネジメント」、実行委員長は「もしドラ」こと『もしも女子高生がドラッカーの「マネジメント」を読んだら』の著者であり糸島に移住されている岩崎夏海氏です。 NHKの次回の朝ドラ「おにぎり」でもある糸島は魏志倭人伝にも記載されている伊都国が由来だそうです。弥生時代から続く米作りが今も続いている田園風景から少し離れて、ミカン畑だったという山間に九州大学伊予キャンパス

実はドラッカーが語っていたオウム真理教の問題と日本の非営利セクター発展への期待~NPO法人ドラッカー学会オンラインイベント「任意団体からNPO法人へ―われわれが向かう先はどこか」に参加して

「河童の目線で人世を読み解く」市井カッパ(仮名)です。 「すべての組織と人間関係の悩みを祓い癒すために」をミッションに社会学的視点から文章を書いております。 御覧いただき、ありがとうございます。 さて、今回は、2024年8月17日の夜に、NPO法人ドラッカー学会の会員向けのオンラインイベント「任意団体からNPO法人へ―われわれが向かう先はどこか」があり、そこで初めて知ったことに衝撃を受けましたので、その記録として残しておきます。 なお、NPO法人ドラッカー学会は9月に会

ドラッカー『非営利組織の経営』第II部「マーケティング、イノベーション、資金源開拓」を読み説く

お読みいただきありがとうございます。第I部に引き続き、第II部を読んでいきます。 第I部はこちら 第II部の日本語訳でのタイトルは「マーケティング、イノベーション、資金源開拓」となっていますが、これも第I部と同じように原文は違います。原文では、”From Mission to Performance : effective strategies for marketing, innovation, and fund development” となっていまして、直訳すると「

NPO法人ドラッカー学会設立記念大会でお話させていただいたこと

先日、研究会での発表について記事化させていただきました。 これには実は背景がありまして、参加者の皆様より、一度、聴いただけでは全貌がわからない、と言われたこと。時間も限られていますし、資料も全部読んでいたら時間がかかってしまうので、はしょりながら発表したことも、原因のひとつかと思います。 ただ、それでもこのときには時間がまだありましたが、今日の標題の「NPO法人ドラッカー学会設立記念大会でお話させていただいたこと」については、わずか15分ということもあり、文字化しておいた

ドラッカー『非営利組織の経営』第I部「ミッションとリーダーシップ」を読み説く

ドラッカー『非営利組織の経営』第I部「ミッションとリーダーシップ」を読み説く お読みいただきありがとうございます。 前回のこちらの記事で、準備が整った感がありますので、これから数回に渡り、ドラッカーの『非営利組織の経営』を読み解いていきたいと思います。 今回の記事では、第I部「ミッションとリーダーシップ」を読み解きます。 と、その前に、目次から、この本の構成を確認しておきます。この本は全5部からなっていまして、それぞれの部が全5章で成り立っています。そのうち1つか2つ

ドラッカーの言う社会サービスの意味を追求していったら、企業別労働組合の可能性に気づいてしまった

下記の前回の記事に入れようと思ったのですが、ちょっと話が限定的になってしまうと考えて、分けることにしました。 ドラッカーが『ポスト資本主義社会』の第9章「社会セクターによる市民性の回復」中で、下記のような記述をしていることを、前回は紹介しました。今回は引用で紹介します。 コミュニティと人に働きかける社会サービスの分野、というのがよくわからないかと思いますが、ドラッカーはこの後、詳細は説明せずに、政府がこれを担うことは無理、という話を展開します。その後に、今ではおなじみのサ

ドラッカーは晩年、なぜ、非営利組織のマネジメントに関心を持ったのか?

お読みいただきありがとうございます。 今回は、佐藤等先生(実践するドラッカーシリーズ他の著作の作者でもあり、NPO法人ドラッカー学会の代表理事)が講師を務めるEDM(エッセンシャル・ドラッカーマネジメント実践コース)の3期を半年間ほど運営していて、このコースでは参加者に毎回、リフレクションと称するレポートを書いてもらうのですが、私も運営側ながら毎回、書いていて、そこでの気づきをシェアします。 佐藤等先生はこちらの方です。 今回のコースでは、ドラッカー教授の「関心」にフォ

コーチング×ドラッカー研究会「ICFのコア・コンピテンシーと、聞け、話すな、のマネジメント」発表報告

ご覧いただきありがとうございます。 今回は、2024年5月8日の夜に、NPO法人ドラッカー学会 公認の研究グループ、コーチング×ドラッカー研究会にて、「ICFのコア・コンピテンシーと、聞け、話すな、のマネジメント」というタイトルで研究発表をさせていただいたのですが、参加者の方から、情報量が多くて、一回聞いただけではよくわからない、という声をいただいたので、なんとか文章化してみます。 タイトルだけではよくわからないかと思いますが、テーマは、「ICFのコーチングについての考え

マネージャー研修設計者に意識して欲しいこと~ドラッカー『現代の経営』から

マネージャー候補者への企業研修の資料を作成していて、ちょっと気づいてしまったことがあったので記録しておきます。 ドラッカーの『現代の経営』に、「明日の経営管理者の育成」という小見出しの部分があります。経営管理者というのは、マネージャーを訳したものですから、これすなわち、マネージャー研修の要諦だとドラッカーが考えていたことだと思います。 引用します。 一部、「それどころか」の流れがわかりにくいですね。原著からこの部分を引用してみます。 「それどころか」は、Indeed

聞け、話すな、の経営

最近、会議に懐疑的である。 会議懐疑論者である。(←半分、言ってみたかっただけ。) さて、そんな会議嫌いも相まって、自分の頭の中でキーワード的に鳴り響いているのが、このタイトルの言葉。もう、商標でも取ろうかしらん、レベルで響いている。 元ネタが何かと言えば、ドラッカーの『経営者の条件』。 しかも、本文というよりは前書きみたいなところ。序章の最後の部分である。 引用してみる。 最後の部分、原著では何と言っているのか。調べてみた。 話すな、とは言ってないw 話すなら、

非営利組織の経営の本質⑥:ドラッカー『非営利組織の経営』原著を目次だけでさっと読む

非営利組織の経営に関する書籍や論文を探していますが、法律や会計などの制度、歴史や意義、みたいなものは発見できるんですが、「良い非営利組織の経営とは?」についてのものはほとんどないですね。この春に2本、私が書いたものが刊行されますが、この分野って語りにくいのかしら? 実際、ソーシャルセクターの皆様を見ていると、とても頑張っていらっしゃっていて、成功されていると傍から見られている組織でも、常に試行錯誤で努力されていらっしゃいます。ということで、あまり実践の場から「こうすれば成功

ドラッカーと利益の話をしよう

「非営利組織」の「営利」ということを考えている中、ドラッカーの『すでに起こった未来』の中に「利益の幻想」という章があることに気づきました。 初出は「ウォールストリート・ジャーナル」紙という新聞に掲載されたものらしく、1975年のことらしい。この文章、なんとなく言っていることはわかるけど、よくわからない、ということで、困っていたら、『ドラッカーと会計の話をしよう』という小説があることを知りました。著者は林あつむさんで公認会計士の方らしいです。 小説は読むのが大変だな、と思っ

日本式経営腐敗論①:日本企業のマネジメントはどこからおかしくなっていったか?~ドラッカーの投稿論文から(1971年,1981年)

失われた何十年とかいう話もなんとなく昭和とともにノスタルジーとともに語られそうな時代になってきましたが、いかがお過ごしでしょうか? 今の日本経済の没落を、人口論のせいにしたり、政治のせいにしたり、いろいろな見方はありますし、それらを否定するものではないのですが、事実として、日本の今の企業のマネジメントはどこかおかしくなっている気がします。 特におかしいな、と感じるのはメーカーでしょうか。様々なメーカーで不祥事が起きています。それが一社ならまだしも、複数業界、多くの会社で起

ドラッカーとマッキンゼーと経営コンサルティング

それにしても、自分の本棚から本を探すのがいかに大変な作業か、思い知らされている。どっかで2日3日かけて、綺麗に本棚を整理したいところ。 は、ともかく、今日のタイトルは何かしら、部屋とTシャツと私を匂わせていますが、よく考えると、単に3つの名刺を「と」で繋いでいるだけです。いかに構造がオリジナルだとインパクトがあるかがわかりますね。 昨日、ある勉強会で、ドラッカーがかつて日経新聞に連載していた「私の履歴書」が単行本になっているという話が出て、あ、そういえば持っていたな、と引