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【シカゴでバードウォッチング!】 Blue-gray Gnatcatcher    ブユムシクイ

私は初めてこの鳥の名前を森の中でささやかれた時、Blueberry Nutcatcherだと思い、しばらくこの鳥をブルーベリーと呼んでいました。英語が聞き取れていなかったんですね〜。とはいっても、まだ熟れていないブルーベリーの色のようだし、ブルーベリーのように小さい鳥なので、なるほどいい命名をされているなと素直に思っていました。

熟れていないブルーベリーみたい!尻尾が長い。     ©Dan Lory

ところが、ちゃんとバーディングを始めるようになってから、この鳥の正しい名前は、Blue-gray Gnatcatcher だとわかりました。(私がずっとBlueberryと呼んでいたのに、ちゃんと訂正をしなかった夫の真意は・・・?諦め?) Blueberryではなく、Blue-grayは、羽の色を表しているんだと納得できました。でも、nutcatcher、つまり木の実のnutだと思っていたのが、全く違うスペルであり、見たこともないgnatは何だと思い調べてみてびっくり! 刺されてしばらくすると、赤く腫れて激しい痛みを感じる、あのブユ (関東ではブヨ、関西ではブトとも呼ばれる)だったんです!ちなみに、木の実のnutの発音記号は nʌt。ブヨのgnatの発音記号は næt。聞き分けられるはずありませんよね!

え〜〜〜!?こんなに可愛い顔して、あの恐怖のブヨ (私は関東出身)を捕まえて食べるの!?ショックでした。(笑)ブヨって哺乳類や鳥から吸血すると書いてあります。このちっちゃいBlue-gray Gnatcatcherは食べる時に刺されないのかなと心配ですが、刺される前にきっとあの嘴で潰しちゃうのでしょう。和名がブユムシクイ。言い得ていますね。ちなみに、餌はブヨのような虫や蜘蛛、そして虫の卵などです。

Blue-gray Gnatcatcherがどんなに可愛いかというと、Golden-crowned Kinglet (キクイタダキ、前掲記事「ちっちゃくてかわゆい!」参照) とほぼ同じ大きさで、体長10-13センチぐらいで、体重は5-7グラムです。そして、Golden-crowned Kingletと同じく、枝から枝へピョンピョン移って行ってなかなかジッとしていません。頭から背中は名前の通りブルーグレーで、焦茶色の翼、喉からお腹にかけては白、尻尾は黒っぽく長く、端の方に白い部分があります。雌は少し地味なだけで、大きな違いはありません。どちらも白いアイリングがあって、お目々パッチリです。

横姿、綺麗でしょ?スッキリとしていますね。      ©Dan Lory
顔に陽が当たってブルーグレーがよく見える!      ©Dan Lory

Blue-gray Gnatcatcherは、冬はアメリカの南部、メキシコ、グアテマラ、キューバ、バハマ、ケイマン諸島などで過ごします。こんな小さい体で遠くまで渡りをしていくんですよね。畏敬の念を感じます。

私が住んでいる町に日本庭園(もどき!)があります。1893年にシカゴ万国博覧会が開かれ、日本が宇治平等院鳳凰堂を模した日本館「鳳凰殿」と日本庭園を作り非常な人気を博したそうです。会期後に鳳凰殿は取り壊されましたが、日本庭園はそのまま残され今に至っています。そこで春にBlue-gray Gnatcatcherの巣を初めて見ました。上向きの枝と枝の間にアイスクリームコーンのような巣を作り、小さな親が一羽座っていました。巣は蜘蛛の巣や地衣類を使って作ったしっかりしたもので、一見すると木の小さな瘤のように見えます。そして、この鳥は雄も抱卵し、育児にもしっかり関わります。可愛いだけでなく、理想的な夫でいいなあと思ってしまいます。

蜘蛛の巣や地衣類で作った巣にちょこんと座っているBlue-gray Gnatcatcher。
なんだかお風呂にゆっくり入っているみたいに見えませんか。(笑)      ©Dan Lory     
Blue-gray Gnatcatcherのピンと立っている尻尾が、手前にある枝と重なってしまっている・・・。
©Dan Lory

Blue-gray Gnatcatcherは、ブルーグレーの体と長い尻尾、そして他の鳥の鳴き声をちょっと混ぜて歌うので、Little Mockingbird (前掲記事「Northern Mockingbird」参照) というニックネームがあるらしいです。でも、大きさも可愛さも全然違うので、私はこのニックネームには賛成できません。Blue-gray Gnatcatcherの鳴き声は、こちらからどうぞ。

このちっちゃくてモフモフしたBlue-gray Gnatcatcherは、テリトリー意識が非常に強く、敵を追い払うためには20メートルぐらい追い回したり、時には空中で他の鳥と胸と胸をぶつけ合うこともあるそうです。

また、白い縁がある尾を左右に振って、隠れている昆虫を脅かすこともあるし、翼を外し、止まり木の上で大きな虫を叩いてから飲み込むなどということもするようです。

「私、見かけによらず凶暴?」             いえ、いえ、むちゃくちゃカワイイですよ。 
外側尾羽が白いのがわかりますか。     ©Dan Lory     

人は見た目で判断してはいけないと言いますが、鳥の世界でも同じようですね。生存競争の激しい世界で生き抜いていくためには強く逞しくなくてはいけないようです。

私は、このモフモフと、ピンとはねている尾が好き!     ©Dan Lory


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