【ものづくり】3Dプリンターってどんなもの?3Dプリンティングってどんな技術?
はじめに
3Dプリンターという言葉、聞いたことありますか?プリンターといっても印刷をするのではありません。立体を造形するものづくりを行う機械です。3Dプリンターを使ったモノづくりは「付加製造技術」あるいは「アディティブ・マニュファクチュアリング(Additive Manufacturing = AM)とも呼ばれています。プラスチックやABS樹脂、金属粉末などの材料を積層させて立体を造形していきます。
これまでは設計者やデザイナーがイメージしたアイデアを2D、つまり平面で見ることしかできませんでした。それがコンピューターのモニター上でグラフィックソフトを使い、表現できるようになり、現在は樹脂や金属で立体造形してみることができるようになりました。この3Dプリンターの普及でモノづくりのデザインや設計、プロセスに対する考え方が変化してきています。
3Dプリンターはプラスチックや樹脂や金属でイメージを即座に立体造形できる
3Dプリンターはどんな場所で使われているのでしょうか。3Dプリンターが登場した頃は大量生産に入る前の製品デザイン、機能、構造、応力解析や組み付け、質感などを確認するための試作で使用されているケースが多く見られました。
しかし、現在は3Dプリンターの出力精度や材料技術が大幅に向上しており、完成品や市販品の生産にも使用する例が増えてきています。飛行機の金属部品、エンジンのタービンブレードや燃料ノズルなどの製造に利用されているのをご存知でしょうか。また、海外の高級スポーツカーメーカーが自社のクラシックモデル向けで入手困難になっていたものを3Dプリンターで製造し、供給しています。またこのメーカーではEVスポーツカー用電動ドライブハウジングも3Dプリンターで製造しています。
「最先端3Dプリンター技術で作る航空機エンジンのタービンブレード」(GE Reports)
「ポルシェ クラシックが3Dプリンターからクラシックパーツを供給」
3Dプリンターの基本原理(出力がプラスチックや樹脂の場合)
3Dプリンターの基本原理を紹介しましょう。プラスチックや樹脂を材料に使う3Dプリンターは吐出器のノズルから熱で溶融させたフィラメント状の材料を射出し、少しずつ積層、硬化させて、3Dで設計されたデータ通りに造形していきます。樹脂を材料にするものでは細かい粒子、パウダー状の樹脂をノズルから噴射して、紫外線(UV)を照射することによって固めながら積層していくタイプがあります。
かつてはエンジニアリングプラスチック(エンプラ)も出力は熱の問題から困難とされてきましたが、現在では3Dプリンターによる出力が困難だった材料、PEEKなどのスーパーエンジニアリングプラスチック(スーパーエンプラ)で造形できる製品も登場しています。
3Dプリンター/AON3D社『AON-M2』のご紹介 AON3D様 (リコージャパン)
3Dプリンターの基本原理(出力がプラスチックや樹脂の場合)
一方、金属3Dプリンターは従来の技術で不可能だった幾何学的構造を容易に加工することができます。金属3Dプリンターは金属パウダーなどを材料に利用します。レーザーや電子ビームで金属パウダーを溶融、固体化させ、層を積み重ねるという加工プロセスで立体に造形していきます。
これまで複数の加工部品を組み合わせて作っていたものを、金属3Dプリンターを使い、一体で造形することが可能となります。一体化することで部品強度を向上させるだけでなく、工程やコストの削減できるというメリットもあります。
3Dプリンターが工作機械を変えた
3Dプリンター、アディティブ・マニュファクチュアリング技術は工作機械の世界も変革しました。大手工作機械メーカーは5軸マシニングセンターに金属3Dプリンター機能、つまりアディティブマニュファクチャリング機能を組み込んだものを市場投入しています。1台の機械でレーザー金属積層造形とミーリング加工が可能なことから、航空機や医療などの複雑形状部品の加工のほか、部品の修復、耐食・耐磨耗コーティングなどさまざまな用途に利用することができます。
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