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【シカゴでバードウォッチング!】 Red-breasted Merganser

前回の記事に、冬のミシガン湖にいる大きくて強面の水鳥としてRed-breasted Merganser (ウミアイサ) を挙げましたが、この鳥についてまだ書いていないことに気がつきました。春から夏にかけての繁殖期にはカナダやアラスカにいますが、冬には南下してきてミシガン湖の常連さんになりますから、書かなくては失礼になってしまいます。(笑)

まず、長めのツンツンとした冠羽が特徴的で、これも案の定、雄の方が雌より長いです。雌雄とも、目と脚と長い嘴が赤っぽいオレンジ色で艶やかです。この長い嘴はツルツルした魚を咥えやすいように、端がぎざぎざの細長い鉤状になっていて、sawbill (ノコギリの嘴) birdの代表格です。

そして雄はかなりおしゃれです。頭部と背が緑黒色、首には白い帯、胸は茶色で黒斑があり、腹部は白く、脇には細かく黒い波状斑があります。ですから、遠目でもすぐにわかります。

おしゃれなRed-breasted Merganserのオス      ©Dan Lory

雌はちょっと地味で、頭部は赤みのあるシナモンのような褐色、首から体の下面は灰色がかった褐色、上面は濃い灰色です。

落ち着いた色彩のRed-breasted Merganserのメス      ©Dan Lory
つがいが反対方向を向いて、ハイ、ポーズ!      ©Dan Lory

Red-breasted Merganserは、日に15~20匹の魚を食べる必要があり、研究者によると、餌を取るために日に250-300回ぐらい水中に潜るそうです。また、シュノーケリングをしているように、水面に浮いた状態で頭だけを水中に入れてスイスイと泳ぎ回りながら獲物を探すこともあるらしいです。

また、鴨の仲間の中では飛行速度が一番速くて、飛行機に追われて時速160キロで飛んだという記録もあるとWikipediaに書いてあります。本当かなと思いますが・・・。

そして、もう一つ興味深いのは、Red-breasted Merganserの雌は自分の卵と雛だけを育てるのではなく、他の雌の卵と雛たちをたくさん保育園の先生のように面倒をみるらしいです。Red-breasted Merganser Daycare !

繁殖期の雄は、雌の気を引くために首を長く伸ばしてお辞儀のようなことをします。もし興味があったら、この動画をご覧になってください。なんだか礼儀正しい貴族のイケメンのような感じがしませんか。

そして、上の動画にあるように、一羽の雌に数羽の雄がアピールするので、時には雄同士でこんな感じになります。(笑)

「お前、邪魔なんだよ。向こうへ行けよ!」と強いオス      ©Dan Lory

そして、メスは・・・。気が強そう!

「私はこの人にしたのよ。あんたは、さっさとあっちへ行って!」と息巻いているようなメス
©Dan Lory

こういう姿が見られるようになる春が待ち遠しいですが、今は冷たいミシガン湖の中を群になってプカプカと漂っています。

冷え性の私は、どうして鳥たちはあんなに冷たい水の中にずっと素脚を入れても大丈夫なんだろうと不思議に思って調べてみました。経験豊かなバーダーの方達には常識なのかもしれませんが、All About Birds によると、鳥の脚には、countercurrent heat exchange system (向流熱交換システム)という血管構造があるので、凍傷にならないそうです。(私もこのシステムが欲しい!)日本語ではこのシステムを「ワンダーネット」と言っていますが、誰がこんな名前をつけたのでしょう。

カモは、私達とは別の体温低下を防ぐ仕組みをもっているのです。それがワンダーネットと呼ばれる血管の構造です。

カモは、胴から足先に向かう血液を運ぶ動脈に、足先から胴に向かう血液を運ぶ静脈が絡んだ構造になっています。この部分で、足先から胴へいく血液は、暖められ、胴から足先へ向かう血液は、冷やされます。この構造により、外気に奪われる熱量を減らすことができるのです。  

https://biome.co.jp/biome_blog_055/

また、鳥の脚は腱と骨がほとんどで、筋肉や神経が非常に少ないことも寄与しているとのことです。

ついつい人間中心に鳥のことを考えてしまいますが、鳥には鳥にとっての合理性があるんだということを忘れないようにしないといけないなと思いました。本当に自然界は神秘に満ち溢れていますね。


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