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『由宇子の天秤』トークイベント開催‼春本雄二郎監督、森直人さん(映画評論家)登壇

瀧内公美(『火口のふたり』、『裏アカ』)を主演に迎えた春本雄二郎監督(『かぞくへ』)最新作『由宇子の天秤』が、9月17日(金)より渋谷ユー
ロスペースほかにて全国順次公開いたします。

公開に先駆け、8月29日(日)に、都内にて春本雄二郎監督×森直人さん(映画評論家)によるトークイベント付き試写会を開催いたしました。

春本雄二郎監督は初長編『かぞくへ』(16)が高く評価され、第二作目である『由宇子の天秤』でもその手腕を振るい、ベルリン、釜山をはじめ国
内外の映画祭を席巻しました。森直人さんは「今年のベストワン映画。誰もが正義の側に立とうとする今の世に届けられた爆弾です。全力支持表明!」と絶賛コメントを寄せています。

■ まさに世界レベル!コンペで大賞に相当する作品と大絶賛! 
森はまず『由宇子の天秤』を今年早くもベストワンに選んだ理由について「端的に言って世界レベルだと思ったから。本作は今年のベルリン映画祭のパノラマ部門出品でしたが、もしコンペに出品されていたら大賞を取ってもおかしくない。春本監督はカンヌで脚本賞を受賞した『ドライブ・マイ・カー』の濱口竜介監督とも同い年で、ようやく世界レベルの新世代の日本映画がどんどん出てきた。前作『かぞくへ』もそうだったが、社会的な主題をドキュメンタリー的な手法でフィクションでしかできない緻密な構成で作劇するというのは、ベルギーのダルデンヌ兄弟を彷彿とさせる
と本作を世界で戦える作品だと大絶賛。

森が「この主人公は自分の価値観で判断をしていくのだけど、判断を間違え続けますね。」と主人公像を分析すると、春本監督は「完璧な人間を描かないんです。人間は欠点があるから面白い。間違いを犯すのは本人だけの問題ではなく、環境や社会の問題でもあるんです」と答えた。

また音のこだわりについて森が質問すると、監督は「音楽を使わず、生活音を音楽のようにしたかったので、音響効果さんを入れて、音をたくさん足しているんです。鉛筆のカリカリいう音や、食べているとき食器がカチャッという音など」と音響効果が緻密に計算されていることを明かした。

この映画の良さについて森は「観客みんなをモヤモヤさせるのがこの映画の素晴らしいところ。主人公をはじめみんなが正しい側にいると思い込んでいる。失敗した人をボロボロになるまで叩き続ける不寛容が、現実の世界でも加速している。それは当事者意識の欠如が原因だと思う。この映画は我々を当事者にさせるんです」と分析。それを受けて監督は「今、当事者にならないと理解できない人が増えている。つまり想像力がない。僕の根底にあるのは人を描くこと。人を描くことは感情を描くこと。感情を描くには自分自身がそこにいないといけない。だからシナリオを書くときは、自分ならどうするか自問自答しまくる。全キャラクターで編み物のように繰り返した。二度と人の多い映画はやめようと思った(笑)」と丹念な脚本作りの過程に触れた。

イベント写真①

最後に森が「この映画ほんとにヒットしてほしい。ほんとに面白くて2時間半全然退屈しないんです」
とプッシュし、監督が「上映前の舞台挨拶で“この映画は長いからトイレ行っておいてください。と言いつつ、この映画のいいところは尿意をわすれる映画です”って言ったけど、どうでしたか?」と客席に投げかけると、笑いとともに拍手が起きた。

イベント終了後も、ロビーでは監督へ感想を熱く語りはじめる観客が多く見受けられ、SNS上でも「愚直に人間を捉えた大傑作」「最後まで見入って圧倒された」「世界屈指の邦画」と絶賛コメントが続出した。

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“正しさ”とは何なのか?
ドキュメンタリーディレクターの由宇子は究極の選択を迫られる――

三年前に起きた女子高生いじめ自殺事件を追うドキュメンタリーディレクターの由宇子は、テレビ局の方針と対立を繰返しながらも事件の真相に迫りつつあった。そんな時、学習塾を経営する父から思いもよらぬ“衝撃的な実”を聞かされる。大切なものを守りたい、しかしそれは同時に自分の「正義」を揺るがすことになる――。果たして「“正しさ”とは何なのか?」常に真実を明らかにしたいという信念に突き動かされてきた由宇子は、究極の選択を迫られる...。

主演は、『火口のふたり』(19)で第93回キネマ旬報ベスト・テン主演女優賞に輝き、本作でスペインのラス・パルマス国際映画祭で最優秀女優賞に輝いた瀧内公美。脇を固めるのは『佐々木、イン、マイマイン』(20)の河合優実、『かぞくへ』(16)の梅田誠弘、さらに日本映画界屈指のバイプレイヤー 光石研ら。監督・脚本は、『かぞくへ』(16)が高く評価された春本雄二郎。そして、長編アニメーション『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』の片渕須直がプロデューサーとして参加している。

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瀧内公美  河合優実  梅田誠弘
松浦祐也  和田光沙  池田良  木村知貴
前原滉  永瀬未留  河野宏紀  根矢涼香
川瀬陽太  丘みつ子  光石研

脚本・監督・編集:春本雄二郎

プロデューサー:春本雄二郎、松島哲也、片渕須直
キャスティング:藤村駿  ラインプロデューサー:深澤知
撮影:野口健司  照明:根本伸一  録音・整音:小黒健太郎  音響効果:松浦大樹
美術:相馬直樹  装飾:中島明日香  小道具:福田弥生  衣裳:星野和美  ヘアメイク:原田ゆかり
製作:映画「由宇子の天秤」製作委員会
製作協力:高崎フィルム・コミッション
助成:文化庁文化芸術振興費補助金(映画創造活動支援事業)独立行政法人日本芸術文化振興会
配給:ビターズ・エンド
2020/日本/152 分/カラー/5.1ch/1:2.35/DCP
©2020 映画工房春組 合同会社

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