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7/18-21 出羽三山②

7/20-21

 翌朝は4時半に目覚ましセットするが、ものすごい風が止まず、とても出発できそうになかった。6時くらいも変わらず。mちゃんがなんとか時間かけて山の天気予報を調べてくれるが昼過ぎまで変わらない、むしろ荒れてくという。もう一泊を視野に入れなければならない。うぬぬ。素泊まり一泊7000円+帰りのバスキャンセル料+食料がないので山小屋で頼むとしたら+1万超えか...とちょっと凹む。いつも多すぎるくらい食べ物持ってくるのに、とラーメンひっくり返し事件が尾を引いている。下山2時間ちょいならがんばれば行けるのでは?という気持ちと、いや2時間で死んじゃった人もいるよな、という気持ちでうぬぬぬぬ..お腹空いた...しかも月のものでお腹痛い...となってたところmちゃんが小屋の人に聞いたらこれくらいなら大丈夫とお墨付きをいただいてきた。頼りっぱなし。出発の準備していざ、月山(まだ山頂に行ってない)、羽黒山へ。

 出がけに支払いを済ませて挨拶する。今回は若めの男性が対応してくれたが、やっぱり最小限の会話で、うつむきがちに帽子を脱いでありがとうございました、と言ってくれた。多くは話さないけど玄関まで出てきてくれて、出たあとも逆方向に歩き出した我々に小窓から頭を出して「逆!逆!」と教えてくれた。優しい。

 強風は強風だったけど歩けないほどではなくホッとひと安心。月山の神社は湯殿山と同じく入り口で参拝料を支払い、中は一切撮影禁止。というかこの神社の人たち、昨日までいったいどこにいたのか。謎すぎる。岩の壁で仕切られた中に神様が祀られていた。狭いスペースに白装束(カッパだったのか?)団体さんがいっぱい、なにかの儀式だろうか。神様はまあるい鏡だった。そういや湯殿山の社務所地下のお風呂の神様も鏡だった。両脇にウサギの像がいて、あ、うん、と口がなってた。かわいい。団体さんは皆でなにかお経みたいな、歌みたいなのを歌ってる。すごい。これは信仰か。日本にも信仰があったんだ。ガチのやつだ、、とすごい発見をしたみたいに呆気にとられてしまった。歌がやむと、ぷ、ぷうぉ〜ー!と法螺貝を吹く音が。おぉ、山岳信仰のシンボルだ。月山神社で聞くリアル法螺貝の迫力よ。もう見たいもの全て見させていただいた。山の神様ありがとう。この旅で思い残すことはない。

 さて参拝もしたし、あとは2時間ちょい下るだけ。と思いきや。雨と、もともとの水量が多いのとで、またしても沢下り。川の中をじゃぶじゃぶ歩いて、時々滑る。岩がとにかく滑る。これはきつい、、。汗と、雨と、足元まで浸かった水。もはや中から出てる水分なのか、外から加わった水分なのか分からない。人間の身体もほとんど水分だってたしか昔のポカリスエットのCMでも言ってたし、そうかこれが生まれ変わるということか、、と緊張感と疲労で朦朧とした頭で考える。なんとかかんとかバス停のある月山8号目着。13時くらい。びしょ濡れでバスに乗るわけにいかないのでレストハウスのトイレで前日乾かしたTシャツに着替える。ひどい有り様だけどホッとした。念のためお店の女性にバスの時間と発着所を聞くと「次は13時10分だと思いますけど?」と言って奥の夫らしき人に聞きに行った。え!慌てて準備する私たち。その間もご夫婦は静かに時刻表を出して調べてくれている。今回出会った山形の人たち、なんだか共通する親切さがある。ここがいいですよとか、どうでしたかとか、色々言わないけど家族が心配してくれるみたいに心配してくれてる感じがアツイ。グッとくる。そういえば仕事で関わりのある80代の山形出身のおばあちゃんも、そっけないくらい多くは話さないのに、会いに行くといつもきちんと部屋を掃除して座るところに座布団敷いて待っててくれる人だ。笑うとチャーミングだから笑わせたくなってしまう、会いに行くのが楽しみな人のひとりだ。なんか山形出身の人に共通の美学みたいなのを感じる。

 バスに揺られてうつらうつらして、羽黒山に着いた。こちらは打って変わってザ観光地という感じ。お腹が空いてたので駐車場近くのお店で「天狗そば」を食べた。お店を出るときに行く方向を尋ねると、木の杖(正式名称調べ中)を貸してくれた。羽黒山の焼き印が押されてる。これはほんとは2000円で売ってて、参拝するたびに焼き印を加えていくものらしい。車で来てたらゲットしたいところだが、家に帰ったら持て余してしまうやつ。これがこのあと大活躍する。羽黒山神社は壮大なスケール感でこちらも団体さんがなにかお祓い的な儀式を受けてた。鳥居や祠があちこちにあって説明書きもあるが、すでに我々は前日から神様を浴びまくりの神様バブル、神様三昧、神様飽和状態になってたので、時々手を合わせながらもほぼ素通り。次の目的地のバス停までのんびり歩くつもりが、恐るべし長さの下り階段が待ってた。こちらも雨に濡れてツルツル。借りた杖で支えながら下り、一命を取り止めまくる。一段が狭くてでかい登山靴で降り辛い。つらい。もういやだよ〜と根をあげながら、進むしかないので進む。巨大な杉が両脇にデーンと直立してる。行きのドライバーさんが会った不思議なおばあちゃんが会話したという杉の木にもご挨拶した。たしかに、あとちょっとで杉の声が聞こえそうだ。あとちょっと、あとちょっとなんだけど、、。途中の五重塔は改修中だった。最後に見事な滝があって神社は岩戸分神社、技芸とスポーツの神様ということで、我々の秘められた才能の更なる向上とヨガの上達をお願いした。鳥居をくぐって無事に降りてこれたことを感謝した。今回は神さまにお願いもしたが、基本的に神様には感謝しきりである。この先なるべく皆の苦しみが少ないようにしてくださるとありがたい。出口について自販機でカルピス買って一気飲み。バスを待つ間、近くの施設の入り口にあった顔ハメパネルで遊んだ。mちゃんの変顔のバリエーションが発掘された瞬間だった。はしゃぐ中年ふたり。お腹よじれるかと思った。

 バスに乗ってから「ゆぽか」という温泉施設で下車した。スーパー銭湯みたいなところと思いきや立派な温泉施設だった。お風呂が、露天風呂が、ひ、広い!向こうの田んぼと山々が見渡せる絶景。素晴らしすぎるよ山形。だから旅はやめられないのだ。疲れを癒やして食堂で「やまぶしラーメン」を食べた。にんにくが効いてうまかった。21時くらいにタクシーで再び鶴岡エスモールに戻る。昼間は一面青い田んぼだったけど、夜は漆黒の闇。真っ暗だった。そうか夜は暗いのだった。鶴岡エスモールの待合室で駄弁り、23時近くの夜行バスに乗って帰った。やっぱり3列はよかった。今回は私たちの旅にしては贅沢だったけど、40何年間、歯を食いしばるような食いしばらないような思いもしてるんだからこれくらいは許されるはず。帰ったらスピリチュアルが開眼して木々の話し声が聞こえるだろうか。いや、まだ少し時間がかかるだろう。それまでは聞こえる声を聞きながらのんびりやってけばいいのだ。たまに顔ハメパネルとかやりながら。

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