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上場D2C企業の一人あたり売上高と人件費比率の比較

株式会社Bizgemでは「すべてのクリエイターに良質な経営を提供する」をミッションに各種コンサルティングサービス、ECサイト開発サービスを提供しております。

一般的に在庫を持ち販売をする小売業の利益率は低いと言われており、店舗を持たないEC事業といっても例外ではなく、高い利益率を出すためには利益率の高い商品を、効率良いオペレーションで、厳格にコスト管理を行っていく必要があります。そのためBizgemのコンサルティングサービスでは、現状の損益計算書・貸借対照表から理想とする未来の経営計画の策定の際には各費用項目に対して、売上に対する理想的な比率を上場企業などの損益計算書データと比較して導き出し、それぞれの項目に対してアクションプランを策定していくことを実施しています。

今回はその中で調べた上場企業の人件費比率のデータについて見ていく中で、皆さんの企業にもあてはめて考えてみる機会としていただければと思います。

D2C上場企業の人件費比率の一覧データ

早速ですがD2C関連の上場企業の人件費比率の各データは下記の通りです。対象企業は①EC事業の割合が大きく自社でのリアル店舗展開がほぼない事業者、②有価証券報告書の販管費欄に人件費の記載がある企業のみを対象としました。(この企業も追加してほしいなどあればご連絡いただけるとうれしいです)

上場D2C企業の人件費比率一覧

※各社の有価証券報告書のデータをベースに記載
※従業員数については有価証券報告書の「従業員の状況」の従業委員数を記載
※人件費比率は5%未満を緑セル、10%以上を赤セルで表記
※広告宣伝費は10%未満を緑セル、20%以上を赤セルで表記

一人あたり売上高は2,796万円〜1.49億円、売上高人件費比率は3.81%〜18.53%

売上 ÷ 従業員数で計算した一人あたりの売上高は夢展望の2,796万円からベースフードの1.49億円まで様々です。一方でご覧いただければわかるとおり、最も営業利益率の高い北の達人コーポレーションの一人あたり売上高は5,313万円と特に高いわけではありません。

売上高に対する人件費比率は最も低いベースフードで3.81%、最も高い夢展望で18.53%となっています。ここはビジネスモデルも収益性も異なるので参考値程度にしながらも自社のビジネスモデルと近い企業はどこなのか、ベンチマークにした上で自社の現状から理想的な比率はどの程度か考えるプロセスが重要になります。

ビジネスモデルごとの傾向

対象となる企業が多くなくきれいな分類ができておりませんが、大雑把にビジネスモデルを分けると下記のようになります。

ECモール主体型

ECモール主体の企業は集客やサイトの開発などをECモール側で行ってくれるため、人件費比率・広告宣伝費比率を抑えることができ、その分、モール側への手数料比率があがるため、その他販管費の比率が上がる傾向にあります。上記で記載した企業ではI-NEとベガコーポレーションが当てはまります

自社EC特化型

クラシコムのような自社EC特化型の企業は人件費比率がモール主体型に比べると高くなるものの、自社独自のマーケティングで広告宣伝費を抑えて、モールへの販売手数料がない分、その他販管費は低くなります。

高粗利・広告型

北の達人・Waqooなど商品の粗利率が高いが、商品性の差別化が難しく、マーケティングのテクニックに売上が依存する商品を扱う場合は、人件費・広告費・その他販管費も含めて全て高くなりやすいものの、そもそもの粗利率が高いためにそれらを吸収できてしまいます。一方で営業利益ベースで赤字に転落しているWaqooの数字を見ても、広告に対して想定よりも売上が伸びないと、固定費となる人件費の比率が高くなり赤字となってしまいます。

固定費で変更が簡単ではない人件費の比率・指標に敏感になる

規模が小さいときは必然的に人件費の比率が高くなってしまうため、理想的な比率に抑えるのがとても難しいのですが予め意識をしておくことで、効率的な運営を心がけ、より筋肉質な企業体にすることができます。

例えば現状で4人で売上1億円、一人あたり売上高が2,500万円の企業が、一人あたりの売上高の理想を5000万円とするのであれば、4人のまま売上2億円に成長する or 8人で売上4億円にする必要があります。人員計画をたてる際に常に一人あたりの売上高・売上高に対する人件費比率の理想形を頭にいれながら運営することで、利益の出やすい体制になるかと思います。

株式会社Bizgemでは利益の管理体制の構築、少ない人員でも効率的な運営が可能な体制の構築についてもサポートしております。この機会にぜひご検討いただきお問い合わせいただければ幸いです。


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