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DTM日和 2023年11月配信号 What’s a グルーヴ?

DTMでの作曲をみなさん様々なアプローチで楽しんでいらっしゃるかと思います。中でもリズム隊は作る人によっても、聞く人によっても使う機材によっても天気によっても?大きくノリが違ってくるものかと思います。私はDTMの時は機械的なリズムが好きなので、なるべく人間らしい部分に踏み込まないでグルーヴを出そうとしていますが、だからといって人間が刻むグルーヴが嫌いなわけではなくむしろ好きです。今回はそんな天邪鬼なグルーヴのお話をお送りします。

リズム?ノリ?

私の奥さんは音楽家でグルーヴを生み出す楽器の演奏家です。私も少しだけ習ったことがありますが、グルーヴを大切にする姿勢に驚いたものです。私自身もソウルだとかダンスミュージックなどが幼少の頃から好きで、身も心も踊らせるベースラインなどを聞くと自然とはしゃぎ回っていました。幼い子供をも踊らせてしまうのがグルーヴなんですね。さて、グルーヴで厄介なのは音符に表されるわけではない事が多く、人によって音楽によっても何がグルーヴか分からないところです。

DTMerとグルーヴ

奥さんたちのようなプロミュージシャンはその場、そのバンド、その曲でグルーヴ感をすぐに共有し客前に届ける事ができます。が、これをDTMでやろうと思うとどうなるのでしょう。
一つは、DTMで生演奏を完コピするイメージで生演奏っぽく聞こえる曲を作るアプローチがあるかと思います。この場合は自分で手弾きしてデータを入力したりソフトで揺れを作るような機能を用いたり、データを編集したりという方法でグルーヴを作っていく感じになろうかとおもます。もう一つは、機械的なリズム自体を一つのグルーヴととらえるアプローチがあろうかと思います。そして、おそらくその両方をブレンドするような形で曲作りをされる方も多いのではないでしょうか。

私はというと完全に2番目のパターンで、最初から機械的なリズムが好きでDTMに手を出してまったわけです。よく周りの人には「打込みって音符を入力してしまえばあとはコピペとか何かクリックしてゆけばできるんでしょ?」などと言われますが、実は中々そうでもないところがあります。
機械的なリズムが好きなわけですから変に人間的では成り立ちません。DTMを初めて当初はとにかく譜面どおり抑揚も最小限に抑えフィルも機械的に、という意識で曲を作ってきました。

ただこれは分かっていただける人もいるかと思うのですが、テクノやエレクトロニカなどプロが作った曲を聞けば聴くほど、グルーヴの良さを身をもって感じるようになります。 一定のリズムを一定にシーケンスしているのに、なぜか心躍る。音の一粒一粒に意思があるかのように、かと言って人間的な部分からはきちんと距離を取っている。いつも感動させられるとともに、自分の技量のなさを思い知らされるひと時でもあります。

のっぺりグルーヴ

文字通りのっぺりとした単なる自動演奏をグルーヴ感のある打込みに帰るにはそれ一体どうしたらよいのでしょう。
難しいのは意図したのっぺり感は「のっぺり感」を出そうとしているのですから問題ないわけです。まずはグルーヴを出したいのに出せないのか、意図したのっぺり感なのかは、まず自分の中でも見極めなければと思っています。

そこから先のグルーヴ感の出し方についてあくまで自分なりにという事なので列挙すべきものでもないのですが話のネタにDTM制作上感じているグルーヴ感を感じる場面を書いてみました。生成AIチックですが私の記載ですよ!

・世の中の機械的な中にもちょっと外れた部分があり、それも意図した外れ方にしたりすると人間味がありそうでない、という思惑に少しだけ寄せられる。
・音の重ね方や、強弱の付け方、音色の変化のさせ方でもグルーヴ感を感じる。
・曲の構成で、どの部分でどの楽器が入ってくるなどでもグルーヴ感があるような感じがする。

ある意味当たり前だろって話しなのかもしれません。ただ、機械的グルーヴにこだわりを持って考えれば多少の理屈も出てくるものです。

理屈っぽくいうと

例えば、ある波の周期でリズムを打っていたとして、そこに違う周期や振幅の波が加わってくると、人工的で有りながら微妙にブレンドされたリズムができてきます。その大きさに変化があれば、あるいはランダムに変化が加わるとさらに微妙なグルーヴを生み出したりします。これはシンセの音作りでも行う事ですが、リズム作りでも応用できることかと思います。おそらく、グルーヴを構成するノリに必要なズレや意図は人間的にコントロールするか、人工的にコントロールするかでだいぶ聞いている側の印象が違ってくるのでしょうね。


 さて、とはいえ言うは易く行うは難しです。なかなか上手くは行きません。最初にも書きましたが私も生演奏のグルーヴは大好きです。そして機械的なグルーヴも同じように大好きです。技量が賄えれば将来的には程よく調和したものも作ってみたいですね。