雑談meetsシネマ〈21:トリック〉
帰ってきた!
SF映画を観ながら謎を解く、映画雑学フィクション劇場の第二部をゆるゆると始めます。不定期でいつまで続くか分かりませんが……。
まずは第21回。第二部のオープニングは、あの、セリフがほとんどないSF映画の金字塔です!!
今日の映画は何ですか?
クマ ジャジャーン!
DJ 音楽に合わせて登場したって、かっこよくないわよ。
カントク 『ツァラトゥストラはかく語りき』。
ショウコ 映画に合わせて、このあと25分黙っててもらいましょうか。
クマ 久々に会ったのに、扱いがひどいな……。
“THE DAWN OF MAN”
『2001年宇宙の旅』は好きですか?
御簾照 『2001年宇宙の旅』ですか。
ショウコ いらっしゃいませ。
カントク 1968年公開、スタンリー・キューブリック監督の名作であり、SF映画の金字塔。
DJ 私には難しすぎるけれど……。
クマ これだからDJは!
DJ クマさんだって分かってないでしょ?
クマ 解説役はカントクに譲ろう。
カントク 解釈は様々ですが、撮影技術に優れていることは事実。この猿たちのシーンはすべてスタジオ撮影で、当然、猿は特殊メイク。同年に『猿の惑星』も公開され、ある種“猿対決”になりましたが、アカデミー賞は『2001年宇宙の旅』が特殊視覚効果賞を受賞。当時、メイクアップ賞が無かったこともありますが、度肝を抜く映像という点で『2001年』に軍配が上がったとも言えます。
御簾照 猿は骨を道具とし、骨は衛星へ――。ここから映画の本筋が見えるようになるわけですが、クマさん、私たちの今日の本筋は?
クマ あっ、久々で忘れてた。ある“トリック”を探ってほしいんだ。
Elevator operator “Here you are, sir. Main level, please.”
好きなITメーカーはありますか?
DJ どういうこと?
クマ 行きつけのスナック[ブルージー]のママからの相談でな。
DJ 好きねえ、あの店。
クマ ここも好きだぞ。ショウコが兄貴から正式に継ぐと思わなかったが、俺は応援してる。
ショウコ じゃ、もっとここでお金使ってください。
DJ 商売人ねえ。
御簾照 私も応援してますよ。
カントク ぼ、僕も応援してます!
Dr Floyd “Can't you think of anything else you want for your birthday? Something very special?”
クマ でな、ライバルのスナックがハイテク機器を取り入れたって宣伝に焦ってるんだと。えっと、物のインターネット化……IBMっつったっけ?
DJ IBMって。HAL9000の由来じゃないんだから。
ショウコ あれは都市伝説みたいですよ。
クマ まさか。IBMから、アルファベットを1字ずつ前にズラしてHALだろ?
カントク ショウコさんの言うとおりです。実は、違いますね。
クマ マジか……。
DJ 相変わらずね、クマさん……。
御簾照 いずれにしても、物のインターネット化は「IoT」ですし……。
クマ そう、それ!各テーブルで会計額がすぐに分かるらしいんだ……待て待て!いくらでもあると思うだろうが、場末のスナックにそんなハイテクが入るわけないんだ。だから、どんな仕組みで入れたか?という話だ。
好きなアプリはありますか?
DJ 安いアプリか何かかしらね。
ショウコ うちでも取り入れたいです。
カントク シ、ショウコさんのために探します!
クマ ライバルも古い店だから、本当に簡単なはずだが……。おっ、やっぱ『2001年』の映像は面白いよな。このぐるぐる回るランニングシーンも印象的だわ。
DJ セットごと回転させてるだけでしょ。
カントク どれも種明かしすれば簡単です。けれど、1968年公開ということを考えればすごいですよ。2001年は、33年も未来。そこで2021年の現在も古びれないものが撮れてます。要は、2021年に「2054年宇宙の旅」って映画を作って、それが2074年に古びれない……驚異的じゃないですか?
クマ 語るなあ、カントク。
カントク だって、すごいですよ。AIのHAL9000の声は人間が吹き替えてロボットっぽくやっているだけ、コンピュータはCGのフレーム画面は作れないからワイヤーで作って色をつけて撮影しただけ。アナログですよね。
DJ あっ、御簾照さんがひらめいた顔してる!
HAL 9000 “I'm sorry Dave, I'm afraid I can't do that”
計算問題は得意ですか?
クマ わかったのか?
御簾照 カントクさんの言葉がヒントですね。
カントク え、えーと。アナログな方法ということですか。
御簾照 はい。結局はアナログということは考えられないでしょうか。注文に応じた計算なんて、そう難しくはないでしょう。手間ですが。都度、裏でこっそり計算して、いかにもデジタル処理して伝えるように「見せる」。これをIoTとして宣伝する。これなら、予算に限らず、できます。
ショウコ そんなシカケ、逆にうちは無理です……。
DJ 力技だもんね。でも、確かにそれなら、デジタルとか関係ないし。しかもちょっとした店なら、ハッタリみたいな面白さがあって楽しいかも。
クマ [ブルージー]でも出来るな!
御簾照 しかし、「出来る」ということと、「やり切る」ことは大きな差がありますね。キューブリック監督は「やり切った」。制作には2年以上もかけています。そして鑑賞者の誤解を恐れず、余計な説明を省く潔さ……。宇宙レベルのこだわりですよ、これは。
カントク ……真似できません。
クマ いいんだよ、真似なんかしなくて。ああ、俺もモノリスで知恵つけたいなあ。あっ、ほら。次のチャプターが始まるぞ。
“JUPITER AND BEYOND THE INFINITE(木星 そして無限の宇宙の彼方へ)”
イラスト 無重力尚靴履(ゼログラ)さん
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