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仲良くしてね❗️

こんにちは。
もっぱら菓子を焼いている者です。

最近は、この「Bitte」(ビッテ)という店名から想像力を逞しく、
きっとこの店にはドイツのお菓子があるに相違ないと
大きな期待を以て来られる方が居られるらしい…。

「らしい」という温度感、無責任で済みません。

〝ビッテ〟って、単なる〝どうぞ〟なんだけど…。

・・・・・・・

確かに開店当時はドイツ菓子をやっていました。

そんなコジツケみたいなの要らんわ!
そんなん世の中にあるんかぃ?知らねぇなぁ〜!
〝フランスの菓子〟の方が美味いに決まってるで!

ドイツの菓子って、何あんの?
例えばバウムクーヘン。
へぇ!バウムクーヘンってドイツの菓子だったのぉ?
スーパーにもあるしね! 

こんな声を真っ向から受け止め、すっかり嫌気に襲われながら、
何とな〜くパンを焼いたりしながら開店7年経ち、8年目を迎えるか否かはわからないけれど、とりあえず現在は菓子を焼いてます。

・・・・・・・

〝フランスの菓子の方が美味い〟と言うように、フランスにはフランス菓子があるのだ。
同じように日本には和菓子が、アメリカにも、ドイツにも、その国独自の菓子文化がある。

で、私の場合、ドイツ菓子だったのです。

・・・・・・・

私はドイツへは行ったことがありません。
ここでいきなりのカミングアウト❗️

オーストリアへの留学直前。
自宅を出るほんの5分ほど前。
その時刻は深夜でした。
手配のタクシープールまで送ってあげるよと、父が車にトランクを載せ、
「トイレに行っておけよ!」と、いつものような会話をしていた時、
長期留学でドキドキしていた私にホストファミリーから電話が。

その内容は「来ないでくれ」とのことでした。

はぁ〜?
ワクワク感は一瞬で残念感になり、目の前が真っ暗になった。
チケットは台無しの、ただの紙切れとなった。

それまでずっと学んでいたドイツ語は、使える場面があるのやら?ないのやら? 

これが英語だったら良かったのにね…傷口を塩で塗るような言葉。

もうドイツ語は、そこでお終いにしたい気持ちでした。
その時のショックが蘇るのです。

が、その時「自分の身に付けたものを無駄にしてはならない」と強く主張したのは、今でも感情の齟齬が絶えない〝母〟でした。 

母は強いのです。

・・・・・・

どんな時も「何となく」が、私の人生のようです。
何となく僅かに身についた独語と英語を駆使して通訳のようなことが出来て上司から頼りにされたり、少しずつ悪いことばかりではないことを知った。
傷を癒すなどと、悠長なことを言っていられた日々。

こんなふうにお茶を濁す日々でも、日本語をドイツ語に翻訳する職業の日本人の友人が、それからドイツ出身の友人が出来たりした。 

言葉だけでなく、暮らし、菓子レシピ…いろいろ学んだ。

今ではすっかり離れ離れに、連絡(縁)も途切れてしまったけれど、皆それぞれに自分の人生を歩んでいると思う。

今の私には楽しかった思い出が残っている。 

・・・・・・

写真は「アーモンドのお菓子」。
全然ドイツっぽくないじゃん!

そう言わんで下さいな。

Mandel Gebäck(マンデル ゲベック)と言うよりもMandel Plätzchen(マンデル プレッツヒェン)って感じ??
 Mandel Ziegel(マンデル チーゲル)より若干厚めだからPlätzchen(プレッツヒェン)でどうかしら??
私の頭の中では、いつもこんな感じなんです。

こんなこと言われても…ハテナでしょ?
だからBitteでは「アーモンドのお菓子」と言う名前です。

頑固一徹に、ガチガチのドイツ語で通そうとしても、馴染みのない名前では…。
況してやゲルマン系言語では、ど〜も美味しそうな感じがしない。
そう!シズル感が出ないのだ。

まるで東北弁のように流れる音のフランス語は、なぜか魅力的に美しく聞こえるけれど、ゴツんゴツんとしたドイツ語では何だかねぇ…。
と言うわけで、どなたでもわかる日本語が良いと思うのです。

どうぞ、仲良くして下さい。
よろしくお願いいたします。

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