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じぶん軸と就職先さがし(学生の頃の話)

じぶん軸ってなに

私が就職活動をしていた頃、悩まされた言葉がある。

それが「じぶん軸」と「自己PR」である。今回は「じぶん軸」について。

「行動の方向性を決めるためのポリシー」や悩んだ時に立ち戻る「原点」が「じぶん軸」の役割だと思うのだが、コレを就職活動の頃に自分で決められる人って、一体どのくらいいるのだろうか。

じぶん軸を定め、それをもとに行動を決め、その通り実行していける人は、物事の進め方の「型」を知ってる人だとおもう。

学生の頃の私はじぶん軸という言葉に出会い、そして自分探しへと迷走した。軸を持つためには納得いくような動機づけが必要だと考えからだと思う。

ところが、小中高‥とつづく学校という枠組みを与えられるまま、何気な〜く過ごしてきた私である。さぁ、海に出るから舵を取れ!といきなり操舵を任されても、目の前に広がる海、無数にある航路に圧倒される。はて、私は一体どこへ行きたいのか?とわからなくなって、身動きできなくなってしまったのである。

東西南北くらいの大雑把さで決めていた就職先

とはいえ、まるっきり何も考えていないというわけではなく幼稚園児が思い描くような「将来像」くらいはあった。それが会社員である。大人になったら、サラリーマンになって会社で働くと信じていた。そして、朝は新聞を読んで夜はビールを飲むのだと!

当時の私は曲がりなりにも大学へは進学していたので、その入り口まではなんとか到達できそうである。

しかし、また例えになるが、島に行きたいといいながら、肝心のどこの?どんな島へ?何をしに?、がないのである。これでは行き先が定まらない。島へ向かう手段など準備しようもない。

なんちゃって「じぶん軸」完成

というわけで、なんとなくやりたい・好きだという志向は?希望の生活スタイルはどんなふうか?頭の中で思い描く10年後の自分は何していたいか?今知っているなかで興味のある会社はどんな会社か?そんな自問自答をノートに書き連ねる方法をとった。文字にする事で、何かヒントが得られると考えたのだろうが、目で見て、耳で聞いて、足でかせぐことが必要であろう業界研究とか企業研究という外の世界を知る事の方ではなく、とっつきやすそうな方からやり始めたのは、さすが私である。

そうして、項目としては到底足らないだろうが、やっとの思いで捻り出した答えは「社会に貢献できる人物像を目指したい」「やりがいを持って働きながら、生活できる程度の収入を目指す」「子育てしたい」「ゆくゆく親の健康が心配になるから勤務地は同じ地方圏内。全国転勤はない方がベターかな。」「サービスよりも目に見える物を生み出す製造業の方が興味がわく」「特殊な知識は学んでこなかったし、専門技術職のような世界では生きていけないだろう」だった。この項目にあてはまるような会社へ就職できれば御の字だ。東西南北を決めるくらいの大雑把さで、まずはやってみようと就職活動をスタートすることにした。

これらの項目が果たしてじぶん軸と呼べるものか?と言われたら、的はずれでは無いが、足りないものがあると思う。さきほど話した目的地の話に戻ると、どこの、どんな島へ、何をしに?である。「何をしに」がない(苦笑)。大きく言えば「働きに」である。こうして、私は何をやりたいかはこの時決め切れず、とにかく前へ突き進んでいった。結局、ほとんど行き当たりばったりである。

市場のような合同企業説明会

外の世界を知るために合同企業説明会へ行く。複数企業が一堂に集まり説明会を行ってくれるので、学生の懐にはありがたいイベントだ。新卒生の学生をターゲットにしたイベントであるから開催時期の繁閑も大体決まっている。留学帰りの学生などは参加できるイベントが限られたに違いない。

出典企業一覧の書かれたパンフレットを手に、目星をつけていた興味のありそうな企業説明を手当たり次第に聞く。

聞くといっても、それに臨むスタンスは人によりけりだ。私の場合、まるでラジオのリスナー。興味ある番組に傾聴しているだけ。他の学生は違っただろう、魚を集める問屋のごとく、自分が欲しい魚を得ようと、目を光らせて聞いていたはずだ。スタンスの違いがわかるのが説明が終わった後に設けられる質問時間だ。予め魚を目指してやってきた学生はこの機会を逃さず、魚の「脂のり」「今年の漁獲高」など、現場でしか聞けない情報を入手しようとする。会社で言えば採用スケジュールや社員の定着率なんかはホームページに書いてあるが、「内定後に社内の誰が参加するどんな研修をする予定か?」「部活動など仕事以外でも社員同士の交流は盛んか?」などは、あまり公開されていないのではないだろうか?

コロナ禍になって、こういったイベントがどのように行われているのか知らないが、現場でしか聞けない情報を入手しようとする姿勢は、質問を受ける企業側にとって印象深いだろうし、他の学生達も知りたい情報であるから、遠慮なく質問すれば良い。だが、リスナーである私は「話の中で疑問に思ったこと」しか聞けない。企業説明の場であるから、おおよその内容は過不足なく説明されてしまっているので、ほとんどの質疑応答で質問するに至らなかったのは言うまでもない。

地図のような業界研究の本

外の世界を知るために、業界研究の本を手に入れる。自分の知ってる会社だけでなく、他の会社やシェア、関連企業などがざっくりわかる。すでに目的地が決まっている人には参考にならないだろうが、東西南北しか選んでない人には、こんな国にはこんな街があるのか、と目的地選びの参考にはなるだろう。

地図を見て、気になる場所(業界、企業)があったら、それと似たような場所も候補としてピックアップ。会社のホームページを見ると、関連会社や取引先企業などの情報が載ってあるので参考になる。あとはエントリーするだけだ。

目的地が決まっている人なら、本命業界や企業の募集時期や締切を逃さないように注意を払っただろうが、行き当たりばったりであったので、これも風任せだ。

単独企業説明会と選考

単独企業説明会は、やっぱりお見合いに似ているかもしれない。互いに興味があって、その場に集まってくるのだ。予めプロフィールを送り、限られた時間で話をする。マッチングすれば、お付き合い(選考)へと進むのだ。お見合い相手なのだから、やることは決まっている。自分にとって、理想のパートナーを探すのに条件は必要だ。学歴と言った分かりやすい物差しや、適性テスト、相手がどんな風で、今後はどんな風に考えているかを互いに吟味し合うのだ。多少お見合いと違う点を言えば、複数申し込んで「辞退」する場合や、永遠を誓うわけではなく、その後を見据えて「武者修行」で就職しようと、夢の先を見据えた相手も時々いることかもしれない。

単独説明会や選考過程では、双方ミスマッチングのリスクを避けるために相応の確認手続き踏む。当時の私と言えばそんな事は露とも思わず、人事部の人や参加している先輩社員の人柄を見て本能的にアリかナシかを決めるくらいだった。ここなら過ごしやすそうだから寄る辺として働けそうだとか、何となく居心地が悪そうだから別の島にすべきか‥

そうやって、ラブコールを送る先を決め、運良く縁のある会社に出会い、故郷を後にして今の島に留まり働き、生活している。

おわりに

時間の流れと共に島の様子も様変わりしてきた。先輩、同期がいまや管理職である。尊敬するキャリア社員の方々が、惜しまれつつ島から離れるのも毎年見送っている。可能性いっぱいの島民達も新たに迎えながら。

あの頃。じぶん軸を考えた時、そっと蓋をした事があったことも時々思い出す。

家族が増えた分、船を漕ぐ力もいる。私達の船は賑やかだ。別の目的地を定めるのはパートナーとの相談も必要。子供達、自分の船を漕ぎ出すまでしばらくは私との珍道中の航海をどうぞ楽しんで。

時間を見つけて書いています。ここまで読んでくださりありがとうございました。誰かのお役に立てますように‥
















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