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ロカテッリ ポジションの最適解

新しいシーズンを迎えるユベントスにおいて、キエーザ、ブラホビッチと並んで中心選手へと成長することが期待されるロカテッリ。21-22シーズンは3センターのアンカーポジションもしくはセンターハーフでの起用が多く、ダブルボランチの一角にも対応できそうです。さて、22-23シーズンのユベントスではどのポジションでスタートするのでしょうか?

ロカテッリのスキル

21-22シーズンのユベントスを見てきた限り、ロカテッリの見せてきた印象的なプレーは以下の通り。

冷静なパス回しでポゼッションの確立に寄与する。

鋭い縦パスで楔を打ち込む。

サイドチェンジで局面を打開する。

ライン間にポジションを取って味方にスペースと時間を与える。

主に右サイドでボールを受けて攻撃の起点となる。

ペナルティエリアに飛び込んでシュートを狙う。

ディフェンスラインの前で壁となって中央のスペースを消す。

被カウンター時に素早くポジションを取って相手のスピードを吸収する。

ディフェンスラインの穴を埋めるカバーリング。

攻守に渡ってプレービジョンが明確で鋭い戦術眼を持っている選手であると認識している。オフザボールでチームに貢献できる選手である。また、ボールを持っても高い技術を持っており、プレスをかけられても簡単に失うことはない。一方でフィジカル的なスピードには長けておらず、展開を先読みしたポジショニングで補っている。タイプ的にはシャビ・アロンソに近いと思う。本家に比べてロングボールを蹴る頻度は少ないが、プレーや体の使い方に柔らかさを感じる。

ロカテッリのポジションの最適解

最大の特徴は守備

さて、以上のようなプレーを見せてくれるロカテッリだが、21-22シーズンで最もチームに貢献したのは守備の局面だと思う。もちろん、攻撃面でもさまざまな場面で活躍してチームに貢献した。しかし、中盤から前の守備が崩壊し、キエッリーニがケガで離脱を重ね、ボヌッチが衰えを隠せなかった昨季のユベントスがギリギリのところで持ち堪えたのはロカテッリの守備のおかげだと思っている。ロカテッリがいなければ、ユベントスは年を越す前に終戦していてもおかしくなかった。それほどまでにロカテッリの守備での貢献度は高かった。

例えば、チェルシーに競り勝ったCLグループリーグ第2節。アンカーとしてスタートしたロカテッリはボヌッチとデリフトとトライアングルを形成してルカクを封じ込めるタスクを担っていた。途中からは4-4-1-1へと移行してダブルボランチの一角としてプレーした。相手ビルドアップ隊をフリーにしたため、自陣中央のバイタルエリアを閉め続けてチェルシーのボール保持からの攻撃を封殺。ロカテッリが守備において重要な役割を果たしていた。おそらく、ロカテッリがいなければチェルシーに得点を許していただろう。

また、周りのチームメイトに対して指示を出し、指さしなどの身振りも加えてコーチングする姿も印象的だ。特に守備時には味方にポジションを指示してスペースを埋める、ボールの前進を止めることができる。自分のプレーだけでなく、味方を指揮して守備をオーガナイズできる点は特筆に値する。アッレグリも将来のキャプテン候補としてロカテッリの名前を挙げていたことも記憶に新しい。

22-23 ロカテッリのポジションは?

さて、守備における貢献度がチーム随一であるロカテッリは、やはり守備的なミッドフィルダーとして起用するのがベストだろう。4-3-3をベースにするならアンカーに入ることになるだろう。4-2-3-1や4-4-2であればダブルボランチの一角を担うことになるだろう。攻撃においても低い位置でポゼッションの確立に貢献しつつ、鋭い縦パスとロングボールやサイドチェンジで局面を進めてくれるはずだ。

ただし、21-22シーズン後半戦で見せてくれたように、3センターのセンターハーフとしてライン間にポジションをとってチャンスメイクする技術と戦術眼も兼ね備えている。ロカテッリが怪我で離脱するまではボール保持から相手を押し込んでユベントスが攻撃を仕掛け続ける見事な攻撃を展開していた。ロカテッリの前線での攻撃性能を活用しないのはもったいない。

そう考えると、ロカテッリの基本的なタスクは低い位置に留まって守備に貢献すること、攻撃時にはビルドアップに参加・貢献することをベースにする。その上で、試合の中で他の選手とタスク・ポジションを入れ替えて前線に上がる機会を増やしていきたい。つまり、ロカテッリとタスクを入れ替えてもそれなりに守備とビルドアップに貢献できる中盤の選手がいてほしいということになる。

残念ながら、21-22シーズンのユベントスにはそのような選手はいなかった。アルトゥールはビルドアップへの貢献度はとても高かった。特にワンタッチパスとアウトサイドで行う小刻みなターンでプレスを回避するプレーは何度となくユベントスをハイプレスから救ってきた。しかし、守備ではポジショニングが安定せず、被カウンター時に相手の勢いを吸収することはできなかった。ザカリア、ラビオは1vs1の守備力は悪くないものの、ポジショニングを誤ることも多かった。また、運ぶドリブルでボールを運ぶ力は高いが、ビルドアップへの貢献やパスによる局面の打開は望めないだろう。

ポグバの帰還

しかし、22-23シーズンには、ヤツが帰ってくる。

そう、ポグバだ。

ポグバの持ち味は、その技術とフィジカルを活かしたチャンスメイクとフィニッシュワークだ。ミドルシュート、ラストパス、裏への抜け出しとフィニッシュへの選択肢を幾つも持っている。当然、出来るだけゴールに近い位置で起用したい選手だ。一方で、ポグバは高い戦術理解力も兼備している。15-16シーズンのCLバイエルン戦では当時バイエルンの監督をしていたグアルディオラをも困惑させたという4-4-2と5-4-1の可変システムにおいて、2トップの一角と左サイドハーフの2つのタスクを完璧にこなしてみせた。攻守に渡って高い戦術理解がないと不可能なプレーだ。攻撃と守備の両面でスペースの認知やとるべきポジショニングを理解できるはずだ。ロングパスによるチャンスメイクもポグバのレパートリーに入っている。しかも、ポグバは周りの選手にコーチングできる強いパーソナリティも備えている。

つまり、ポグバはロカテッリとタスク・ポジションを入れ替えることができる人材なのだ。もちろん、ポグバはより攻撃的な選手であり、ロカテッリはポグバに比べれば守備的な性格が強いように思う。ベースポジションは中盤で起用されるとしたらポグバは前、ロカテッリは後ろになるだろう。しかし、試合の中でロカテッリが前に出て、ポグバが下がってタスクを入れ替え、ポグバがビルドアップでボールを前進させ、ロカテッリがそのボールを受けてチャンスメイクすることは十分可能だろう。もしかしたら、ザカリアやアルトゥールに後方を任せてポグバとロカテッリが前線に上がっていくシーンも見られるかもしれない。

22-23 ロカテッリの起用法

アッレグリが3センターを採用するなら、アンカーにロカテッリ、CHにポグバとマッケニーが最も攻撃的な選択になる。ポグバ、ロカテッリ、マッケニーはいずれもライン間にポジションを取り続けることができる技術と戦術眼を持っている。特にロカテッリとポグバは後方に下がっても速い縦パスやロングパスで局面を打開できる。マッケニーがライン間で相手守備陣を牽制しつつ、ロカテッリとポグバが入れ替わりながら流動的な動きで攻撃を展開できそうだ。守備においてもロカテッリを軸に、ポグバもアンカーポジションでの守備もこなせるはずだ。マッケニーも守備での献身性を備えている。

攻守のバランスを整えるなら、マッケニーに替えてザカリアを入れると守備力は上がるだろう。その場合は、ロカテッリは後方に位置する時間が多くなるかもしれない。理由は2つ。まずはザカリアを使ってバランスを整えるということは、守備に注力したいということ。つまり、ポグバよりもロカテッリを後方に残しておくようにゲームプランを組み立てるだろうと予想できる。もう一つは、ザカリアはライン間でのプレーを得意とする選手ではないからだ。となると、ザカリアには中盤から前線に飛び出すタスクを担ってもらうことになるだろう。ザカリアが前線に上がっているタイミングでネガティブトランジジョンの局面に移れば、中盤の守備に当たるのはアンカーの選手ということになる。その守備に当たるのは、ポグバよりはロカテッリの方がいい。

いずれにせよ、ロカテッリの最適なスタートポジションは中盤の後方だと言えそうだ。しかし、ポグバの加入によって、ビルドアップや守備のタスクをポグバなら任せられることもあり、前線に顔を出すロカテッリを見られるシーンは多くなるだろうと予想している。

ユベントス、そしてアッズーリの未来を担うロカテッリ。今季も注目すべき選手である。

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