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日暮里に布を探しに

ほぼ2年振りの繊維街。緊急事態の対応が続いて、店の開店が11時に変わっており、ゆっくり家を出る。

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いつかの買い物の折、繊維街に向かうこの交差点を渡っていた時のこと。前を歩いていた若いカップルの歩行が、急にゆっくりになった。追い越して振り返ると、2人の前を小柄な高齢女性が歩いている。

女性が無事に渡り終えるのを、歩調に合わせて後ろで見守っていたのである。気づかれぬように。高齢女性のプライドを傷つけないように。

女性が渡り終えると、2人は何事もなかったようにずんずん歩いていく。アジア系の若い2人の、自然な行動がかっこ良かった。

ここを通るたび、幸せな気分で思い出す光景だ。

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いつも寄る店で、起毛リネンを3色購入、宅配を依頼する。二階ではウールガーゼを。こちらは軽いので、リュックに詰める。

以前に比べ、人通りは格段に少なく、この人気店にも数人しかいない。外国人にはひとりも会わなかった。それでも、いつもと変わらず、上質な品を豊富に揃えてくれているのは嬉しい。

本館にも立ち寄り、春用の綿麻を物色。試作用に一色カットしてもらう。カット台にもレジにも列はできておらず、いつもは大きなカット台に立って5、6人でさばいているスタッフも、ひとりだけだった。いつも惚れ惚れする手さばきで仕事をしていた他の男衆はどうしておられるか。

今日の布選びは、私にしては素早く、潔い、まずまずの買い物だった。やはり布は、触らなければ選べない。久々の感触が楽しかった。

上野に住む友人と新蕎麦を食べる約束をしていた蕎麦屋さんが、行ってみたら、何と長期休業中。日暮里に来るたびに寄る、老舗の店も、緊急事態は経営を大きく揺るがしたようだ。

ステーションタワーの店は営業していて、そちらで食事。スタッフに尋ねると、来春までの情勢を見て、再開するか決めると言う。

細打ちのお蕎麦と料理、お酒が美味しく、スタッフの動きがきびきびしていて居心地良い、大好きな店。春の再開を祈ろうと思う。

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少し残っていたシェットランドウールで、暖かくラクチンなパンツを作った。買ってきたウールガーゼで、パンツに合うチュニックを作ろう。パターンを描く紙と布の段取りをして寝る。

職人仕事の始動は上々。

多くの企業、個人が、ダメージを受けたこの2年。それぞれの場所でそれぞれが踏ん張らねば、と改めて思われた日だった。

頑張ろう、日暮里!



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