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奥会津の旅'24初夏

一年振りの只見線。会津若松7:41発の3両編成の列車は高校生で満員。午前中は6時台の始発と合わせて2便しかないが、平日のこの時間は、通学列車になるようだ。

会津坂下で学生達は全て降りて行き、いつもの観光客だけの車内にもどった。

蛇行して流れる只見川に架かる橋は、終点小出までいくつかあって、撮り鉄や乗り鉄たちを呼び寄せるが、目的地の会津西方駅までは鉄橋はひとつ。

橋にかかると列車は速度を落とし、乗客が景観を眺め、写真を撮る時間を与えてくれる。

只見線第一橋梁から見下ろす只見川
 深く緑を湛える
朝靄の第一橋梁
三島町にあるビューポイントからの眺めは 一番人気
(2024 奥会津カレンダーより)
無人駅の会津西方
6畳程の可愛らしい駅舎には 座布団
田植えが終わるこの時期
1400人に満たない町は今 まつりの準備中
この週末 全国から2万に届く人が集まる
水田を走る水路
耳に心地よい🐸の鳴き声
駅から15分ほど歩くと まつりの会場の楢林
いつもは こうしてひと気も少なく静か

荷物が届くまで時間があったので、久々に西方地区に行ってみる。西方の閉校した小中学校が、かつてお宿になっており、会場にも近く、地区の女性達心尽しの食事が美味しく、毎年お世話になっていた。

コロナ禍でイベントが3年中止になっていた間に、館長さんが亡くなられ、スタッフも高齢となり閉館してしまった。

奥会津地方独特の家々の佇まいに、倹しく美しい暮らし振りが感じられる、大好きな集落だった。

住人の気配はないけれど
玄関先の芍薬が手入れされて 咲いている
木と白壁のコントラストが美しい
奥会津独特の建築

朝食前には、いつも通りを抜けて、西隆寺まで散策するのが楽しみだった。西隆寺境内には、1970年代当時の住職が、後継祈願で当時20代の仏師姉妹に依頼したという、大小33体の石彫り観音像が佇んでいる。

西隆寺
庫裡脇に積まれた薪 雪深い冬に備える 
境内に点在する 33体の石彫り観音像
一体一体に 丁寧で味わい深い説明書き
まだ全部読めていない
道すがらの廃屋 
作業小屋だったろうか
厳しい自然環境での 質実な暮らしを伝え 朽ちていく
店の無い集落に 移動販売のアナウンスが響く
お年寄りが椅子に座って 順番待ち
SEの充実の品揃え お昼のお握りを買う

かつては家々の軒先に丹精された花が美しかった通りに、住む人の居ない家が増えている。

三島町を初めて訪れた25年前、2500人だった人口は今、半数近くに減っている。福島県で1番、人口減少速度が早いと聞く。

花は無くても、家周りがきちんと整えられ、荒んだ印象がないのは、住民同士の支え合いと、始末の良い暮らしの美意識があってのことだろう。

会場への坂道を戻る
20代の頃歩き回った山並みが 遥遠くに見える
昼過ぎ届いた荷物をブースに置いて 明日の設えを思案
後ろ隣のブースとの境に 園芸用の網を張り…
抱えてきたハンガーラックの横棒2本を吊るして
搬入完了
 周囲のブースも 次々に準備が始まる
今夜のお宿は 只見川を見下ろす温泉
お風呂のあとは やっぱりこれ♪
初日 
木洩れ陽の林で まつりが始まる
今年は楢の木が密な最奥の位置 抜ける風が心地良い
地元三島町の工人さんのブース
山葡萄蔓の籠バッグと山菜
町の噂など少しお喋りして 蕨の取り置きを依頼
まつり開始一時間前にもなると…
早々と 念入りの下見が始まる
開店してすぐ 帆布のリュック5つが完売
また作ろうと やる気が湧く
ごっつい帆布で仕立てたボストン
お買い物された荷物を全部入れて 帰って行かれた
蜻蛉模様の小千谷縮の古布で仕立てた ブラウス
素敵な女性に お召しいただけて嬉しい
お手持ちの 柿渋染めのバッグは
15年ほど前に お買い上げいただいたもの
お客さんはもちろん バッグとの再会が嬉しい♪
2日目 ちょっと寂しくなったブース
木が無いところは 陽射しが強いけれど
ここには楢林を吹き抜ける風♪
会場から5分ほど離れた場所の 「山と木の市場」
友人に留守を頼んで 覗きに行く
5500年前の欅の埋もれ木が展示されていた
会場で食べた   十割蕎麦
今回の旅で 断トツに美味しいお昼だった
大盛りにしとけばよかった
初日に残った切りっぱなしの リネンベストが
この方を待っていた
ご夫婦共に 気に入っていただけて良かった
仕事終わりに来てくれた友人
タフで頼もしい助っ人

旅の土産は…

朝摂り蕨
帰宅してすぐ重曹を加えた熱湯をかけ 一晩置く 
シャキシャキで 野趣に富んだお味
「山と木の市場」で ルチン豊富な蕎麦の実
美しい色と形  
蕎麦雑炊、リゾットにして食べよ♬
マタタビの蕎麦笊
隣町の「金山町民芸品制作研究会」渡邊新太郎氏制作
このグループのブースは毎回長蛇の列
柿渋染めの布
福知山市から参加された 「布美人」さん
染めと日干しを幾度も重ねた 堅牢で美しい布

"ふびじん"さんは、京都言葉が柔らかな、とてもチャーミングな方。旅に出るとすぐに、家に帰って仕事をしたくなるという、小柄ながらエネルギッシュな工人さんだ。あちこちのイベントでご一緒した、四半世紀前からの大ファンである。

工人まつりに参加を続けて20年
ものづくりのきっかけをいただいた場所

行く時は今年が最後になるかも知れない、といつも思う。そうしてまた、来年もまた来よう、と心に決めて帰路に着く。

各地のお国言葉が飛び交う楢林。

ものづくりの弾みになってきたこの場所は、今では日々の暮らしの弾みにもなっている。

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