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問題を解決し業務改革を行うための手順は?

業務改善や、問題解決研修で、「困っていること、問題だと思うこと」を聞くと、よく同じような意見があがってくる。「業務効率が悪いので、解決案を出すのだが、周りの人たちが理解してくれない。業務改善が、全然前へ進まない。」という。詳しい状況を聞いていくと、「そりゃあ、そううなるよね。」と思うことも度々ある。このやり方には、いくつかの致命的な誤りがあるからだ。

第一に、基本的な問題解決の手順を無視していること。問題解決の最初のステップは、現状の業務の中に問題が存在することを認識し、そしてその事実を言語化、共有化すること。次に、現状の業務を変えていく必要がある、又は、変えていきたい、という共通認識をもつことだ。「問題はない」「現状を変える必要はない」と思っていれば、解決策など「馬の耳に念仏」。おなかがすいていない馬に、どんなおいしい餌をあれこれ選んで与えても、食べてくれない可能性は高い。

第二に、問題解決の手順とも関連するのだが、「事実」と「意見」の混在。「問題」は現状業務の中に存在する「事実」だが、解決策は個人の「意見」。事実をすっとばして、いくら自分の意見を述べてみても、簡単には理解されない。新入社員教育で、「事実」と「意見」は区別する、ということを教わったと思うのだが、問題解決ではついつい解決策という自分の意見に固執してしまいがちだ。

第三に、「現状が非効率である」という現状否定から入っていること。すべての業務は日々進化している。10年前とやり方が同じ業務など、存在しないだろう。ということは、現在の業務が非効率に見えても、10年前よりは効率化されていて、さらにはその効率化に携わってきた人達、現在そのやり方で業務をやっている人達がいるということ。その人たちを否定して新しいやり方を提案するのは、非協力的な関係者を作りだしやすい。

結局、最初に挙げたような会話から業務改善を進めようとすれば、会話自体が嚙み合っていない、ということが起こりえる。相手に問題が存在するという認識がなかったり、業務を変える必要性を感じていなかったりするのに、どのように業務を変更するか、という個人の意見を話しているのだ。話が噛み合っていなければ、理解してもらうことも協力してもらうことも難しい。

では、どのように問題解決、業務改善を進めていけばいいのか、というと、話は簡単。問題解決の手順に従って、ひとつずつ言語化し関係者の共通認識を積み上げていく必要があるのだ。時間がかかるようにみえるが、急がば回れ、の言葉があるように、先に時間をかけることによって、後の時間を短縮することが可能になる。もし、自分の意見に固執して、抵抗勢力を作ってしまうことになれば、問題解決自体が頓挫しかねない。自分の意見を通したいと思えば思うほど、時間をかけて戦略的にことを運ぶ必要があるのだ。

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