伊藤計劃「虐殺器官」 ★★★★☆
小説、伊藤計劃の虐殺器官を読んだ感想。
テロ、戦争、虐殺。TVやインターネット上で目にする機会が増えてきた、そういわれても私達の生活には何ら影響は感じられない。
ミサイルが上空を通過していっても会社は休みにならないかしらと期待する我々にとって、人が人の暴力によって命を奪われるという事象は別世界、あるいはフィクションの中に存在するに過ぎない。
伊藤計劃「虐殺器官」の世界では戦争、大量虐殺が頻発する後進国と監視社会によって虚偽の安寧を見せる先進国が描かれている。
ジャンルで言うとSFに分類され、確かに現代社会にはまだ存在しない科学技術や軍事兵器が描かれてはいるがそれらはただの飾り物にすぎないように思う。
この作品には「死」が無数に登場する。読者がその「死」をどうとらえるのか著者は深淵からじっとこちらを覗き込んでいる、と私は感じた。
人の死を身近に感じたことのない若者にぜひ読んでもらいたい。
伊藤計劃「虐殺器官」
www.amazon.co.jp/dp/4150309841
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