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ついに明日公開!『夏の終わりに願うこと』リラ・アビレス監督のインタビューが到着🌺

いよいよ明日より全国順次公開となる『夏の終わりに願うこと』。本作リラ・アビレス監督のインタビューを公開いたします!

リラ・アビレス監督インタビュー

―『夏の終わりに願うこと』はどんな作品ですか?
本作にはいろいろな要素が含まれています。でも一番は「人生」について描きたかった、ただそれだけです。私はコミュニケーション、人間関係の美徳、自然との交わりについての映画を作りたいと思っていました。7歳でもすでに成熟しており、自分のまなざしで世界を創造しようとする少女を描きたかったのです。
今、私たちは外側にあるものに没頭するあまり、内側にある本質に目を向けることを忘れがちです。私たちは社会のなかで、協力し合わなければ成り立たないのに、動物や自然、家族、友人、そして自分自身に対する敬意を持たなければならないことを理解していないのです。
この映画は、“家”や“家庭”という感覚に対する、私の探究心に応えるものとして生まれました。つながりを保ち続けるために、私たちには何ができるのか?近くで見れば見るほど、ルーツに近づけば近づくほど、つながりを保つことはたやすくなります。ひとつの家族の中に、常に多様な行動や視点があり、ひとつの小宇宙を成しているからです。
イギリスの詩人ウィリアム・ブレイクはこう言っています。「一粒の砂に世界を見、一輪の野の花に天国を見る。手のひらに無限をつかみ、一瞬のうちに永遠をとらえる」。このような始まりから、私はただ書き始め、登場人物達を型に流し込み、『夏の終わりに願うこと』という形に焼き上げたのです。

― 本作はどのようにして生まれたのですか?
タイトルは私たちが生まれながら持つ名前と同じで、“鍵”なのです。別の名前から始めて、それが変化していくことも時にはありますが、タイトルを変えることはできないと確信できたとき、それはとても貴重な経験になります。
「Tótem」は、私が母親になったばかりのときに思いついたので、娘への贈り物のようなものだと思っています。いわばこの映画は愛と、「母娘」の関係を祝福するものです。

― 本作に通底するテーマは何だと考えますか?
本作では(1つでなく)いろいろなことを異なるレイヤーで語っています。例えば、自分の家族や友人が、自分自信の物語と共鳴する何かを持ち帰ってくれることは、私にとってとても感動的なことです。それこそが芸術の美徳であり、あらゆる障壁を越えて、私たちの生活の内側に他者を迎え入れることになります。
もちろん映画には絵画と同じように陰影があり、光を理解するためには、影を理解する必要があります。時に、影は人生を困難にしますが、同時に最も力強いものでもあります。影は人生を旅のように豊かにし、生き生きとさせる神秘のように思えるのです。

― 大家族を中心に物語を描こうと思ったのは何故でしょうか?
ラテンアメリカの家族は巨大だからです。いとこやおじさん、動物たち...いつもパーティーのようで、そういう世界を描きたかったからでもあります。
私は「ことば」が好きです。家族が関わっていくなかで、同じ言語であっても、一族ならではの特異な意味を持つスラングやコードがあるかもしれない。それは家族が日々経験する儀式のようなもので、誰もが違うということを理解し、そのことに良心的に対処する必要があります。

― プロではない幼い俳優たちと、どのように仕事をしたのですか?
脚本を書いているときから、特定の俳優のアンサンブルを見つけることができれば、この映画は私が夢見たとおりのものになるだろうと思っており、それが目標でした。前作「The Chambermaid」のメインキャラクターを務めたガブリエラ・カルトルをキャスティングに誘い、彼女と一緒に私たちの「女王バチ(主人公)」=ソルを探しました。私はプロではない俳優と仕事をするのが好きなので、キャスティングにはいつも一苦労です。
人に会うと、直感的に「この人だ!」と思うことがありますが、ソル役のナイマに会ったとき、私は彼女の近くにいる感覚がすごく気に入りました。何時間でもいろいろなことを話せて、完全に打ち解けることができたし、エステル(従妹)役のサオリ・グルサとはいつも笑い合っていました。私は彼女たちに、喜びや遊び心を感じてほしかった。監督として、ほとんど母親のようになり、耳を傾け、感じ、常識を映し出し、押し付けることなく、ただ導き、自信と知識を与え、強力な何かを築き上げる必要がありました。私はあの元気な少女たちが大好きで、私たちは本当にいい友達になることができました。ナイマとサオリは2つの宝石のように私の近くで輝いていました。

【PROFILE】
1982年、メキシコシティ生まれ。映画監督、脚本家、プロデューサー。
舞台美術と映画脚本を学び、10年間俳優としてキャリアを積んだあと制作側に転向。2018年に自身の会社Limerencia Filmsを設立。初の長編映画「The Chambermaid」(18)は第92回アカデミー賞®国際長編映画賞メキシコ代表に選出。世界中の70以上の映画祭に招待され、国内外問わず多くの賞を受賞している。
2023年にはファッションブランドMIU MIUの短編アンソロジーシリーズ「Women's Tales」の一編「Eye Two Times Mouth」の監督を務め、ヴェネチア国際映画祭でプレミア上映された。本作『夏の終わりに願うこと』は第73回ベルリン国際映画祭のオフィシャル・コンペティション部門でプレミア上映され、エキュメニカル審査員賞を受賞。世界各国の映画祭で30以上の賞を受賞し、批評家からも高い評価を得ている。
2024年3月には国際女性デー65周年を記念したロールモデルプログラムにヘレン・ミレン、カイリー・ミノーグらと共に選ばれ、リラ・アビレス監督を模したオリジナルのバービー人形がマテル社から贈られた。

『夏の終わりに願うこと』

8月9日(金)、ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国順次ロードショー!

監督・脚本:リラ・アビレス
出演:ナイマ・センティエス、モンセラート・マラニョン、マリソル・ガセ、マテオ・ガルシア・エリソンド、テレシタ・サンチェス
2023年/メキシコ・デンマーク・フランス/カラー/スタンダード/95分/原題:Tótem
日本語字幕:林かんな 配給:ビターズ・エンド 後援:メキシコ大使館
© 2023- LIMERENCIAFILMS S.A.P.I. DE C.V., LATERNA FILM, PALOMA PRODUCTIONS, ALPHAVIOLET PRODUCTION

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