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「星を見る犬」

野良は野にて夢を見ていた、
垂れ穂の陰の農道脇の側溝だったら追う声や、
退屈凌ぎや日々にて受ける苛立ちついでに振り上げられる、
堅い爪先、木の踵、彼を見下ろすあぶくの浮く水晶体から逃げられた、

彼は星のために夜を待つ、
瞼であれば其れはいつも輝けど、永遠に眠る気にはなれない、
12月の夜の空を想うとき、指笛吹いてた細い背中が揺れる小刻み、
今や星は冷たく微か、穴の開いたソファで肋骨の凹凸確かめあった、

犬は今日も星を見る、
寝宿は誰にもあてがわれぬから、いつかの記憶に尾を振りながら、
犬は今日も星を探して、
僕にもかつては名前があった、あの日のことを振り返る、

星を見ながら星になる日のことを想う、遠吠えながら野太い声鳴る月日のことを、
星を見る犬、野に見る夢は泡沫か、
星を見る犬、あぶくの日々を生きている、
君は僕は背骨の浮いた夜を待つ犬、

photograph and words by billy.

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