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応援を、してはいけない

応援をしてはいけない。





否。





名前を呼んで
応援をしてはいけない。
















35年前。




幼稚園の運動会。




年長組のヘン少年は
リレーのアンカーを走る。





ビリでバトンを受け取り
走りだす。





追い抜く。





走る。





また追い抜く。





ビリから一番に。





大盛りあがりの会場。












 ヘン少年はヒーローになった。














「ヘン〜!!!(がんばれ〜の意)」
と叫ぶ私の両親。





そこで…





何をおもったか








レースの途中で

急ブレーキをかけ

方向転換








「え、な〜に〜?」





と両親のもとへ。








…。








焦る両親。





手をブンブン振り

「いいから走りなさい」
と叫ぶ。











ビリにはじまり
1番になるものの
ビリに終わる。





人生のように。





弱く産まれ
光り輝くときを過ごし
人の誘惑にはまり
追い抜かれていく。










10数秒の間に



人生を
演じて
魅せたのだ。







アカデミー賞を狙える器を
もっていたのだ。





なのに





それなのに





芸術的表現を
理解してくれる大人など
いるはずもなく




主役の座を降ろされ




生涯にわたる
我が家の
アホデミー賞を
授与されたのである。





元ボクシング世界チャンピオンで映画俳優でもあるガッツ石松さんは

〝アクション〜📢🎬(演技スタート)〟
の掛け声で

いきなりダッシュ
してみせたのだ。





〝負けてはいけない〟
とおもったとのこと。





ほら、

やはり天才は
一味違うのさ。








嘘だ…

私はただのトンチンカン








ガッツ石松さんを引き合いに出すなど

畏れ多いことを
してしまいました。





ごめんなさい。





ガッツ石松さんは
ホンモノの天才です。













冒頭にもどります。



「応援するとき、名前呼んじゃダメだぞ!戻ってきちゃうからな〜、ハハハハハッ!!」



これは孫の
つまり私の子の
運動会のたびに
父が語る

アドバイスという
ていをなす




嫌味。




もし私のエッセーをサポートしてあげようかなぁとおもわれる方がいらっしゃいましたら、ぜひ120円お願いいたします。近所の自販機にある大容量コーラを子どもに買ってあげたいとおもいます