弦楽器購入前に知っておくべき前知識 ①お店選び編

はじめて弦楽器を購入しようと思う場合、どこでどんな楽器を買えばいいのか訳が分からない人も多いだろう。

ここでは実際のおすすめのお店を紹介する前に、購入店や購入経路、タイミングを考える上で大切な知識を紹介します。


1.弦楽器の入手手段って?

 弦楽器の入手を考える場合、普通はお店での購入を考える人が多いでしょう。結論から言うと、はじめての購入ならお店での購入が一番安全です。お店の場合、基本的に楽器には職人のチェックが入っているため、致命的な故障や経変劣化して交換が必要な部品等は修理され使用できる状態になっていることが多いからです。

 ただし、お店での購入は価格面では割高になるため、品質は二の次でいいからできるだけ安く手に入れたいという方には以下の方法があります。

・ヤフオクやメルカリといった国内フリマアプリ

・ebay等海外フリマアプリで落札する

・海外から個人で輸入する

・先生やアマチュア愛好家等と個人売買する

 どれも当たりを引けばお店での購入より格段に安く手に入りまずが、特にフリマアプリはとんでもない欠陥品やがらくた、贋作をつかまされる可能性も高いため初心者にはあまりお勧めできません。

 それと、もう一つ、質の良い楽器を割安に購入する方法があるのですが、、、それはあまり大きな声で公表できない「裏技」になるため、別途有料記事に記します。

ヤフオクやメルカリの上手な使い方については別途記事に挙げる予定です。


2.お店で買うならどんなお店がいいの?

弦楽器を扱うお店は主に

①全国チェーン店

②個人工房

の二つに分けられます。

 

・全国チェーン店の特徴

全国チェーン店は島村楽器、クロサワバイオリン(クロサワ楽器)、ヤマハ、山野楽器等々が有名ですね。こうしたチェーン店は日本各地に店舗展開しており在庫が豊富である強みがあります。在庫はお店同士で移動できるため、例えば「30万代でドイツ製のチェロが欲しい」等の要望を伝えておけば最寄りのテンポに無くても他店からかき集めて用意してくれるというメリットがあります。
 また、楽器教室と併設していることが多く、弦楽器を売っている店舗なら大抵、お店で先生を紹介してもらえてレッスンも受けられます(ヴィオラ、コントラバスは先生がいない店舗も多いですが)。何も分からない状態で弦楽器を始めるという場合、レッスンも受けられ楽器も購入できるこういった大手チェーンは便利だと思います。

 デメリットとしては、値段が割高なこと、楽器職人の配置換え(異動)が多いことが挙げられます。


 全国チェーンは価格設定が個人工房用より高めです。これはあくまで主観ですが、個人工房の1~2割高いです。個人工房よりスタッフ数が圧倒的に多いため、どうしても人件費がかかってしまうのが一因にあるでしょう。

 また、職人の人事異動が数年に一回ある印象です。以前の、横浜のクロサワ楽器に腕の良いイタリア人の職人がいて毛替え等をよく頼んでいたのですが、2~3年でいなくなってしまいました。これは異動なのか退職なのかはわかりませんが、職人の異動はよく聞く話で、特に腕の良い職人は都内の本店にスカウトされ地方のお店からいなくなってしまう印象が強いです。

 せっかくお気に入りの職人さんを見つけても異動でいなくなってしまうはデメリットですね。

・個人工房の特徴

 個人工房は楽器職人を含む1~4,5人程度のスタッフで営まれているお店で楽弓の販売と調整、修理等を行っています。なお、全国展開ではないもののスタッフも在庫も多い大規模なお店もあります。

 個人工房は、オーナー(職人がオーナーのお店も多い)の趣向が反映されやすく、古い楽器に強い、弓の品揃えが多い、オーナー自作の楽器が購入できる等様々な個性があります。また人件費を抑えられるため大手チェーンより安価に購入できるお店も多いです。
 欠点としては、お店の強みとあなたのニーズが合わずミスマッチを起こす可能性があることです。初心者で20万以下で楽器を買いたい方が1000万超えのオールドイタリーばかり揃えるお店に行ってしまったり、現代の楽器が欲しいのにバロック・ピリオド楽器メインのお店に行っても欲しいものは手に入りませんし恐らく気まずい思いをするだけでしょう。
 また相手が初心者だと分かると露骨に足元見てぼったくるお店、オーナーが威圧的で雰囲気で断るに断れないお店等もあるようです。
 このように個人工房は個性的なゆえにあなたの需要とと明らかに噛み合わない可能性もありますが、ミスマッチが起きそうかどうかは、ホームページを見ただけでは分からないことも多く、メールで問い合わせたり実際に足を伸ばしてお店を訪れないと確かめられないこともよくあります。なかなか初見殺しですよね…

 こうしたミスマッチの予防に役立つ記事を後日あげる予定ですので少々お待ちください。


 そして本題の、どのような店で買うのがいいかですが、正直一様にどっちが良いとは断言できないです。 

 良いお店を私なりに定義すると、質が良いものを、良心的な値段で売っていて、腕の良い職人がいて、アマチュアの質問疑問にも誠実に答えてくれるお店、となります。この定義に照らし合わせると、全国チェーン店であっても個人工房であっても該当するお店としないお店が生じます。

 また、楽器の(実際の)価格設定や店員の対応はお店を訪れないとわからない部分も多く、腕の良しあしについては自分の楽器を調整に出さないと評価できない部分もあります。

 そのため、まずは先生や音楽仲間等で信頼できる人の口コミを参考にするのが無難だとは思います。実際に店舗に行く時もそうした人に同伴してもらえるといいですね。またはそうした人が毛替えや楽器点検でお店を訪れるときに同伴させてもらって雰囲気を知るもの良いと思います。

 またそうした相手がいない方のために、東京&神奈川のおすすめ楽器店ガイド記事を後日あげる予定です。


3.値段設定のからくり

 楽器の値段設定はどのように決まっているかについては謎が多い印象がありますね。

 スズキなど型番が決まった商品の場合、メーカーの小売価格が提示されておりそこから販売価格を決めるため新作なら店舗ごとの価格差はそれほどない印象があります。

 一方、古めの楽器や量産ではなく職人が徹頭徹尾作る「マイスターメイド」などの値段設定は楽器のクオリティ、状態、作者の評価、古いものなら鑑定書の有無や鑑定書の記載内容によって変わります。

また価格提示について絶対に覚えてもらいたいことがります。それは

ここから先は

2,620字

¥ 300

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?