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オンコリスバイオファーマ株式会社

バイオベンチャー好きの私が、好き勝手に完全なる主観《個人的な想い》でバイオベンチャーを語っていくnoteです。

今回語る「オンコリスバイオファーマ」様は、2004年に岡山大学で開発された腫瘍溶解ウイルスの研究開発及び分子標的抗腫瘍薬の研究開発を目的に、設立されたバイオベンチャーです。(2013年にマザーズに上場)

事業内容について

①医薬品事業
OBP-301:テロメライシン
がん細胞で特異的に増殖し、がん細胞を破壊することができるように遺伝子改変された5型のアデノウイルス。
・食道がん:日本で放射線の併用に関する第I相試験終了。2019年に契約した中外製薬が第II相試験を準備中。
・胃・胃食道接合部がん:米国で、米国コーネル大学で抗PD-1抗体ペムブロリズマブ併用の医師主導第II相試験実施中。
・肝細胞がん:Medigen Biotechnology Corp.(台湾)と共同で、第Ⅰ相試験実施中。2016年ハンルイ社(中国)・頭頚部がん、乳がん等も研究開発中
・2016年に、ハンルイ社(中国)に中国・香港・マカオにおけるライセンス導出。2019年に中外製薬と日本・台湾における開発・製造・販売に関する再許諾権付き独占的ライセンス、日本・台湾・中国・香港・マカオを除く全世界における開発・製造・販売に関する独占的オプション権を中外製薬へ付与するライセンス契約を締結。
・2019年に先駆け審査指定制度の対象品目に選ばれた。


OBP-702:テロメライシン(OBP-301)の遺伝子構造を一部改変し、多彩ながん抑制機能を有するがん抑制遺伝子p53を組み込むことにより武装化させた次世代テロメライシン。2019年に岡山大学から委託され、これから研究開発。2017年からAMED事業に採択。

OBP-801:ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)阻害剤。HDACの活性を阻害することで、抗腫瘍効果を示すことが期待されている。2009年にアステラス製薬からライセンス導入。
・固形がん:中断、見直し中・加齢黄斑変性や緑内障手術などの眼科領域への応用可能性検討中。日本では京都府立医科大学、米国ではウィスコンシン大学と検討中。

OBP-601:センサブジンは、HIVの複製に必須である逆転写酵素を阻害するHIV感染症治療薬。2006年米国Yale大学からライセンス導入。米国で第Ia相試験、フランスで第Ib/IIa試験を実施し、その結果をもとに、ブリストルマイヤーズスクイブにライセンス導出。ブリストルマイヤーズスクイブ主導で第IIb相試験実施したが、2014年にライセンス契約解除。

《医薬品事業を見た個人的な想い》
 テロメライシンのような腫瘍溶解性ウイルスといえば、2015年には米アムジェンのIMLYGIC(対象疾患はメラノーマ)が欧米で承認されていますね。日本では、2019年にタカラバイオがC-REVを根治切除不能・転移性メラノーマを適応症として申請しましたが、PMDAからは再生医療等製品も基本的には一般の抗がん剤と同様のレベルが求められると言われ、申請を取り下げています。また、第一三共が悪性神経膠腫を対象としたG47Δを開発中で2019年に申請かと言われていましたが、遅延しています。
 C-REVの取り下げを考慮すると、テロメライシンも既存療法(放射線治療)に対して、上乗せ効果がどれくらいあるかということをしっかり見るということなのですよね。臨床研究では効果があったということなので、中外製薬が行う第II相試験でしっかり有効性が確認されるといいですね。中外製薬は抗体医薬分野やがん領域も強く、最近の業績も好調ですし、心強いパートナーと組めて良かったなと思います。

②検査薬事業
OBP-401テロメスキャン。テロメライシンにクラゲの発光遺伝子を組み入れ、がん細胞や炎症性細胞などのテロメラーゼ陽性細胞で特異的に蛍光発光を促す検査用ウイルス。血液から検査ができる液性検査です。
・2013年に、Geron社(米国)に、全世界におけるヒトテロメラーゼ逆転写遺伝子プロモーターのがん検査用途での実施権を導入する契約をするも、2019年に解消。
・2015年にDeciphera社(米国)にテロメスキャンを有償販売。
・2015年にリキッドバイオテック社とライセンス契約。リキッドバイオテック社とペンシルバニア大学(肺がん)、NRG(米国でのがん臨床試験グループ)(肺がん)、ニューヨーク大学(子宮頸がん)がそれぞれ共同研究開発。

OBP-1101テロメスキャンF35。テロメスキャンの基本構造をもったウイルス遺伝子配列に、正常な血球細胞でその増殖を抑制するマイクロRNA標的配列を組み込み、更に35型のアデノウイルスのウイルスファイバーを導入した新規特異的がん検査用遺伝子改変ウイルス。
・2014年にWONIK CUBE Corp.(韓国)と韓国におけるテロメスキャンF35のライセンス導出契約するも、2019年に解消。
・2017年に順天堂大学と血中循環がん細胞(Circulating tumor cell: CTC)の検査法開発およびシステム構築のための共同研究契約
・2017年に大阪大学(大阪警察病院)と次世代テロメスキャンを研究開発中。

《検査薬事業を見た個人的な想い》
 テロメスキャンは、Liquid Biopsy(液性生検)で、高齢者や病気を持っている人にとっては、侵襲的な検査はきついので、非侵襲的な検査はより求められていくと思います。例えば、HIROTSUバイオサイエンスさんは尿を用いた線虫がん検査の開発を進めておられますし、これから液性検査の分野は熱いのかなと思います。
 テロメスキャンは、PET、MRI、CTなどの画像診断検査では検出不可能な5ミリ以下のがんを見つけられるのは良いのですが、CTCの検出システムが自動化されていないのが悩ましいですね…乳がん・大腸がん・前立腺がん領域のCTCの検出システムでは、MENARINI silicon biosystems 社(米国)のCellSearchシステムがFDAから唯一認可を受けていますが、肺がん等のがんに対するCTC検出システムはまだ無いので、大学等との研究開発が進むといいですね。


取締役について

代表取締役  浦田泰生
取締役    吉村圭司、樫原康成
社外取締役 浦野文男

《取締役を見た個人的な想い》
 代表取締役及び創業者の浦田様は、小野薬品→JTで調査役まで歴任→2004年オンコリスバイオファーマを起業、16年間代表取締役を務められています。長い期間同じ代表取締役ということで、熱い気持ちが薄まらずに、そのまま経営にこめられているのだなと思います。取締役の吉原様は、外資系企業(ICIやアムジェン)や日系企業で管理部門に精通された方のようで、一方の樫原様は、チバガイギー→参天製薬→UMNファーマ代表取締役→2008年オンコリスバイオファーマに取締役として参画され、バイオベンチャー経営をよくご存知の方のようですね。社外取締役の浦野様は、ペンタックスで代表取締役をされていた方で、バイオというか医療画像系の方という感じですね。

最後に

 3回目は、オンコリスバイオファーマ株式会社様に対して、完全なる主観《個人的な想い》を語らせていただきました。
 オンコリスバイオファーマ株式会社といえば、2005年から続いている社長コラムがあり、私はそれが好きなんですよね。代表取締役が、自分の言葉でHP上でしっかり語ることができる企業(かつ昔の記事を残しておくこと)はなかなか無いと思いますので、応援したい企業だなと思っております。中外製薬と契約したことで、加速度的に成長していってほしいですね。

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