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「今度は僕が手を差し伸べたい」。そう言える自分をつくった先輩たちの伴走

「助けて」が言えずにうまくいかないこと、ままあります。ソフトウェアエンジニアの薄田さんも社会人1年目で、プライドが邪魔をして仕事を抱え込んだ苦い経験がありました。

だから、ビットキーで未経験のアプリ開発を任された時にまず意識したのは、周りに助けを求めること。実際、先輩たちの伴走で、大きなプロジェクトをやり遂げることができました。

「あの時、たくさん成長させてもらえたし、成功体験を得られて今がある」と薄田さん。「受援」がもたらしたものを語ってもらいました。

薄田 晋

新潟県出身。青山学院大⼯学部では電気電⼦⼯学を専攻。新卒で地元の大手計器メーカーに就職し、自動車のメーターのハードウェア・ソフトウェア開発などに従事。その後、東京の大手オフィス家具メーカーの営業を経て、ビットキー入社。当時まだ構想段階だったworkhubアプリの開発者に任命され、スマホアプリ開発未経験ながら周囲の力を借り、ロッカーの解錠機能など、アプリの機能開発を担当。約半年でリリースを実現した。
現在、workhubアプリチームのスクラムマスター。

「任された仕事は全部僕がやる!」で得た苦い教訓

薄田さんは、もともとUターン希望。最初の就職では地元・新潟の大手企業に入ります。

薄田:新潟出身の僕は、大学進学をきっかけに上京しました。アメリカへの短期留学も経験し、場所の違いで文化が変わると肌で感じていました。
当時、ドラマ『下町ロケット』が流行っていたことも影響して、せっかく地元に技術力のある会社があるなら、まずは住み慣れた場所で働いてみようと思ったんです。地元企業とはいえ海外や東京に事業所がある会社だし、いろんなキャリアパスもありうるな、と。

入社後、車のコックピットを開発する部署に配属。1人でメーターのシステム開発を命じられ、抱え込んでしまったことで納期が遅れてしまうことがありました。

薄田:周りに聞きにくい雰囲気ではなかったのに、自分のプライドが邪魔をしたんだと思います。任された仕事は全部僕がやるんだ!って。

でも、「自分で終わらせる」じゃなくて「お客様に届ける」なんですよね。当たり前ですけど。「届ける」ことの大切さに気づけなかったのが社会人1年目の僕でした。

2年目に任されたのは、技術を売るのではなく、自社の技術を他社にレクチャーして作れるようになってもらう、というミッション。ここでもまた、気付きがありました。

薄田:今度は自分が開発するのではなく、他社に自社の技術を伝えて、開発してもらう業務でした。

僕の前提と相手の前提が違うなかでどうすれば伝わるか。理解してもらって、その人自身がアウトプットしてくれて、初めて僕の成果になる。3段階ぐらいある壁を1つずつ超えるのが難しかった。でも、人のために何かをして喜んでもらうことが自分自身の喜びのツボなんだっていう気付きはこのときに得られたんです。

そんなふうにやりがいを感じつつも、3年目に転職を決めました。

次に薄田さんが選んだのは、前職とはまるで違うオフィス家具メーカーの営業職。ここで、自分の苦手分野とともに、次のやりたいことが見つかったと言います。

薄田:人とのコミュニケーションが重要な仕事が何かを考えたときに、一番に浮かんだのが「営業」でした。
そのなかでも、僕自身、内装やインテリアなどの空間づくりに関心があったことから、オフィス家具の営業職を選びました。でもこの仕事を通じて、単調な繰り返し作業が苦手だと気付いたんです。

当時の営業担当は辞書くらいに分厚い家具のカタログを見ながら、手作業で平面図の上に椅子の型番と数量をマーカーで引っ張って、見積もりを出していました。

型番や個数を間違えるミスをしてしまうのをなんとかしたいと、ITに詳しい友人に悩みを打ち明けたら、「自動化すればいいじゃん」ってあっさり言われました。ITの力だと仕事のやり方も変えられる……。可能性を感じたタイミングでした。

「自分の価値を高めないと」。 飛び込んだビットキー

2回目の転職活動へ。自分の可能性を試すためにビットキーの扉を叩きます。

薄田:大手企業からスタートアップに移る不安はなかったのかと聞かれることもありますが、なかったですね。なぜ、いまスマートロックを開発しているのか。妥当性と戦略を感じつつ、その先にさらに拡張していく、まだまだ未完成な未来も見えた。

自分が役立てる可能性を秘めた場所に飛び込んで、自分自身を試したかったんです。
前職を1年で転職することになったので、人に誇れる状況でもなく、自分の価値を高めていかないと、この先の自分のキャリアはないぞという危機感もありました。だから、自分の実力が通じるかという不安はありましたが、ビットキーに飛び込む決意ができました。

振り返れば学生時代も悔しさをバネに、努力が必要な環境に自ら身を置くタイプだった薄田さん。

薄田:中学校のサッカー部ではエースだったものの、進学先の高校は強豪校で、僕らの代では全国ベスト8でした。フォワードなのに誰よりも点が取れず、スタメンになれなかった。
この悔しさから、寝る前に何キロか走るなど、とにかく練習に時間を注ぎましたね。最終的にはベンチ入りが叶いました。

大学時代もTOEICを受けたら250点を下回ってしまったことが。990点満点で4択なので、確率の壁以下だったんですよ……(苦笑)。
最速で英語力を上げるために、英語を喋らざるをえない場所に身を置こうと1カ月留学したこともありました。

未経験の仕事で意識した「助けを借りる」

スマホアプリ開発未経験ながらに「workhub」アプリ開発を担当。プレッシャーを抱えつつも、1社目での学びを生かして「届ける」ために奔走します。

薄田:ミッションを任されたとき、あらゆることがわからない状況でした。

workhubアプリは座席や会議室の予約、予約した場所に入室するためのオフィスのカギの開け閉めなど、働く場所で使うあらゆる機能が搭載されているスマホアプリです。そのなかでも当時の僕が任されたのはロッカーをデジタル上の鍵を使って解錠するというミッション。
スマホアプリの開発で、ガリガリコードを書くような経験をしたことがありませんでしたし、カギを開けるためにはBluetooth(*1)通信の知識や、安全性のための暗号化技術も必要でした。

1社目での経験から、Bluetoothの電波を電子回路側がどのように受け取るのか、といった知見はなんとなくありました。しかし、細かい技術を一つひとつ理解して紐解いていかないと、お客様に届けることができない。とても難しい作業でしたね。でも、今までの教訓を活かし、早い段階から周りの助けを借りることを意識しました。特に2人の先輩の存在が大きかったんです。

1人目は、同じチームにいた技術トップの白木さん。彼に作れないものはありません。優しく要点を説明してくれる方です。白木さんには勉強会を開催してもらい、それを動画に撮って、帰り道や自宅で何度も見ながらキャッチアップしました。

2人目は当時このアプリ開発チームだったマネージャーのNさん。すでに卒業されましたが、Nさんは技術で引っ張るというより、伴走してくれる方でした。常に相談に乗ってくれて、どうすればゴールできるか一緒に悩みながら、走ってくれた。
メンバーそれぞれが課せられたミッションのもとに作業をしているなか、「自分はちゃんとできているのだろうか」と不安になる時もあったけれど、Nさんはちゃんと見てくれていて「君がやっていることはすごいんだから、自信を持って」と言ってくれました。それがとてもうれしかったんです。

*1 「Bluetooth」は、Bluetooth SIG,Inc.USAの商標または登録商標です

「忘れることのできない1⽇」に結実した努力

入社して半年経った2020年10月15日。ついにビットキーがworkhubを発表。薄田さんは、この日のことを「今でも涙が出そうになる」と振り返ります。

薄田:10月15日、初めて手元のアプリ操作で「カチッ」とロッカーのカギが開く⾳が聞こえたんです。この瞬間、仲間と抱き合って喜びました。
さらに、同じ日にプレスリリースでworkhub アプリが発表されました。 ⾃分が主体となって開発してきたものが世間に紹介され、努力が実を結んだこの⽇は、社会⼈⼈⽣で忘れることのできない1⽇です。

仕事でこんなに熱くなれる⽇が来るとは思わなかったですね。「これ俺がやったんだよー」って声を大にして言いたくなるような気持ち。家族にもすぐに報告しました(笑)。

未経験領域が多いミッションだが、やりきることができた理由。それは「ワクワク感」でした。

薄田:ゼロから何かを作って誰かに提供するといった経験をさせてもらえる機会って、そうそうないじゃないですか。
難しいミッションでしたが、「スマホでロッカーのカギを開けるって世の中にないな」って。世の中にないものを今自分が作っている。ゴールにたどり着き、リリースするところまでいったらすごいなって思えたんです。

努力した先のゴールが見えていたので、どんなに辛くても手を止めなかった。ワクワク感ですかね。世界は変えられなくても、少し世界をずらせているかなって感じる部分があった。その喜びのために頑張っていました。

あと、努力を続けられているのは、大学時代の経験と教授からの言葉が大きく影響してます。

大学では、第1志望だった光ファイバー通信の研究室に入れず、暗号や符号が専門の先生のところへ。図らずも、とにかく厳しいことで有名な先生でした。 “OK”のハードルが他の先生よりとにかく高い。
この研究室で、自分なりに考えて努力して結果を出す。それを厳しい先生に認めてもらうのが楽しくなったんです。努力するのが好きなんだって気付きました。そして、卒業間際には先生から

“君の努力は誰よりも量が多いし、その努力は人に伝播する。頑張っている姿で周りに努力する気を起こさせるのは、なかなかできることじゃない“

と言われたんです。
この言葉が、とにかくうれしかった。

変わった自分、変わらない自分

2度の転職を経て、社会人1年目の頃と比べて、自分のなかの変化を感じているそうです。

薄田:大きな変化はゴールに対する執着心かなと。

workhubアプリは多くの新機能開発をしながらも、機能改善も同時にこなしており、その開発スピードもとても早い。沢山の人に価値を提供できるからこそ、やりがいを感じる場面が多いんです。
あのとき、僕が開発したアプリがプレスリリースで世の中に発表されたことがうれしかったのですが、今では、多くの方に使われている事がうれしくて、誇らしい。

努力がこうやって実を結んで、沢山の人の役に立っていると感じる充実感があるからこそ、ゴールに向かって全力で努力する楽しみがあります。
そして、僕の周りを見渡すと逆境のときでも前向きな人が多いんです。だから執着できているんだろうなと。

成長しつつ、少年時代から変わらないところも。

薄田:僕は天才肌ではないので、努力で勝負するところはずっと変わってないです。

世の中にはさまざまなロッカーがありますが、僕にとってロッカーとは、モノを渡す役割を持った箱。オフィスで荷物を入れるロッカーや、宅配ボックスはもちろん、自分から誰かに渡すための箱、そして今の自分から未来の自分に対して渡す箱とも認識できます。そのロッカーをよりアップデートしていきたいという気持ちが強い。

そのために、歩きながらや1人でご飯食べながら、いつもロッカーについて考えています(笑)。新しいものは自分でも使ってみるようにしてます。
あらゆるものを見ながら、それがロッカーと紐づくと何ができるんだろう……。思考を止めないところからアイデアが湧いてきて、それをまた、自分のなかにあるロードマップに落とし込んでいくみたいな。

ロッカーを通じてできる機能はまだあるはずだし、そこで世の中に与えられる体験のアップデートもまだまだたくさんある。社内では「薄田といえばロッカー」と言われるくらい、常にロッカーのことを考えていますね(笑)。

苦しくなったら頼って。今度は僕が手を差し伸べる

薄田さんのチームは社内外合わせてトータル6人が在籍。入社3年目で、チーム全体のことがより見えるようになってきたという薄田さんにとって「良いチーム」とは。

薄田:良いチーム……。実は今とても悩んでいる部分です(笑)。

先輩である白木さんやNさんが僕にしてくれたことを振り返ると……。
みんなが全体視点を持って支えあい、転びそうになったら起き上がらせて、伴走してくれるリーダーや伴走者がいるみたいな..……。「みんなで走るチーム」でしょうか。

でも、なにより大事にしたいのは、苦しくなったら頼ってほしいということですね。あの時、僕はたくさん成長させてもらえたし、成功体験を得られて、今があります。

頑張って結果を出したい人には、今度は僕が手を差し伸べたいなと。

「What's your "KEY"」 とは

ビットキーってどんな会社ですか? 
面接などで、よく聞かれる言葉です。毎度うまく説明しようと試みますが、私たちも、十分伝えきれていない気がしています。
ビットキーには、この会社に何かしらの魅力を感じた人たちが集まっています。これまでたどってきた道は様々で、その人自身の持ち味も様々です。
いまはまだ、うまく説明できないこの会社の魅力を、彼/彼女たちの語りから感じ取ってもらうことはできないだろうか。
同時に、その人となりも伝われば。
そんな想いから、新シリーズ What’s your “KEY” を始めます。
あなたをこの会社に導いたものはなんですか?
この問いかけから、ここに集う人たちの思いや、この会社が持っているなにかが浮き彫りになれば、と思っています。

みんなにも読んでほしいですか?

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