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2022年 カタールワールドカップ グループH 第2節 ポルトガルvsウルグアイ マッチレビュー~保持で別れた明暗~

ポルトガル2-0ウルグアイ

得点者(POL)
54' 8ブルーノ フェルナンデス
90+3' 8ブルーノ フェルナンデス

得点者(URU)
なし

両チームのフォーメーション

前書き

 皆さんこんにちは川崎人です。今回はWindtoshさんが企画している「ワールドカップ・アーカイブ化計画」に参加させて頂くことになりました。

 ワールドカップアーカイブ化計画とはなんぞや?という方は、こちらのnoteを参照ください

 私、川崎人は、抽選の結果「ウルグアイvsポルトガル」の担当となりました。そのため、これからウルグアイvsポルトガル試合を分析したマッチレビューを書いていきます。

 ウルグアイとポルトガルのワールドカップでの試合は下記の項目にまとめてあります。そちらの記事を読んで頂けると本レビューも楽しめると思います。

過去の記事

グループH 第1節 ウルグアイvs韓国

グループH 第1節 ポルトガルvsガーナ

単調なウルグアイの保持

 ということでここからがレビュー。1か月前の試合を振り替えるのは違和感であるが、思い出しながらつらつら書いていこうと思う。

 この試合のポルトガルは4-3-3の布陣。前回のガーナ戦は中盤が菱形の4-4-2っぽく見えたが、あれもベースは4-3-3だったのかもしれない。ポルトガルの選手はそのくらい動きながら立ち位置を変える。

 一方で明確に形を変えて臨んだのはウルグアイの方。韓国戦では4-3-3の布陣だったが、この試合は3-5-2の形。右のワイドだったペリストリでは無く、コアテスをスタメンで起用した。

 そのためポルトガルのボール保持に対し、ウルグアイの配置が噛み合う形になる。アンカーのネヴェスに対してはベンタンクールが監視。バルベルデはカルバーリョ、ベシーノはベルナルドを見ることで中盤はマンツーマンの構図が出来上がった。

 序盤から前での牽制の色が強めだったウルグアイ。ポルトガルのCBがボールを持った際はそこまで強く行かないが、そこから先は進ませないという感じである。

 それに対しポルトガルはネヴェスがCB間に入ることでズレを作ろうとする。それだけで、ベンタンクールからの解放は出来ていた。

 しかし、それだけではズレは作れない。降りてきたネヴェスがシンプルにサイドにカンセロにボールを付けるが、ここをオリベラに狙われる。そこからのショートカウンターでこの日最初のシュートが生まれている。

 ここからは正直どっちつかずの展開。ウルグアイもハメることが出来そうな場面もあったが、その後のトランジション勝負で勝てないことが多め。一方でポルトガルはシンプルにCBが長いボールを選択して押し込んでいく形を作っていった。

 もちろんポルトガルはブルーノやベルナルドがフリーマンとして振る舞っていたし、ポジションチェンジを多用しながらビルドアップの手助けを行っていた。だが、それが効果的だったかと言われれば微妙だったというのが前半の入り方である。

 それよりも気になったのはウルグアイの保持だろう。ウルグアイの保持は、GKをビルドアップに関与させつつ、DFの選手2枚が近い位置でプレーをする。そこから、2トップのカバーニとヌニェスにボールを当てて、中盤がセカンドボールを回収しながら前進をしたいという形に見えた。

 ただ、そこでセカンドを拾えないことが多め。上記で書いたようにGKからのビルドアップを試みているが、これが後ろに重たくなっている原因となった。そのため2トップにボールを当てても、セカンドボールを拾えないケースが多かった。

 そこから慌てて出てくるもトランジション勝負でポルトガルに上回れてしまう。その結果、縦に間延びをしてしまい、ライン間に膨大なスペースを作っていた。そこにブルーノが入って来たり、ロナウドが降りてくるためポルトガルの前進を促してしまう流れになっていた。

 逆にウルグアイの良かった場面で言えば上記で書いたようなショートカウンターが一つ。もう一つはヌニェスによるサイド流れだ。ここでカンセロを剥がして前進している時はエリア付近までボールを進めることが出来ていた。ただ、前半はそこでしか良さが見えなかった。

密集とやり直しでの揺さぶり

 両チーム共に描いているイメージ通りに進んでいない感あるが、試合の流れはポルトガルに傾いている的な感じの試合。

 それでも前半の半ば~後半にかけては、両チーム共に理想的な攻め方が出来ていったように見えた。特に顕著だったのはポルトガルの方であろう。

 ある程度時間が経つとCBからの楔がライン間に入るようになっていった。そうなった理由としては、ウルグアイの2トップがボールホルダーへの牽制を行っていなかったからだろう。そのため、落ちてくるネヴェス等から楔が入ることが多かったと推測出来る。

 ここで楔を受けるのは、絞って来るブルーノや落ちてくるロナウドである。彼らにボールを預けつつ、そこからサイドに叩くようなシーンが増えて行った。

 ここでポイントなのは、ポルトガルの選手が中央に密集しつつあること。近い距離でプレーしているため、相手の迎撃が来る前に味方へとボールを託すことが出来ていた。

 そこから左SBのヌーノ・メンデスが積極的に攻撃参加に出る。フェリックスが絞る分、大外のレーン担当になったメンデスが左サイドを駆け上がりクロスを入れるが、ここからゴールが生まれなかった。

 それでもフリーマンを活かしつつ、広い方にサイドチェンジを繰り出せるようになってからはポルトガルの攻撃がスムーズに行われていた。

 例えば、SBが高い位置を取ることでウルグアイのWB押し下げることで生まれたスペースに、IHの選手が降りてくる。これをすることで、ウルグアイのスリーセンターのスライドが間に合わない形が多かった。

 同サイドに人数をかけて崩そうとする。ダメならバックパスでやり直すことで、ウルグアイの守備が同サイドに偏っているので、広い方から押し込み返す。このサイクルで攻撃の時間を増やせていたのは、ポルトガルの理想だったように感じる。

 しかし、40分にメンデスが負傷。この試合上下動を繰り返しながら効いていただけに残念である。代わりにゲレイロが投入される。

 対するウルグアイも長いボールを前線に当てる形を続ける。これが実ったのは32分のベンタンクールの決定機だろう。トランジション勝負に勝ち、セカンドボールを拾ったベンタンクールがボールがそのまま独走してシュートを打つが、GKに阻まれている。

 36分にもベンタンクールがセカンドボールを回収して持ち運んだところから左サイドのオリベラに預けてチャンスを作っていた。

 それでも両チーム前半はゴールを奪うことが出来ず。0ー0で折り返した。 

前半からの継続とシステムチェンジ

 後半に入り、ウルグアイの2トップがポルトガルのCBに対してプレスに出るようになる。ここはまず前から行こうという意思の現れに見えた。

 ただ、ポルトガルのGKコスタを経由されると追いきれないシーンが目立つ。コスタが持つとポルトガルのCBが横に大きく開くため、中を閉めながら出て行くウルグアイにとっては、かなり難しい対応に見えた。

 そこからポルトガルのペースで進む。52分には降りてきたロナウドのポストプレーから疑似カウンター。ボールを引き取ったベルナルドからフェリックスがシュートを打つがサイドネットに阻まれた。

 それでも迎えた54分。CBを経由して左サイドに持って行くと、ビルドアップのサポートを行ったベルナルドがボールを運んでゲレイロに付けると、ゲレイロからの斜めのパスを受けたブルーノがキープからクロス。これがゴールに吸い込まれてポルトガルが先制に成功する。

 一点を失ったウルグアイも2トップがここに来てチャンスを作る。58分にはバレラがインターセプトからクロスを入れると、ニアサイドでフリーになっていたカバーニが右足を振るがボールに当たらない。

 その2分後には再びサイドを奪いどころにし、ボールを受けたヌニェスが強引か突破からシュートを打つも力無いままGKにキャッチされる。

 62分になるとウルグアイは二枚替え。CBのゴディンと中盤のベシーノを下げて、デ・アラスカエタとペリストリを投入。3-5-2から4-2-2-2のシステムに移行する。

 これにより攻撃の形が出来上がりつつあったウルグアイ。右のペリストリがサイドに開きつつ、デ・アラスカエタが中央に絞ってプレー。2トップの一角とデ・アラスカエタでアンカー脇で受ける回数が増えた。こりにより、保持の際に全体が後ろに重たかった課題を前線の枚数を増やすことで解決した。

 更に攻勢を強めたいウルグアイは2トップを交代。スアレスとゴメスを投入。そのわずか1分後にビッグチャンスが訪れる。ヒメネスの楔をアンカー脇でデ・アラスカエタから右サイドでボールを回すと、バルベルデの縦パスを受けたペリストリがワンタッチで繋ぎ、最後はゴメスがシュートを放つがポストに跳ね返される。

 更に79分には、カウンターからチャンスを作るが右サイドに流れでDFラインの背後を取ったデ・アラスカエタのシュートはミートせず。決定機を不意にしてしまう。

 するとポルトガルも修正に出る。一気の3枚替えを行い、中盤の底をパリーニャとヌネスにした4ー4ー2に変更する。これによって、マンツーマン気味に対処されたウルグアイ。SBのオーバーラップもポルトガルのSHによるプレスバックで蓋をされてしまった。

 迎えた90分。ポルトガルが陣地回復からひっくり返すと、ベルナルドのパスを受けたブルーノがエリア内でヒメネスを股抜きで交わすと、倒れたときの支え手がボールに触れた。VARがOFRを提案し、その結果判定はPKとなった。これをブルーノが決めて2ー0。試合はポルトガルが勝利を収めた。

雑感

 これに勝利したポルトガルが2連勝で決勝トーナメント進出を決めた。対するウルグアイは2試合で無得点のまま、韓国、ガーナと最後の一枠を争うこととなる。

 試合を振り替えってみても前半のウルグアイの保持はかなり勿体無かった。韓国戦は割りとボールを動かせていただけに淡白な攻撃でなかなかチャンスを作れないまま前半を終えてしまったのは、結果に響いたように感じる。後半4ー2ー2ー2に変えてからの振る舞いを見たら、尚更悔やまれる。

 対するポルトガルも素早く前線にボールを送り込みつつ、時間が経つごとにウルグアイのマンツーマンを掻い潜る策を見つけていたのは大きかったように感じる。

 保持に置いての明暗がハッキリ別れた試合となったという感想を最後に閉めさせていただく。

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今回はおやすみです!


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