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【シカゴでバードウォッチング!】名無しの権兵衛公園

大統領や地域の名前を冠した公園が多い中で、Park 566とただ数字で呼ばれている公園。

シカゴに住んでいるほとんどの人は、この公園のことを聞いたことがないと思います、熱心なバーダー以外は。シカゴのダウンタウンから車で南に30分ぐらい、家からは15分ぐらい行ったところにあるRainbow Beach ParkSteelworkers Parkの間にある公園です。夫と私のお気に入りで、「ゴロロ」と呼んでいます。

ここにはもともとUS Steelという総合製鉄会社があったんですが、製鉄業界が斜陽になったため1992年に閉鎖され、その後シカゴ市のPark Districtが管理するようになりました。Park Districtのおかげで、荒れ果てていた製鉄所跡地から外来種の悪い植物が取り除かれ、この地域に適したPrairie (プレーリー:ミシシッピー川流域のほとんど樹木のない広大な平原。昔のテレビ番組「大草原の小さな家」で見たような感じです。) の植物が植えられ、原来の自然環境に回復しつつあります。その結果、年々素晴らしいバーディングの場所に変化を遂げてきているんです。

バーディングを始めるまでは、Park Districtの人たちの仕事についてあまり考えたことがありませんでしたが、このPark 566の変化を目の当たりにして、その人たちのたゆまない努力のおかげで自然が守られ育てられていることに気がつきました。本当に感謝、感謝です。手を加えてくれる人たちがいないと、自然はあっという間に荒地になってしまうんですね。

湖沿いの部分を焼いて(こげ茶色の部分)春の芽吹きに備える3月のゴロロ  
向こうの方にダウンタウンが見える
3月に焼いてこげ茶色だったところに緑が茂っている6月のゴロロ 

このゴロロには様々な鳥だけでなく、コヨーテ、鹿、モグラなどの動物も住んでいて、時々鉢合わせになるという楽しみもあります。私は基本的に哺乳類が大好きですから、思いがけない出会いがあると胸がドキッとして嬉しくなります。

夏のゴロロ  コヨーテ   ©Dan Lory
夏の花が咲き乱れるゴロロ  鹿二頭   ©Dan Lory
冬のゴロロ  立派な角の鹿   ©Dan Lory

ここで見ることができる鳥について書き出したら止まらないほどたくさん書きたいことがありますが、それはこれからのお楽しみにとっておくことにします。

今回の記事では、ここで見ることができる鳥を大雑把にまとめます。

まず、この公園はミシガン湖沿いにあるので、一年中多種のカモメやカモなどの水鳥を見ることができます。冬、ミシガン湖に氷が張っていても、その氷の裂け目にたくさんの水鳥が浮かんでいますし、氷の上で休んでいるBald Eagle(ハクトウワシ)もいます。「迷鳥アラート!」に書いたRoss's Gullもここで見つけました。

また、Park Districtのおかげで大変身を遂げた大草原には花が咲き乱れるようになり昆虫も多く、色々な種類の小鳥たちが来ますし、高い木の林もあるのでそういうところを好む鳥たちも見つけることができます。

そして、小鳥や小動物を狙う猛禽類もいます。季節を問わず現れる猛禽類の常連さんは、American Kestrel (アメリカチョウゲンボウ)、Red-tailed Hawk (アカオノスリ)、Red-shouldered Hawk (カタアカノスリ)などです。冬には、Northern Harrier (アメリカチュウヒ)、Short-eared Owl (コミミズク) がよく見られます。

バーダーでありミュージッシャンでもある知り合いは、Park 566という曲を作りました。名無しの権兵衛だけど音楽が作られている公園って、すごくないですか?

機会がありましたら是非一度ここでバーディングをしてみてください。


註:表題の写真は、https://www.chicagoparkdistrict.com/parks-facilities/park-no-566-usx からです。

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