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【レビュー】Treat - The Endgame【大名盤】2022年リリース

北欧メロハーの雄Treatの、通算9枚目となる『The Endgame』が名盤すぎます。復活後では過去最高傑作レベル。


そもそも後追い世代の自分がTreatを知ったのは高校生の頃。地元の図書館で大名盤4th『Organized Crime』に出会い、たやすくファンに。

知ったときにはバンドは活動停止していましたが、その後めでたく復活し感涙。7th『Ghost of Graceland』リリース時の来日ツアー渋谷クラブクアトロ公演へ行ったくらいには好きです。

ちなみにそのとき買ったTシャツを着てる写真をあげたら、本家からリプライまでいただき二度目の感涙をしました。


というわけで本題のレビューへ。

曲の基本路線は、復活作である6th『Coup de Grace』から変わらず。ハードロックの骨太さとメロハー由来の甘さを土台に、サビで北欧特有の美メロをキメてくる、まさにTreat節炸裂。

サウンドプロダクションは、個人的に過去一好み。8th『Tunguska』はちょっとハードに寄りすぎた印象でしたが、今作のバランス感は最高です。ボーカルがガッツリ前面に出つつ、楽器隊はヘヴィかつクリア。それでいて聴き疲れしない。7thと8thの良いとこどりをした形ですね。

楽曲クオリティは今さら言うまでもなく最高なんですが、その上で何より一番ビビったのが、ギターソロのセルフオマージュ。

今作1曲目"Freudian Slip"のギターソロ2:49~のタッピングフレーズが、Conspiracy(4th収録)の3:18~と同じ。これは手癖ではなく明らかに意図的に寄せている気がします。もしかすると他にも仕掛けがあるのでは…。


ちなみに曲名が印象的なのもTreatの良さ。
先の"Freudian Slip"以外にも"Sinbiosis"など、あまり他のバンドでは見かけない字面が多いです。復活後の曲名は想像をかきたてられるものばかり。

メンバーラインアップはほぼ変わっていないので(Mats Levén期を除き、1990年頃からベース以外不動)、曲名に対する方針転換があったのかもしれません。

にしても、サウンド全体からにじみ出る円熟味、説得力は圧倒的ですね。枯れるどころかむしろ名曲を生み出し続ける姿勢に、ただただ感動の作品です。


最後に各曲コメントをつけてご紹介。太字がオススメです。

01. Freudian Slip
肉厚なギターリフと分厚いコーラスが最高。コーラスをこれだけ壁で出しても全く埋もれないRobert Ernlundのボーカルにも感服。

02. Rabbit Hole
ベースラインが秀逸。このビートでこの躍動感出すのは、むちゃくちゃ難しいです。

03. Sinbiosis
サビ、ほとばしる北欧感に胸が熱くなります。別にここでキラキラキーボードが鳴っているわけではないのに、なぜこんな雰囲気が出せるんでしょうか。

04. Home Of The Brave
1:12の一瞬差し込まれるハモりギターなど、一切手抜きのないアレンジに心躍ります。

05. Both Ends Burning
1:55~の4つ打ち(ハイハット裏打ち)ビートで分かるように、ドラミングのバリエーションが光る曲。さすが名手Jamie Borger、TalismanはもちろんBaltimooreのDouble Densityも押さえておきたい名盤ですね。

06. My Parade
なんというかカントリーポップ的な雰囲気を感じるトラック。2:13~の歌も交えたユニゾンパートはビートルズからの影響でしょうか。

あとギターのAnders "Gary" Wikströmは、曲中で出てきたメロディーをギターでなぞるソロ作りが本当に巧い。さすがです。


07. Wake Me When It’s Over
0:29~左右に分かれるギターアプローチ、芸が細かすぎる。左側でリフ、右側がクリーントーン。メロディ回収型のギターソロが最高すぎる。言わずもがなハーモニーのツインリードも神の領域です。圧巻。

08. Jesus From Hollywood
2曲目"Rabbit Hole"と同じくベースビートの躍動感が特徴的な1曲。

09. Magic
1回目のサビ0:59~で、歪んだギターを入れてこないのは流石ですね。前後の曲がわりとアグレッシブだからでしょうか? 曲順への配慮が見えて、俯瞰的なアレンジ視野に感動します。

10. Carolina Reaper
あえてメロディの高低差を抑えたサビが印象的。

11. Dark To Light
重ためのビートで、プログメタルバンドがやりそうな質感。


12. To The End Of Love
アルバムの締めに相応しい、あまりにもドラマチックすぎるメロディに涙。曲構成がちょっと変わっていて、長めの間奏を経て3:37からスーっとサビに戻るの、そう簡単にできる手法ではないと思います。

アウトロが少々長いですが、1曲目がすぐ始まるので、アルバムをリピートしたときにもはやここがオープニングSEとしても機能する設計なのかなと。




というわけで、最後まで読んでいただきありがとうございました!

本当に良いアルバムなのでぜひチェックしてみてください🤘

▼アルバムの各種配信・販売サイト


▼Spotifyでメロハープレイリストを作っています
とにかく綺麗なメロディに特化した曲ばかりを集めているので、良ければチェックしてみてください!

メロディアスハードロックは、サブスクにあるか探すのが手間だったりするので、そういう意味でもご利用いただければなと。もちろん今回のTreatのような、最新リリースからも選出しています。


▼メロハー大好きな人間がメタルコアバンド始めた結果



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