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「元春レディオ・ショー」を自分で創ってみる~ポッドキャスト自作の記録

 ポッドキャスト配信ツール「Anchor」の新機能「Music + Talk」を使うと、自作のポッドキャストにSpotifyで配信している曲が挿入出来るようになったので、佐野元春さんの曲を3曲紹介する番組を作ってみました。いずれもとても思い出深い曲です。
【注意】曲を全部聴くにはSpotifyユーザー(有料)である必要があります。

 このポッドキャストで紹介したのは次の3曲です。

♪悲しきRADIO/佐野元春

 放送局で働いていた頃、初めて「佐野元春の特集をやりたい!」とラジオ番組の企画書を書いた時に、冒頭に書いたのは次のセリフでした。

RADIO! RADIO! おしゃべりなDJ もういいから
RADIO! RADIO! イカしたMUSIC 続けてもっと
――悲しきRADIO(佐野元春)
 3時間ノンストップで音楽を掛け続けるラジオ番組には、
こんな風に歌うアーティストこそお似合いだ。

 この曲は佐野さんの2枚目のアルバム『Heart Heat』収録曲で、発表当時(1981年)佐野さんは伝説のFM番組『サウンドストリート』でDJを務めていました。その構成は大変ユニークで、豊富な音楽知識とセンスの良い選曲に加え、次から次へと音楽を畳みかけるスタイルがとても新鮮でした。まさに「おしゃべりなDJよりも、イカしたMUSICを続ける」番組だったのです。

 音楽好きの高校生・大学生たちはこのスタイルにすっかりのぼせ上りました。その一人であった私は、それから30年以上も経ってから、佐野さんの音楽だけで3時間の特番を企画したのです。企画が通った後、オンエアの冒頭を飾ったのがこの曲でした。走り出すようなピアノのイントロから始まるロックンロールで、キメのフレーズにあるように「イカした音楽がぶっ通しで続く」番組を始めたかったのです。

 『サウンドストリート』は月-金の帯番組でしたが、佐野さんは担当する月曜日の番組を『元春レディオ・ショー』と呼んで、自作のジングルを何種類も流し、番組に独特の世界観を醸し出していました。「悲しきRADIO」を聴くと、あの番組を聴いていた頃を思い出します。そして、もっと音楽が聴きたくなります。ずっと聴き続けていたくなります。幾つになっても。

♪ガラスのジェネレーション/佐野元春

 この曲と初めて出会ったのは高校の文化祭(1981年9月)、場所は視聴覚教室でした。先輩のクラスが作った8ミリフィルム映画の上映会で、主題歌として採られていたのが「ガラスのジェネレーション」でした。

つまらない大人にはなりたくない

 曲の最後にこのフレーズがシャウトされるのを初めて聴いた時、脳天を稲妻が突き抜けていきました。暗い上映会場から廊下に出た時には映画の筋はほとんど覚えておらず、このフレーズだけが頭の中で響いてました。

 "Don't Trust Over 30"(30歳以上の大人を信じるな)というロックンロールの教えを端的に表現し、若者が抗い続けることの正当さを保証し、応援してくれる歌詞でした(そんな風に言語化できるようになったのは「大人」になってから、でしたが)。と同時に、歌ってるのは誰かが気になります。

 当時は音楽検索アプリなんてありませんから、友達に聞いて回る訳です。「つまらない大人にはなりたくない!って歌ってる曲、知ってる?」「ナニナニその曲、めっちゃ気になる。誰の歌?」「分からんから聞いてるんやん」。そしてほどなく「サノモトハル」という名前が広がり始めました。

 あれからちょうど40年。はたして自分は「つまらない大人」にならずに済んだのでしょうか。冒頭で紹介したポッドキャストではこの曲にまつわるエピソードを一つ紹介しています。ぜひ一度、聴いてみて下さい。

♪DOWN TOWN BOY/佐野元春

 大ヒットアルバム『SOMEDAY』(1982年)収録曲。

 イントロのサクソフォンがどこか物寂しげです。でも、それは裏びれた『下町』の寂しさ、悲しさとは違うのです。ここで言う『ダウンタウン』とは英語の『downtown』本来の意味で、おそらくは「町の中心地、繁華街」のことでしょう。にぎやかなネオンに照らされた街に、夜ごと繰り出す少年少女たちがふと垣間見せる物憂げな表情。そういった雰囲気を冒頭のサクソフォンは物語ってるんだと思うのです。そこが好きです。

"すべてをスタートラインに戻してギアを入れ直してる君 (中略)
たった一つだけ残された最後のチャンスにかけている"

 佐野さんは、こう歌います。「つまらない大人になんかなるものか」と粋がってみたものの、現実はそう甘くはなかった。でも、まだこれからだ――と。セールス的には不調だった前作から1年が経って放たれた快作の中で、佐野元春は大人の世界に媚びることなく、若者の代弁者としてファイティングポーズを取り続けてくれた訳です。そこが好きです。

 それから後、40年ほど、ずっと佐野さんのファンを続けています。ずっと聞き続けています。それは佐野さんが依然として世の不条理に対してファイティングポーズを解かないからだと、私は思っています。Young Forever! 

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📓「DOWN TOWN BOY」については以前にも書かせてもらいました。

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📓次のイベントをYouTubeライブで見て、ポッドキャストやってみようかなと思ったんですよね。自分でやってみたくなるので、ぜひ見てください。

 こういう風にクリエーターの背中を押す企画をちゃんとやってくれるのがnoteの良いところだと思います。このnote記事は今年のテーマ #創作でつくる私の未来 に寄せて書いてみました。今年もnoteフェス頑張ってほしいなと思うし、楽しみにしています。🍌

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