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外注業者と自社の目的は、どこまで行っても一致しない?

デジタル化プロジェクトでは、システム製作に関して、外注する企業も多いのではないだろうか?外注先は主に、システムインテグレーターや、ソフトウェアベンダー。だが、プロジェクトが進むにつれ、トラブルも多くなる。

外注先とのトラブルで、一番多いのは役割分担の曖昧さ。プロジェクトマネジメントの知識体系を記したPMBOKによると、プロジェクトで管理する領域は、次の10個。3つに分類してみた。

① 経営者(リーダー)的スキル~統合管理、スコープ管理、リスク管理
② 人を動かすスキル~(人的)資源管理、コミュニケーション管理、利害関係者管理
③ システム製作のスキル~スケジュール管理、コスト管理、品質管理、調達管理

この中で、外注先が責任を負うのはどの部分か?基本的には、外注先はシステム製作を請け負っているので、システム製作に関するスケジュール管理、コスト管理、品質管理ということになる。その以外の部分については、基本的に外注先は責任を負わない。

しかし、プロジェクトの経験があまりない企業では、外注先がすべてをやってくれると思っている傾向がある。たしかに、プロジェクトにおいて、システム製作が占める割合は非常に大きい。作業量でいくと全体の約60~80%を占めているかもしれない。でも、結局、システムを稼働させるのは社内の人間なのだ。社内の人間にプロジェクトの目的を浸透させ、行動に導くことは、外注にはできない。システムに関するQCD以外は、社内の人間が管理していく必要があるのだ。

外注先の目的は、あくまでシステムを製作すること。
プロジェクトの目的は、従業員による、経営課題の解決、又は、経営目標の達成。

この2つの間にはギャップがある。外注先も自社の目的達成に協力してくれるはずだ、というのは大きな誤解。結果、システムはできたけど、人がついてこない。外注先は言われた要件に基づいてシステム製作したと言い、こちらは、自社としては使えないシステムだと言い、平行線。でも、作った以上は使わざるを得ず、ユーザーに文句を言われながら、プロジェクトの事後処理が長く続く、という状況になりかねない。

次に多いのがシステムの品質は外注が管理するという誤解。

外注先は、システム製作について、スケジュール管理、コスト管理、品質管理をすることが求められている。スケジュール管理、コスト管理については、納期、所要時間などで可視化されるので、まともな外注先であれば、特に問題にはならない。プロジェクトは予定通りにいかないのが常だから、期間、コストとも1.2倍くらいにはなるかもしれないが、この範疇で収まらない外注先は、外注先の選定基準が甘かったのかも。品質は、可視化するのが難しいので、より問題になりやすい。品質を担保したいのであれば、外注任せにせず、自社でも品質のチェックができるようなプロセスを作る必要がある。品質が劣ると、結局、先ほどと同じで、ユーザーに文句を言われながら、プロジェクトの事後処理が長引く、という状況になりかねない。

外注先はあくまで業務委託した範囲について責任を持っているということであり、「経営的・業務的な目標」対「システム作成が目標」ということで、最終目標が違うということは肝に銘じておいたほうがいい。

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