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ドラマ『クイーンズ・ギャンビット』

「クイーンズ・ギャンビット」とは、チェスの戦略の1つらしい。

舞台は1950年代のアメリカ。主人公のベスは幼くして母と死に別れ、児童養護施設に育つ。その施設の用務員のおじさんにチェスに基礎を習って、あっという間に実力を開花させる。チェスの天才だ。


天才と依存症は切っても切り離せないものなのか。ベスも例に漏れない。この時代のアメリカでは、児童養護施設の児童に精神安定剤を与えていたようだ。その影響で薬物依存になり、その後アルコールにも溺れていった。

年齢とともに美しく成長を遂げ、数々の華々しい結果を残しながら、人知れずお酒に飲み込まれていく姿が作品内でリアルに描かれていく。見ていると心がヒリヒリした。

作品の冒頭で、人と違う才能を持つと、それに見合った代償を払う人生になるみたいなことを用務員のおじさんは言っていた。

若くして上りつめるには、普通の人はしない苦労をすることになる。次第に精神は追い詰められて、孤独に。

彼女に近づく男性は自信をなくして去っていくのだと(チェスの才能のなさに耐えられず)、寂しげに笑っていたのが印象的だった。どれだけすごいのか、ベス。


作品の最後は周囲の人々の温かみが感じられ、素晴らしい大団円となった。この作品を見ていて、初めてハートウォーミングな気持ちになれたと思う。


主人公ベスを演じたアニャ・テイラー=ジョイに心からの称賛を贈りたい。印象的な目力、60年代ファッションを着こなすスタイルと魅力、圧倒的な存在感。

『クイーンズ・ギャンビット』の公開以降、チェス関連の製品の売上が上昇したらしい。


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